Fluctuat nec mergitur.
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出航を待つ大広間の中。
壇上にはギルドの役職と思しき人物がしばしば時間を気にしながら立っていた。
何日にも渡り出航が延期されており、今日が最後の出航の機会だというのだからそれもその筈。
集められたハンターや編纂者、技術者や研究者たちもそわそわと落ち着かない様子で雑談に興じていた。
聞くところによると、この出航延期はただひとりのハンターを待つためのものらしい。
出航機会の少ない船を何日も遅らせるのだから、それはそれは凄腕のハンターなのだろう、どんな人物なのだろうという会話もそこかしこから聞こえてきていた。
その時だった。
広間の重厚な扉が開け放たれ、ばたばたとギルドの職員が駆け込んでくる。
そしてそれに続いてひとりのハンターが広間へと、悠々とした足取りで入ってきた。
白練色の髪に鮮やかな赫色の眼。
そしてまるで誂えたかのような、白毛に深紅の眼のオトモを連れている。
簡素なレザーメイルを纏っているが、それさえも上等な拵えであることが一目で見て取れた。
しん、と静まりかえる大広間。
一身に注目を浴びる彼女はしかし、なにも言葉を発さずに一礼してみせると、後からやってきたギルドの職員とともに壇上からは離れた後方へと移動していった。
変わらず静寂を保つ大広間に、壇上の人物の声が響く。
「………、さて…… 第5期調査団の諸君、そろそろ時間だ。
別れの言葉は必要ないな。
この船に乗ったらもう後戻りはできない。
もし覚悟が失われたのであれば、ここで引き返すことをすすめよう。
それではこれより、新大陸に向け出航する。
君たちに、導きの青い星が輝かんことを」
その言葉を背に過去最大規模で集められた調査団はいくつかの船に分かれ、様々な想いを胸に現大陸を旅立つのだった。
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