短編
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雪がちらつく中エイデンはnameのマイハウスの前でそわそわしながらその家の主を今か今かと待ち構えていた。
その日のセリエナは集会所を中心に沸き立っていた。
集会所内部がおどろおどしく飾りつけられているその理由は、ハロウィン。
メニューもそれらしく、甘いものになっていた。
それを見たエイデンはささやかな悪戯を思いつき、nameを待ち構えているのだ。
nameの相棒によるとそろそろ彼女が調査の為に出てくる時刻。
彼女の相棒に少し時間をもらうことを伝え、nameがなにも用意していない事を祈りつつ家の前で立っている。
そこに、そんなことは露ほども知らないnameがオトモと共に姿を現す。
「よっ!おはよう」
「おはよう。どうしたの?」
「へへ…トリックオアトリート!」
「え…」
「だーから、トリックオアトリート!」
面食らったnameは少し困惑しながらもちらりとマイハウスを振り返る。
が、しかし
「…お菓子は持ってない」
と諦めたようにまたエイデンに向き直った。
オトモも心なしかしょんぼりとエイデンを見上げている。
ニッとエイデンは笑みを浮かべながら次の言葉を告げようとするが、
「トリックオアトリート」
それをさせまいとするかのようにnameが口にする。
あまり似合わないその言葉に、しかしエイデンはよりいっそう笑みを深くした。
「ほら」
「…、」
「お菓子。オトモにもちゃんとあるぜ」
そう言いながらnameとオトモに菓子の入った小包を差し出す。
いよいよ打つ手のなくなったnameは少し渋りながらも「ありがとう」と言いながらそれを受け取った。
オトモはというと悪戯をされることも忘れぴょんぴょんと飛び跳ねている。
「じゃーイタズラだな。うーん、なにしようか」
なにをするかはもう決めているのにエイデンはあえて悩んでいる素振りを見せる。
nameは特に表情を変えることはないものの、オトモはそれを聞いて再びしょんぼりし始める。
相反する1人と1匹の姿にエイデンは思わず吹き出した。
「よし、ちょっとこっち来てくれよ」
「これから調査行くんだけど」
「まーまー!そんなに時間取らせないからさ!」
そう言うとエイデンはnameの腕を優しく掴み、彼のマイハウスへと連行した。
幾度となく訪れているエイデンのマイハウスではあるが、今日はいつもは置かれていないものがテーブルの上に鎮座している。
やや訝しみながらもnameはエイデンに導かれるまま椅子に腰掛けた。
「ちょっとの間動くなよー」
「ねぇ」
「んー?」
「最初からこのつもりだったの」
断定口調で問うnameにエイデンは肯定する。
そんなエイデンにnameはやや呆れながらも笑みを溢した。
心地よい無言の中、されるがままのnameにエイデンは手際よく彼女の髪を梳かし、結い、飾りつけていく。
それを終えると今度はオトモの頭の毛を一房まとめると、赤いリボンを飾ってやった。
「ほら、できた」
「…これが悪戯?」
「そーそー。今日は一日それで過ごせよな!」
言いながらエイデンは調査へ向かうnameを、彼女の相棒が待つ食事場まで送ってやる。
エイデンを伴って現れたnameにその相棒は感嘆の声を上げた。
「おおー!これ陽気さんがされたんですか?
相棒、とっても似合ってますよ。勿論、オトモさんも」
そう言われてはにかむnameを見てエイデンは満足げな表情を浮かべる。
「じゃ、調査頑張れよ」そう言ってエイデンは2人と1匹を送り出す。
nameの髪には橙色と青色のリボンが柔らかく揺れているのだった。
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