禍々しい神話の怪物をかたどった像が、その部屋の両端に延々と並んでいた。

そして、最奥の玉座、その背後にある祭壇。

それらも怪物の彫刻などが施されていた。


デス「何て悪趣味な部屋だ。」

アレス『褒め言葉として取っておいてやろうぞ、人間ども。』


祭壇の前にアレスがいた。

そして、葵も祭壇に繋がれている。

頭上で両腕を交差させ、拘束具で繋がれている。

意識がないのか、目を閉じたまま動かない。


シュラ「軍神アレス。アテナの勅命によりお前を討つ。」

アレス『人間が神を倒す？　何と罰当たりなことよ。』

アフロ「だまりたまえ、アレス。貴方を倒したことで、どんな罰があろうか？　むしろオリンポスの神々も拍手をもって褒めてくださるだろうよ。」

アレス『フッ、こしゃくな人間だ。』

デス「お前みたいな三流の神ごとき、捻る事もワケねぇ。冥府でお前のした事、とくと後悔しやがれ！！」

アレス『それは、この愛らしい娘への仕打ちの事か？　それならば、そこに居る聖闘士に言ってやるが良い。』

シュラ「確かに俺は、葵を傷つけた。」


胸の前で拳を握る。


シュラ「人でありながら、人の感情を捨て切るなどできようはずもないのに。俺は葵の気持ちを切り捨てた。だが、それは過ちだった。俺は１人の男として、聖闘士として、葵の気持ちを受け入れると決めた。その為に、葵を返してもらうぞ！！」

アレス『我が器は得難き者。くれてやるわけにはいかぬなぁ。』


アレスはその手に大剣を召喚し、握った。