～第２話～



朝起きると、女官さんたちが部屋にやって来た。

アテナのご指示で食事と朝の支度を手伝うために来ましたと言われて、私は仰天した。

そこまでしてもらう理由もないのにと。

着替えを見ると、私が着ていた巫女装束を真似たものだった。

これは？と聞くと、


女官「アテナのお育ちになった国にある衣装とよく似ていますので、ご用意いたしました。」


との事。

そっか、沙織ちゃんは日本で育ったんだ。

それが、私の育った世界の日本ではないにしろ、こういうところは同じみたい。

食事は果物が中心で、とても自然な食事だった。

疲れきった体の隅々に、果物たちがくれる瑞々しさが染み透っていくようで。


女官「お食事が終わったら、教皇の間で黄金聖闘士様たちとお会いするようにとアテナのお言葉です。」

「沙織ちゃん……、アテナは？」

女官「同席なさいます。教皇の間へ行く前に、アテナのお部屋にお越しくださいとの事です。」

「じゃあ、これを着たらすぐに行きますね。」

女官「では、お手伝いいたしましょう。」

「あ、これは１人で着れますから。」


私は１人でスルスル装束を身に付ける。

その様に女官さんたちは少し感心しているようだ。


女官「複雑な衣装ですのに、葵さんは手馴れておいでですね。」

「毎日の様に着てましたから。これでよしっと。」

「お見事ですわ。では、アテナのお部屋にご案内いたしましょう。」


私は念の為に白布で包んだ御神体も携えて部屋を出る。

女官さんの先導に従い、石造りの廊下を歩く。

所々に窓があって、そこからは山々が見えて、石造りの建物が見える。