千古不易の求愛を
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「千古不易を謳う王」
千の剣を携え、大地の全てを覆す。
遥か昔の御伽噺に、そう語られていた伝説の存在。
幼い頃からその御伽噺が大好きだった私は、いつしか文でしか語られない千古不易の王様とやらに興味を持った。
どんな姿形をしているのだろう。御伽噺では、常識の埒外と語られている。
見えるものであるなら、一度は見てみたい。
ただ御伽噺の存在を確信的なものへ変えるためだけに生体研究者となった。
しかし、それは案外呆気なく存在を知る。
ギルドの調査隊が、千剣山へ調査に出ると生体研究科の方へも情報が回ってきたのだ。
この気を逃すまいと、私はすぐさまある程度耐久性に優れており、尚且つ動きやすい服に着替え、薬剤と探索に必要最低限なものをウエストポーチへ詰め込み、腰に留めてあとは調査隊の元へと転がり込めば完了だ 。
研究心旺盛なのはいいが危険なのであまり無闇に行動はしないように。と釘を刺されてしまった。
千剣山は慣れていないと足場が不安定だ。不自然な段差が多く下方にはどす黒い暗雲が果てしなく広がり、周囲には歪な山が天を衝かんばかりに突き立っている。
内心好奇心多め、不安少々…とこの岩肌に足を着けたのだが、目を疑った。
あまりに巨大な全貌を私の双眼では捉えられないだろう。いや、人類の双眼にも捉えられることは決してない。
調査隊が超大型古龍を刺激することのないように速やかに撤退せよと声掛けをする中、私は、宝石のような、血のように鮮やかな赤い瞳に囚われたように動けなかった。
御伽噺、千古不易を謳う王、
「じゃおうりゅう…ダラ・アマデュラ」
冷静に、且つ情報を脳が素早くまとめて、並べていく。
ハンターズギルドでは、最近正式に蛇王龍と名が付けられたそうだが、文献にその名が登場していることはない。
ポツリとこぼした音を拾い上げたのか、はたまた自身の縄張りから未だ動かない人間に腹を立てているのか、あの赤い目がすっと細まる。
心做しか、私を捉えているような、そんな錯覚が寒気として背筋をぞわりと伝う。
ギルドからも撤退命令の出た調査隊員のひとりが早く飛行船に乗れと叫ぶが最早私は蛇に睨まれた蛙なのだから動けるわけもない。
睨まれれば最後、口を大きく開けた先を通って大人しく消化されるのを待つしかないのだ。
ぺたんと座り込み、どうせなら最後に御伽噺の顔を目に焼き付けてやろうと蛇王龍の瞳から顔に視界をずらし見る。
意外と可愛い顔をしているな。右に首を傾げると、不思議なことに蛇王龍も私の真似をするかのように首をもたげた。
頭にてん、てんとはてなが浮かんだ。気のせいだろうか。
試しに右から左へ重心を移せば、目の前の古龍も同じように私から見て右へ首を傾けた。
流石に目を点にして驚いた。同時に不思議に思った。
何故襲わないのか、一挙一動を理解しているのか。
それとも、ただの偶然なのだろうか、と。
千の剣を携え、大地の全てを覆す。
遥か昔の御伽噺に、そう語られていた伝説の存在。
幼い頃からその御伽噺が大好きだった私は、いつしか文でしか語られない千古不易の王様とやらに興味を持った。
どんな姿形をしているのだろう。御伽噺では、常識の埒外と語られている。
見えるものであるなら、一度は見てみたい。
ただ御伽噺の存在を確信的なものへ変えるためだけに生体研究者となった。
しかし、それは案外呆気なく存在を知る。
ギルドの調査隊が、千剣山へ調査に出ると生体研究科の方へも情報が回ってきたのだ。
この気を逃すまいと、私はすぐさまある程度耐久性に優れており、尚且つ動きやすい服に着替え、薬剤と探索に必要最低限なものをウエストポーチへ詰め込み、腰に留めてあとは調査隊の元へと転がり込めば完了だ 。
研究心旺盛なのはいいが危険なのであまり無闇に行動はしないように。と釘を刺されてしまった。
千剣山は慣れていないと足場が不安定だ。不自然な段差が多く下方にはどす黒い暗雲が果てしなく広がり、周囲には歪な山が天を衝かんばかりに突き立っている。
内心好奇心多め、不安少々…とこの岩肌に足を着けたのだが、目を疑った。
あまりに巨大な全貌を私の双眼では捉えられないだろう。いや、人類の双眼にも捉えられることは決してない。
調査隊が超大型古龍を刺激することのないように速やかに撤退せよと声掛けをする中、私は、宝石のような、血のように鮮やかな赤い瞳に囚われたように動けなかった。
御伽噺、千古不易を謳う王、
「じゃおうりゅう…ダラ・アマデュラ」
冷静に、且つ情報を脳が素早くまとめて、並べていく。
ハンターズギルドでは、最近正式に蛇王龍と名が付けられたそうだが、文献にその名が登場していることはない。
ポツリとこぼした音を拾い上げたのか、はたまた自身の縄張りから未だ動かない人間に腹を立てているのか、あの赤い目がすっと細まる。
心做しか、私を捉えているような、そんな錯覚が寒気として背筋をぞわりと伝う。
ギルドからも撤退命令の出た調査隊員のひとりが早く飛行船に乗れと叫ぶが最早私は蛇に睨まれた蛙なのだから動けるわけもない。
睨まれれば最後、口を大きく開けた先を通って大人しく消化されるのを待つしかないのだ。
ぺたんと座り込み、どうせなら最後に御伽噺の顔を目に焼き付けてやろうと蛇王龍の瞳から顔に視界をずらし見る。
意外と可愛い顔をしているな。右に首を傾げると、不思議なことに蛇王龍も私の真似をするかのように首をもたげた。
頭にてん、てんとはてなが浮かんだ。気のせいだろうか。
試しに右から左へ重心を移せば、目の前の古龍も同じように私から見て右へ首を傾けた。
流石に目を点にして驚いた。同時に不思議に思った。
何故襲わないのか、一挙一動を理解しているのか。
それとも、ただの偶然なのだろうか、と。
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