でも、いい加減勇気出さなきゃ。

いつ、元の世界に戻れる方法が見つかるかわからないし、もしかしたら強制的に戻るかもしれないんだから。

シュラに受け入れてもらおうなんて思わない。

でも、この想いだけは…知っていて欲しい。

例え、私がいなくなっても。

双魚宮から去ろうとするシュラの背中に、私は声をかけた。


「シュラ！」

シュラ「？　何だ。」

「あの、話が…///」


シュラは葵をあの東屋に連れて行った。


シュラ（思えば、葵を意識したのはここで寝顔を見たときからだったな…。）


葵は寝椅子に腰掛けて、シュラも対面するように座った。


シュラ「で、話とは？」

「私ね、この世界に来て、みんなにとても親切にしてもらえて、とても嬉しかったの。だから、聖域にいる人たちは皆大好きなんだ///」

シュラ「そうか。俺たちも、葵をそう思っているぞ？」


ただ、自分は違う好意を持っているが。


「でもね、最近『特別に好き』な人がいてね？　それを沙織ちゃんやデスやアフロに話したら、ちゃんと言うべきだって。いつ、元の世界に戻るのかわからないんだから、ちゃんと話さないと後悔するぞって。」


葵に特別な存在―――？

そう思うと、胸が締め付けられる。

だが、押さえろ。

彼女にそんなところを見せてはならない。

平静を装え、シュラよ。


シュラ「だからね、その気持ちを伝えようと思って…。」

シュラ「良いのではないか？　その相談か？」


あくまでも、良い兄役で徹しきらなくては。


「私、私ね？　…シュラが、シュラが好き…///」