なのに、この最悪な結末は何だ？

愚かな俺の選択が全てを狂わせてしまった。

葵はその命だけではなくて、肉体すらも消滅してしまって。

彼女の遺体を葬る事さえできないという、取り返しのつかない事になってしまった。

それでも、俺には葵の後を追う事は許されない。

葵がその身に代えて救ってくれた俺の命。

それを無駄にする事は、彼女の命を軽んじる事になってしまう。

これこそ己の戒めとして、この痛みをアテナへの忠誠に変えて生きろという事なのだろう。

己の誓いがこんなに重く、辛い事とは考えもしなかった。

愛する者を失うという事が、こんなにも苦しい事だったなんて…。

俺はもう、人間としての幸せを失ってしまった。

葵、君のいない世界に、これからの人生のどこに、幸福を見出せるというんだ？

今になって、やっとそれだけの事がわかった。

もう、取り返しがつかない時になって―――！！！


リビングに控えているアイオロスたちに、シュラの嗚咽と懺悔が聞こえる。

また、アイオロスたちも葵をそれぞれに愛していた。


ロス「これが、シュラの痛みなのか…。」

カミュ「純粋な痛みの感情が伝わってくる…。」

カノン「あの、誇り高く、勇ましいシュラがここまで…。」

ミロ「それくらい、葵に本気だったんだよ。シュラは…。」


アイオロスたちもハラハラと流れる涙を拭う事無く、その晩を過ごした―――。