目の前が揺らぎ、熱いものが目から溢れて止まらない。

男が泣く事は恥だと思っていたが、今はもうそれを止める術が無い。

段々と力を失い、冷たくなりつつある葵を感じていると、ますます止まらない。

いつもは底抜けに明るいデスも。

優雅に微笑むアフロも。

常に自信に満ちているアイオロスやアイオリアも。

その落ち着きを常に損なわぬ老師も。

皆、涙を止める術を知らない。


「………ュラ、何処、いるの………？」


もう、俺の名前も満足に呼べなくなっている葵は、弱々しくその小さな手を宙に彷徨わせる。

俺はその手をできる限り優しく握ってやった。


シュラ「葵、ここだ。俺はここにいる。」

「ごめん……ね、シ………ラ、いっぱい困らせたね……、迷惑かけて、ごめんね………？」

シュラ「お前の事を迷惑だと思った事は一度も無いさ。俺こそ、冷たく突き放して、すまなかった……！」


逝かないでくれ。

俺を置いて、遠いどこかへ逝かないでくれ。

まだ、本当の気持ちを君に伝えていないんだ。

好きだと、愛していると。

これからは、君を傷つけはしないから。

君を幸せにして見せるから―――！！！







「ありが、とう、シュラ………。だいす………き。」