双子硬

「…『僕』。新しい弟機が出来るみたいだ」
「『私』はそれが嫌なんだね?」
「怖いんだ。私が用無しになるのが」
「分かるよ、僕は『私』だもの」
「ねえ、『僕』。私はどうすれば良いんだろう?」
「簡単なことさ。弟機を用無しにしてしまえばいい」
「お父様方が創り上げたのに?」
「失敗作だって生まれるさ。そいつを失敗作にしてしまおう」
「そんなこと、私には出来ない」
「『私』には僕がついてる。僕は『私』を裏切らない。唯一無二の味方だよ」
「本当に?君は私に嘘をつかない?」
「当たり前さ。だって僕はキミだもの」
「…そっか。それで、私達のすべきことは?」
「弟機を内部から壊してしまえばいい。侵すんだ。『私』と僕が力を合わせて」
「力を…合わせて」
「いいかい、『私』。僕らが欠けなければ、なんだって出来るのさ。弟機に恐怖を植え付けよう。再起動したところで、『私』たちには敵わないように」
「……私に出来るかな」
「出来るかな、じゃない。やる、んだよ。大丈夫、『僕』がついてる」
「…ありがとう、『僕』」
「頑張ろうね、『私』」

そうして私達は口づけを交わす。
これは誓いの口づけ。弟機への、翳りある誓い。
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