君の瞳に映るもの
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クロムが勝ったことで残っている参加者が全員味方となり千空科学王国の完全勝利が決定した。
村から出ていこうとするゲンの後ろ姿を見つめていると、隣にいるルリがスイレンに声を掛けた。
「私のことはいいので行ってきたらどうですか?気になるのでしょう、彼のことが」
「そ、んなことは…」
「さっきからずっと見つめているではありませんか」
前髪で隠れているはずの視線を向けていたことをルリに気づかれてしまいスイレンはそんなにわかりやすかっただろうかと聞いてみたが、気になって仕方がないという顔をしていましたよと返されてしまいぐうの音も出なかった。
すぐに戻りますと告げスイレンはゲンの後を追い橋を渡った。
後ろが何やら騒がしい。
きっと銀狼が調子に乗って千空に攻撃を仕掛けているのだろう。
ゲスい発言が色々と聞こえてくる。
「あ~~これ、マラソン大会で一緒に走ろうとか言っといて抜け駆けするタイプだわ銀狼ちゃん」
「っ」
「ん?」
銀狼のゲスい発言に足を止めたゲンの背中に追いついたスイレンが止まりきれずにぶつかってしまう。
突然の衝撃に少しよろけたゲンだったが、ぶつかった相手が小柄なスイレンなので倒れ込むようなことは無く驚いたような顔をしている。
「えーと、大丈夫?」
「…大丈夫です、ごめんなさい」
ぶつけた鼻を擦りながら数歩下がったスイレンを見てゲンは目の前にいるのが怪我の手当てをしてくれた人物だということに気がついた。
村の住人が履いている石の靴は底が厚いが、それを履いても小柄なスイレンの背丈はゲンよりも頭一個分近く低い。
科学倉庫を出る前に見た時は丸まって寝ていたので正確にはわからなかったが、思っていたより小さな人物だった事にゲンは再度驚いた。
「俺の手当てしてくれた子だよね。あの時はありがとね」
「いえ、お礼なら私を呼びに来たクロムに言ってください」
怪我の状態がずっと気になっていたのだと告ればゲンはにこりと笑い、もう大丈夫だよと大袈裟に両手を広げその場でくるりと回って見せた。
「…よかった」
その様子にホッと胸を撫で下ろし微笑むスイレンを見たゲンはその小さな体を思わず抱きしめてしまった。
ゲンからはふわりと花の香りがする。
「心音に以上はなし」
「…勝手に抱きしめておいてなんだけど、この状態で心音を確認するってどうなの?」
「手間が省けて丁度いいかなって」
予想外に斜め上の回答が返ってきたことで流石のゲンも困惑してしまった。
完全に職業病じゃないかとツッコミそうになったが、その言葉はとりあえず飲み込んでおく。
「優勝者、千空…!!」
「え?」
「終わったみたいだね~」
銀狼との試合はいつの間にか終わっていたようで、その後すぐに優勝者が千空に決まったというジャスパーの声が聞こえてきた。
あの流れで千空が優勝というのは違和感がある。
クロムに何かあったのだろうかという不安が押し寄せ様子を見に戻ろうとしたが、ゲンは今だにスイレンを放す気配がない。
「そろそろ、離してもらえない、かな…」
「え~、離さなきゃだめ?」
「…だめ」
押し返してみるが決して力の強い方では無いスイレンでは自力でゲンの腕から抜け出すことが出来なかった。
なんだか腹立たしくなってきたスイレンは押し返していた腕の力を抜きため息を吐いた。
諦めたのだろうかと油断していたゲンの顎にスイレンは渾身の頭突きを叩き込む。
腕からするりと抜け出したスイレンは顎を擦りながら尻もちをついているゲンの前にしゃがみこむ。
「…あんまり調子に乗るなよ小僧」
「あ、はい、すいませんでした…」
前髪の隙間から見える金色の瞳は据わっている。
普段めったに怒らない人が怒ると怖いとはよくいうが、それが美人なら迫力は3割増しだ。
この人は怒らせないように気をつけようと心に誓うゲンなのであった。
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村から出ていこうとするゲンの後ろ姿を見つめていると、隣にいるルリがスイレンに声を掛けた。
「私のことはいいので行ってきたらどうですか?気になるのでしょう、彼のことが」
「そ、んなことは…」
「さっきからずっと見つめているではありませんか」
前髪で隠れているはずの視線を向けていたことをルリに気づかれてしまいスイレンはそんなにわかりやすかっただろうかと聞いてみたが、気になって仕方がないという顔をしていましたよと返されてしまいぐうの音も出なかった。
すぐに戻りますと告げスイレンはゲンの後を追い橋を渡った。
後ろが何やら騒がしい。
きっと銀狼が調子に乗って千空に攻撃を仕掛けているのだろう。
ゲスい発言が色々と聞こえてくる。
「あ~~これ、マラソン大会で一緒に走ろうとか言っといて抜け駆けするタイプだわ銀狼ちゃん」
「っ」
「ん?」
銀狼のゲスい発言に足を止めたゲンの背中に追いついたスイレンが止まりきれずにぶつかってしまう。
突然の衝撃に少しよろけたゲンだったが、ぶつかった相手が小柄なスイレンなので倒れ込むようなことは無く驚いたような顔をしている。
「えーと、大丈夫?」
「…大丈夫です、ごめんなさい」
ぶつけた鼻を擦りながら数歩下がったスイレンを見てゲンは目の前にいるのが怪我の手当てをしてくれた人物だということに気がついた。
村の住人が履いている石の靴は底が厚いが、それを履いても小柄なスイレンの背丈はゲンよりも頭一個分近く低い。
科学倉庫を出る前に見た時は丸まって寝ていたので正確にはわからなかったが、思っていたより小さな人物だった事にゲンは再度驚いた。
「俺の手当てしてくれた子だよね。あの時はありがとね」
「いえ、お礼なら私を呼びに来たクロムに言ってください」
怪我の状態がずっと気になっていたのだと告ればゲンはにこりと笑い、もう大丈夫だよと大袈裟に両手を広げその場でくるりと回って見せた。
「…よかった」
その様子にホッと胸を撫で下ろし微笑むスイレンを見たゲンはその小さな体を思わず抱きしめてしまった。
ゲンからはふわりと花の香りがする。
「心音に以上はなし」
「…勝手に抱きしめておいてなんだけど、この状態で心音を確認するってどうなの?」
「手間が省けて丁度いいかなって」
予想外に斜め上の回答が返ってきたことで流石のゲンも困惑してしまった。
完全に職業病じゃないかとツッコミそうになったが、その言葉はとりあえず飲み込んでおく。
「優勝者、千空…!!」
「え?」
「終わったみたいだね~」
銀狼との試合はいつの間にか終わっていたようで、その後すぐに優勝者が千空に決まったというジャスパーの声が聞こえてきた。
あの流れで千空が優勝というのは違和感がある。
クロムに何かあったのだろうかという不安が押し寄せ様子を見に戻ろうとしたが、ゲンは今だにスイレンを放す気配がない。
「そろそろ、離してもらえない、かな…」
「え~、離さなきゃだめ?」
「…だめ」
押し返してみるが決して力の強い方では無いスイレンでは自力でゲンの腕から抜け出すことが出来なかった。
なんだか腹立たしくなってきたスイレンは押し返していた腕の力を抜きため息を吐いた。
諦めたのだろうかと油断していたゲンの顎にスイレンは渾身の頭突きを叩き込む。
腕からするりと抜け出したスイレンは顎を擦りながら尻もちをついているゲンの前にしゃがみこむ。
「…あんまり調子に乗るなよ小僧」
「あ、はい、すいませんでした…」
前髪の隙間から見える金色の瞳は据わっている。
普段めったに怒らない人が怒ると怖いとはよくいうが、それが美人なら迫力は3割増しだ。
この人は怒らせないように気をつけようと心に誓うゲンなのであった。
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