君の瞳に映るもの
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クリスマスの次の日から取り掛かっている真空管作りは今まで以上に難航していた。
金属線の膨張で根元からひび割れてしまい、クロムが洞窟で採集してきた銅をチューブ状にして解決かと思いきや今度は竹の熱線が一瞬で燃え尽きてしまうというアクシデントに見舞われた。
まさに一難去ってまた一難だ。
クロムが手当たり次第に集めてきた鉱石を村の住人たちも手分けして見ているがなかなか使えそうなものは見つからない。
千空はこの時代に使えるものはないと頭を抱えており、スイレンもまたどうしたものかと悩んでいた。
「スイレンちゃん、なんだか顔色が悪いよ」
「…」
「ちゃんと寝てる?」
「…寝てる」
「はいウッソ~、メンタリストじゃなくても分かっちゃうようなバレバレな嘘吐かないの」
ゲンは明らかに寝不足で顔色の悪いスイレンを抱き上げて診療所へと強制的に連れていく。
スイレンは抵抗する気力も無いようでされるがままだ。
火事の後、診療所の奥に増設されたスイレンの自室にゲンは慣れた様子で布団を敷く。
スイレンは結構な頻度で徹夜をするのでゲンは時折こうして強制的に寝かしつけているのだ。
「ほら横になって目を閉じて」
「…」
「添い寝でもしてあげようか?」
「…うん」
「ジーマーで言ってる?」
予想外の返答にゲンは若干困惑したがスイレンの金色の瞳には不安が色濃く表れている。
少し考えてからスイレンを自分の膝の上に乗せたゲンは心音を聞かせるようにスイレンの耳を自分の胸に押し付けた。
心音に合わせるように背中をさすっていると規則正しい寝息が聞こえてくる。
「なんでこうも色々と1人で抱え込んじゃうかな…」
返答が返ってくるわけもなくゲンの呟きは静かな部屋の中に消えていく。
以前よりは頼ってくれるようになったがまだまだ遠慮がちで無茶をするスイレンから目が離せない。
自分が支えないとという使命感すら感じているほどだ。
ベタ惚れだなと思わず苦笑いしたゲンはスイレンを先程敷いた布団に寝かせて額に口づけを落とした。
「さて、スイレンちゃんを安心させるために一肌脱ぎますか~」
今必要なのは打開策だが千空ほどの科学知識を持ち合わせていないゲンにそれは難しい。
だが、気持ちの切り替えをする手段を考えるのであればお手の物だ。
メンタリストとしての腕の見せ所である。
ゲンは少し考えて、スイレンと散歩に行った際に日の出が良く見える丘に案内してもらったことを思い出した。
残念ながら日が昇る前に起きたことがないのでまだ日の出は拝んでいないが、つい先日クリスマスだったので今は年末の筈だ。
あれから何日経ったかを数えて今日は丁度大晦日だと気が付いたゲンは準備をするために診療所を後にした。
「スイレンちゃん、そろそろ起きよっか」
「…ん、朝?」
「ううん、夜中」
「…夜中?」
スイレンは夜中に起こされた意味が分からず目の前でニコニコと笑っているゲンを見つめた。
ゲンは寝起きでぼんやりとしているスイレンの髪を手早くまとめて上着を着せるとそのまま手をひいて診療所の外へと連れ出した。
「みんなで日の出を拝みに行こう」
「日の出?」
「そ、今日から新年だし初日の出拝んで気持ちを切り替えようと思ってさ」
「ふふ、君らしいね」
なんだかゲンが頼もしく見えてスイレンは笑みをこぼした。
ゲンのこういう気配りにスイレンは何度も助けられている。
寝る前に感じていた不安がなくなったとは言えないがゲンのおかげでなんだか心が軽い。
何とかなりそうな気がしたスイレンはゲンと手分けして村の住人たちを起こして回るのであった。
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金属線の膨張で根元からひび割れてしまい、クロムが洞窟で採集してきた銅をチューブ状にして解決かと思いきや今度は竹の熱線が一瞬で燃え尽きてしまうというアクシデントに見舞われた。
まさに一難去ってまた一難だ。
クロムが手当たり次第に集めてきた鉱石を村の住人たちも手分けして見ているがなかなか使えそうなものは見つからない。
千空はこの時代に使えるものはないと頭を抱えており、スイレンもまたどうしたものかと悩んでいた。
「スイレンちゃん、なんだか顔色が悪いよ」
「…」
「ちゃんと寝てる?」
「…寝てる」
「はいウッソ~、メンタリストじゃなくても分かっちゃうようなバレバレな嘘吐かないの」
ゲンは明らかに寝不足で顔色の悪いスイレンを抱き上げて診療所へと強制的に連れていく。
スイレンは抵抗する気力も無いようでされるがままだ。
火事の後、診療所の奥に増設されたスイレンの自室にゲンは慣れた様子で布団を敷く。
スイレンは結構な頻度で徹夜をするのでゲンは時折こうして強制的に寝かしつけているのだ。
「ほら横になって目を閉じて」
「…」
「添い寝でもしてあげようか?」
「…うん」
「ジーマーで言ってる?」
予想外の返答にゲンは若干困惑したがスイレンの金色の瞳には不安が色濃く表れている。
少し考えてからスイレンを自分の膝の上に乗せたゲンは心音を聞かせるようにスイレンの耳を自分の胸に押し付けた。
心音に合わせるように背中をさすっていると規則正しい寝息が聞こえてくる。
「なんでこうも色々と1人で抱え込んじゃうかな…」
返答が返ってくるわけもなくゲンの呟きは静かな部屋の中に消えていく。
以前よりは頼ってくれるようになったがまだまだ遠慮がちで無茶をするスイレンから目が離せない。
自分が支えないとという使命感すら感じているほどだ。
ベタ惚れだなと思わず苦笑いしたゲンはスイレンを先程敷いた布団に寝かせて額に口づけを落とした。
「さて、スイレンちゃんを安心させるために一肌脱ぎますか~」
今必要なのは打開策だが千空ほどの科学知識を持ち合わせていないゲンにそれは難しい。
だが、気持ちの切り替えをする手段を考えるのであればお手の物だ。
メンタリストとしての腕の見せ所である。
ゲンは少し考えて、スイレンと散歩に行った際に日の出が良く見える丘に案内してもらったことを思い出した。
残念ながら日が昇る前に起きたことがないのでまだ日の出は拝んでいないが、つい先日クリスマスだったので今は年末の筈だ。
あれから何日経ったかを数えて今日は丁度大晦日だと気が付いたゲンは準備をするために診療所を後にした。
「スイレンちゃん、そろそろ起きよっか」
「…ん、朝?」
「ううん、夜中」
「…夜中?」
スイレンは夜中に起こされた意味が分からず目の前でニコニコと笑っているゲンを見つめた。
ゲンは寝起きでぼんやりとしているスイレンの髪を手早くまとめて上着を着せるとそのまま手をひいて診療所の外へと連れ出した。
「みんなで日の出を拝みに行こう」
「日の出?」
「そ、今日から新年だし初日の出拝んで気持ちを切り替えようと思ってさ」
「ふふ、君らしいね」
なんだかゲンが頼もしく見えてスイレンは笑みをこぼした。
ゲンのこういう気配りにスイレンは何度も助けられている。
寝る前に感じていた不安がなくなったとは言えないがゲンのおかげでなんだか心が軽い。
何とかなりそうな気がしたスイレンはゲンと手分けして村の住人たちを起こして回るのであった。
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