君の世界を探して歩こう : 番外編
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暑さもだいぶ和らいできた頃。
外のイチョウの葉はすっかり黄色くなって秋が近づいてきた。
窓の外からパソコンへ視線を戻した時、少し離れたデスクで同じように頬杖をついて窓の外を眺めている祥彰の姿が目に止まった。
「どうしたのー?祥彰」
「え、あぁ。ななしちゃん…」
「糖分足りてないんじゃない?」
そう言って、祥彰のマグカップにココアを注いで彼の前に差し出した。ふとした時に見る彼の顔はどこか疲れの色が滲み出ているような気がした。
「ななしちゃんさ、ニュースみた?」
「ニュース?最近何があったっけ……」
普段テレビニュースはあまり見ない、朝起きた時に少しアプリで記事を読むほど…
最近読んだ記事の内容を片っ端から思い出していくと……
「あ…ピオニー…?」
「そっか、ななしちゃんも見たんだ」
以前彩加と盛り上がった、シンガーソングライターのピオニー。少し前にスキャンダルを激写され、以降あまり羽振りが良くない様だった。
「ファンにとってはあんまり、いいニュースじゃないよね。好きなアーティストのスキャンダルで音楽活動が阻害されるのは」
「そうだよね…」
楽曲のリリース頻度も落ち、リリースしてもごく一部だが過激なアンチが後を絶たない。元からのファンも対抗しているものの、スキャンダルを手にアンチは力を増す一方だった。
「ファンって、無力だなぁって。助けてあげたい、なんて烏滸がましいけど、なんにも出来ないんだな、僕って思ったら落ち込んじゃって…」
「ふむ……」
確かに祥彰の気持ちも分かる。何も出来ない、待ってるだけしかできない歯がゆさは私も感じているところだ。かと言って、信じて待つ以外何も出来ないのだ。
「今回の件でさ、ピオニーのこと嫌いになったわけじゃないんでしょ?」
「それは、もちろん」
「だったら、尚のこと信じて待つしかないよ。私たちには」
何があっても、信じて待つこと。
一見簡単そうに見えるけど、それはとっても難しいことなんだって。誰でも『簡単に』出来るものでもないけど、でも誰にだって出来ること。『思い』さえあれば。
「そんな落ち込まないでさ、天真爛漫祥彰くん戻っておいでな。今日仕事終わったらパーッとカラオケでも行く?」
「…ななしちゃんの奢り?」
「なに、私持ちじゃないと行かないわけ?!」
「っはは、うそうそ。行こ!こうちゃんも誘っていい?」
「うん、じゃあ彩加も誘おうかな〜」
自分のことなんて考えもしなかったけど、私にも同じように当てはまるんだって。これの少しあとに気付いたの。
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外のイチョウの葉はすっかり黄色くなって秋が近づいてきた。
窓の外からパソコンへ視線を戻した時、少し離れたデスクで同じように頬杖をついて窓の外を眺めている祥彰の姿が目に止まった。
「どうしたのー?祥彰」
「え、あぁ。ななしちゃん…」
「糖分足りてないんじゃない?」
そう言って、祥彰のマグカップにココアを注いで彼の前に差し出した。ふとした時に見る彼の顔はどこか疲れの色が滲み出ているような気がした。
「ななしちゃんさ、ニュースみた?」
「ニュース?最近何があったっけ……」
普段テレビニュースはあまり見ない、朝起きた時に少しアプリで記事を読むほど…
最近読んだ記事の内容を片っ端から思い出していくと……
「あ…ピオニー…?」
「そっか、ななしちゃんも見たんだ」
以前彩加と盛り上がった、シンガーソングライターのピオニー。少し前にスキャンダルを激写され、以降あまり羽振りが良くない様だった。
「ファンにとってはあんまり、いいニュースじゃないよね。好きなアーティストのスキャンダルで音楽活動が阻害されるのは」
「そうだよね…」
楽曲のリリース頻度も落ち、リリースしてもごく一部だが過激なアンチが後を絶たない。元からのファンも対抗しているものの、スキャンダルを手にアンチは力を増す一方だった。
「ファンって、無力だなぁって。助けてあげたい、なんて烏滸がましいけど、なんにも出来ないんだな、僕って思ったら落ち込んじゃって…」
「ふむ……」
確かに祥彰の気持ちも分かる。何も出来ない、待ってるだけしかできない歯がゆさは私も感じているところだ。かと言って、信じて待つ以外何も出来ないのだ。
「今回の件でさ、ピオニーのこと嫌いになったわけじゃないんでしょ?」
「それは、もちろん」
「だったら、尚のこと信じて待つしかないよ。私たちには」
何があっても、信じて待つこと。
一見簡単そうに見えるけど、それはとっても難しいことなんだって。誰でも『簡単に』出来るものでもないけど、でも誰にだって出来ること。『思い』さえあれば。
「そんな落ち込まないでさ、天真爛漫祥彰くん戻っておいでな。今日仕事終わったらパーッとカラオケでも行く?」
「…ななしちゃんの奢り?」
「なに、私持ちじゃないと行かないわけ?!」
「っはは、うそうそ。行こ!こうちゃんも誘っていい?」
「うん、じゃあ彩加も誘おうかな〜」
自分のことなんて考えもしなかったけど、私にも同じように当てはまるんだって。これの少しあとに気付いたの。
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