Fluctuat nec mergitur.
名前変換
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ふう、とnameは詰めていた息をゆっくりと吐き出す。
新大陸行きの船に乗ってからこの方、あてがわれた部屋からほとんど出ていないのだ。
それもそのはず。
ギルドから第5期調査団に推薦され調査団からも望まれたは良いものの、直前まで就いていた任務が長引き事前説明会等には一切参加できていない。
その為、新大陸に関する調査書に目を通したりスリンガーの構造や使用法の習得をしたり、つい先日まで就いていた任務の編纂を行なっていたのだ。
それら全てがようやくひと段落したところでnameはペンを置き、伸びをした。
ちょうどその時、先日の扉を叩く音が響く。
「あと数時間で新大陸に到着ですニャ。
下船の準備をお願いしますニャ」
返事をし、扉を開けると立っていたアイルーがそう告げて、一礼してからまた隣の部屋に移動して行った。
一旦ドアを閉めるとnameはオトモのname2に向き直る。
「荷物はまとめてあるし、私は少し食堂に行くけどname2はどうする?」
「ボクは武器を磨いてから行くニャ」
「そう、わかった。それじゃあ後で」
nameはそう言うと今し方まで編纂していた調査本と、もう一冊古びた本をポーチにしまい、name2を残して部屋を後にした。
過去最大規模の第5期調査団は何隻かの船に分かれて新大陸を目指している。
さして大きくはない船の廊下を歩き、食堂に続く扉を開けた。
階段を降りながら、nameは食堂内を観察する。
部屋にこもっている間、食事はname2が運んできてくれていた為足を踏み入れるのは初めてだ。
深夜と呼べる時間にも関わらずそこにはハンターやまだ数の少ない編纂者達で溢れ、めいめいスリンガーの調整を行ったり、談笑や上陸前の最後の食事を楽しんでいる。
nameはちょうど空いた、比較的静かな卓に腰を下ろす。
対角にはハンターと思しき女性が本を読み耽っていた。
そこに、まるでタイミングを見計らっていたかのように一人の男性が近づいてくる。
「よう、もうすぐ新大陸に到着だな。
アンタも準備完了?」
「ん、あとは上陸時に荷を下ろすだけ」
腰掛ける時に隣の女性の本を押し退けたが、どうやら気付いていないのか話を続ける男性にnameは少々苦笑しつつも応じる。
「いよいよかぁ。国を出てから長い旅だったな。
アンタ、緊張してる?」
「いや、特には。あなたは?」
「俺は……そうだな…少し怖いけど、楽しみかな」
そしてそこに続き別の女性がやってくる。
装備を見たところ編纂者のようだが言葉途中の男性を押し退けるようにしたため、今度は男性の持つジョッキから酒が溢れ本を濡らしてしまった。
nameが謝るよりも先に本を読んでいた女性は席を立ち、もともと男性が座っていた席へと移動した。
「ねえ。もしかしてあなた、推薦組じゃない?」
「ああ、うん、そう」
「へえキグー!俺達もなんだ。
なあ、名前を教えてくれよ」
nameは移動した女性を気にしつつ、気に病んでも仕方ないとそれに応じるのだった。
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