ゲンが去ったあと、千空ともよく話すようになったスイレンはルリの病気を治せる万能薬、サルファ剤作りを手伝うことになった。
サルファ剤を作るために必要なガラスを作り、スイカに科学の目である眼鏡を作る。
はっきりと見えるひまわり畑に感動して涙を流すスイカを見てスイレンもクロムほどではないが科学に興味が湧いてきた。


「千空もクロムも意外とカッコ良かったんだね！」

「意外ってなんだよ、クソ」

「それにさっきチラッと見えたけど、スイレンが美人過ぎてびっくりなんだよ」


スイカの発言にクロムと千空の視線がスイレンへと向く。
千空が徐にスイレンの前髪を上げて顔を見た後、数回瞬きをしてから呆れたように呟いた。


「なんで顔隠してんだ？謎過ぎんだろ」


突然の行動に動じる様子もないスイレンが金色の瞳でじっと見つめれば、千空の方が動揺してスイレンから離れた。


「なんかよくわかんないけど、君と同じような反応をする人が多いんだよ。だから隠しておいた方がいいのかなって」

「顔が見えてても隠れててもスイレンはスイレンだろ」

「普通に接してくれるのはクロムくらいだよ」


小さな頃から一緒にいるクロムは見慣れているのか先ほどの千空と同じようにスイレンの前髪を上げて顔を見たが、なんとも思わんと一言発して手を離した。


「ゲンなら寧ろ顔見たがるんじゃねえか」


千空の一言に先日手当てをした怪我人の姿を思い浮かべ、ぼんやりとその後は大丈夫だっただろうかと考える。
枕元に置いておいた傷薬がいつの間にかなくなっていたのでちゃっかり持っていったことはわかっているがやはり怪我の具合が気になるので、なるべく早く戻ってきてくれないだろうかと願うばかりだ。


「診療所でも作るか」

「なら診療所はスイレンの担当だな」


薬に詳しい、手当ての手際も良い、頭の回転もなかなかに速く物腰も柔らかいのだから診療所を任せるにはうってつけだ。
手当てに使用する薬の管理も安心して任せることができる上に美人なので客寄せパンダにも丁度良い。
クロムの推薦と千空らしい合理的な考えで科学王国の診療所はスイレンが任されることになったのであった。





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