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1.スタートは華麗に鮮やかに

桜がかわいそうなほど、激しい雨の音が聞こえる。
どうやってあの10億円を盗んでやろうかと、だらだら考えているときだった。

”俺が、やり方教えてやろうか”

そして、悪魔の言う計画を一通り聞いた。
まずは白バイと制服が必要であることを理解して、調達の方法も考えた。
が、ただ外からサイレンやらなにやら、事件の音が聞こえるだけだった。
そして、思いついた。
おっさん悪魔も、良いって言ってくれたということで、行動に移すことにした。

アパートから出て、タクシーで別荘まで移動する。
ガレージに入って、バイクを一個取り出した。
適当に道具で叩くなりして、ナンバーを取った。
手袋をし、ヘルメットはかぶらずに、下道を暴れるように走る。
心臓が生き生きと動いている気がした。

私、今楽しい。あんたは?

”慣れた光景だ。だが、俺も楽しい”

じゃあ、よかった。

後ろに、白バイがいることに気が付いた。
人の少ない道まで誘導するように走って、バイクから降りた。

「君、いや、まあとにかく...」

白バイのおっさんも降りて、こっちに歩み寄ってきた。
話を聞くふりをして、おっさんに蹴りを入れた。
みぞおちにクリーンヒット。
苦しそうなそいつの首に腕を絡めて、とにかく絞めた。

死んだ?

”いや、まだだ。まだ絞めろ”

数分して、やっと、悪魔さまからオーケーと出た。
制服を脱がせ、ヘルメットも奪い、バイクの陰に隠れながら着替えた。
そして、白バイにまたがり、警官になったつもりで別荘へと向かった。

”中々だ”

ありがと。そういえばさ、あんた、名前ないの?

”ねえよ。昔、アカって呼ばれてたくらいだ”

じゃあ、あんたアカね。名前。

”お前は?本名で、これからやってくわけにゃあいかねぇぞ”

あんたがアカなら、ミドリとかでいい。

”わかった。ミドリ”

なんとなく、うれしいような気がしたが、その理由がわからない。
脳内で会話していることに虚しさを感じつつ、奪ったバイクと制服をいい感じに隠した。
そして、怪しまれないように数日はおとなしく過ごした。

試しに染めた髪を気にしながら、だらだらと別荘で過ごす日々。
そろそろ脅迫状を作り始めてもいいころかと思い、パソコンを開いた。
アカに確認をとりつつ、文字を打ち込み、印刷する。
プリンターの音を後ろに聞きながら手袋を装着し、封筒を探す。
なんだかんだで、脅迫状が完成した。
宛先は某銀行の某支店の支店長宅。
8日午後6時までに座標の位置へ現金1000万円を女性行員に持ってこさせないと、支店長宅を爆破する、という内容。
別荘から出て、少し歩いてポストへ封筒をいれる。
都会から離れたここから見る、中心部の高層ビルは、夕日を反射して輝いていた。

わ、綺麗...

”お前が思ってるほど、この世ってのは汚くねぇよ”

まあ、確かに。
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