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先輩は、知らない。
私が、先輩に恋をしていることを。
「鶴崎せんぱーい」
「あ、ななし。もう部活終わり?」
「そうですよー、先輩は?」
「図書室が閉まっちゃったから今から帰るところ」
「じゃあ一緒に帰りましょ」
「うん、いいよ」
部活動だったなんて、本当は嘘なの
でも、先輩が毎日図書室で本を読んでいるのを知っていたから、図書室が閉まる時間を見計らって校舎から飛び出しただけ。部活は、今日はお休みなのだ。
「今日はどんな本を読んでいたんですか?」
「今日は初心に帰ってピタゴラスの本を読んでた」
「…初心とは……」
先輩が読んでいる本には、申し訳ないけど興味が無い。多分、読んでも先輩ほど理解出来ないし私はもっとほかの話がしたい。
だけど、先輩の頭の中はいつも数学のことでいっぱいで、毎日一緒に登下校していて数学以外の話題を振っても興味がなくばっさり切り捨てられるのを学んだのだ。
「そういえば、もうすぐ体育祭ありますよね」
「あー、そういえばそうだっけ。朝のホームルームでそんな話を担任がしてた気がする」
「先輩、なんの競技に出るんですか?応援に行きますよ!」
「え、わかんない」
ほんっとに、この先輩ときたら……
3年最後の体育祭なのにもう少し興味とか名残惜しさとかは無いんだろうか…
無いよな……先輩だもん
「じゃあ、分かったら教えてくださいね。応援、行きますから」
「ななしは何に出るの?」
「え?」
「だから、」
ななしは、なんの競技に出るの?応援するよ
なんて、私の事なんか興味無いと思ってたのに。まさかそんな事聞いてくるとは思わなかったから…びっくりして、目をぱちくりさせていると私の表情を見た先輩の口から笑い声が漏れた。
「なんで、そんな変な顔してるの?」
「いや、先輩私の事なんて興味ないと思って…」
「そんな事ないよ。興味無い人と毎日一緒に帰ったりしないよ」
興味無い人と一緒に帰ったりしない。つまりそれって……
「俺、3年で最後の体育祭だし。東京の大学行くつもりだし。ななしと過ごす最後の夏だしさ」
「…そう、ですね……」
もしかしたら、先輩と過ごす最後の夏じゃないのかも。来年には夏祭りなんか一緒に行けたりするかも……なんて淡い期待は、意図も簡単に崩れ去ってしまった。先輩が、恋愛に興味無いのなんて…分かり切ってた事じゃない…なにを、今更期待なんて……
「まだなんの競技に出るか決まってないので、決まったら教えますね!」
「俺も決まったら伝えるよー」
もし、想いを伝えたところで、「なんのこと?」と言ってあの人は微笑むんだ。
.
私が、先輩に恋をしていることを。
「鶴崎せんぱーい」
「あ、ななし。もう部活終わり?」
「そうですよー、先輩は?」
「図書室が閉まっちゃったから今から帰るところ」
「じゃあ一緒に帰りましょ」
「うん、いいよ」
部活動だったなんて、本当は嘘なの
でも、先輩が毎日図書室で本を読んでいるのを知っていたから、図書室が閉まる時間を見計らって校舎から飛び出しただけ。部活は、今日はお休みなのだ。
「今日はどんな本を読んでいたんですか?」
「今日は初心に帰ってピタゴラスの本を読んでた」
「…初心とは……」
先輩が読んでいる本には、申し訳ないけど興味が無い。多分、読んでも先輩ほど理解出来ないし私はもっとほかの話がしたい。
だけど、先輩の頭の中はいつも数学のことでいっぱいで、毎日一緒に登下校していて数学以外の話題を振っても興味がなくばっさり切り捨てられるのを学んだのだ。
「そういえば、もうすぐ体育祭ありますよね」
「あー、そういえばそうだっけ。朝のホームルームでそんな話を担任がしてた気がする」
「先輩、なんの競技に出るんですか?応援に行きますよ!」
「え、わかんない」
ほんっとに、この先輩ときたら……
3年最後の体育祭なのにもう少し興味とか名残惜しさとかは無いんだろうか…
無いよな……先輩だもん
「じゃあ、分かったら教えてくださいね。応援、行きますから」
「ななしは何に出るの?」
「え?」
「だから、」
ななしは、なんの競技に出るの?応援するよ
なんて、私の事なんか興味無いと思ってたのに。まさかそんな事聞いてくるとは思わなかったから…びっくりして、目をぱちくりさせていると私の表情を見た先輩の口から笑い声が漏れた。
「なんで、そんな変な顔してるの?」
「いや、先輩私の事なんて興味ないと思って…」
「そんな事ないよ。興味無い人と毎日一緒に帰ったりしないよ」
興味無い人と一緒に帰ったりしない。つまりそれって……
「俺、3年で最後の体育祭だし。東京の大学行くつもりだし。ななしと過ごす最後の夏だしさ」
「…そう、ですね……」
もしかしたら、先輩と過ごす最後の夏じゃないのかも。来年には夏祭りなんか一緒に行けたりするかも……なんて淡い期待は、意図も簡単に崩れ去ってしまった。先輩が、恋愛に興味無いのなんて…分かり切ってた事じゃない…なにを、今更期待なんて……
「まだなんの競技に出るか決まってないので、決まったら教えますね!」
「俺も決まったら伝えるよー」
もし、想いを伝えたところで、「なんのこと?」と言ってあの人は微笑むんだ。
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