アレス『山羊座、貴様から殺してやろう。我が器が愛した男として、我がこれから築き直す世界の歴史に刻んでくれる！』

シュラ「貴様の作った世界なぞ、来ない。例え我らがことごとく死んだとしても、残りの聖闘士やアテナが必ずお前を倒し、葵を救う！！」

アレス『まだ言うか、愚かな！』


アレスはシュラに向かって指をさす。

すると、シュラの体が浮かび上がった。


シュラ「サイコキネシス！？　ぐぅっ！！」

アレス『せめて、貴様が愛した娘の傍で殺してやる。その屍を愛する者の前に晒せ、そして、絶望という世界に叩き込んでやれ。』


シュラの体は葵が拘束されている祭壇に叩きつけられた。

アレスもシュラも、この場にいる全員が葵の目覚めに気付いていなかった。

あまりに戦いに集中していたから。


（どうしたら…、どうしたらいいの！？）


葵は気絶したふりをして、懸命に考えた。

すると、手の感覚がおかしい事に気づく。

少し手を動かすと、拘束具の固定部分が壊れているのがわかった。

おそらく、戦いの衝撃で何かの破片が飛び、長い封印の間に風化しかかっていた固定部分を破壊したのだ。

足は拘束されていない。

なら、自分は既に動ける身。

動けるとわかった今、自分に出来る事。


シュラ「けして葵をお前の器になぞさせぬ！　必ず無事にアテナの元に連れ帰る！　俺はアテナに…誓いを立てた。葵を連れ帰ると！　聖域に戻ったら１人の男として、葵に愛を告げ、彼女を幸せにしてみせると！！」