短編
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「取れないよー!」
どうして取れないんだろう。景光くんは簡単に取れるよって言っていたのに。きっと私の操作の仕方が悪いのだろう。そこまでは分かるのだ。どうして取れないのかが分からない。
バウンドしてくるりとそっぽを向いてしまったぬいぐるみを眺めて考える。
「む…頭を掴んで持ち上げてるのにどうして取れないんだろう……」
「ねぇ、ちょっと貸してくれないかな?」
「えっ」と思った。なぜなら、私の長財布の中にはもう何も入っていない。この台だけで3000円も消費してしまったのだから。
千円札でも入っていてほしいと祈りながら財布を開くと、ゲームセンターでは役に立たないであろう十円玉と一円玉だけが寂しく転がっていた。
いつまで絶望していたのだろう。固まってしまった私の横から自分の百円玉をサッと入れた景光くん。しびれを切れさせてしまった。
「え!私が出さなきゃだめだよ!だって、私が欲しいぬいぐるみだもん。」
「“オレが取りたいから”って言ったら?」
ぐうの音も出ない。
でも、そんなことをさらっと言ってしまう景光くんはどこまでも狡くて。
「前回教えたのは……」
真剣にクレーンゲームに向かう景光くんの横顔は誰よりもかっこよくて。
「……って、聞いてる?」
「あ、あぁ。うん!」
「聞いてないでしょ」って笑ってくれる景光くんに照れ笑いを返して、また彼の横顔に夢中になってしまった。
「……はい、どうぞ。」
気付いたら、うさぎのぬいぐるみを抱えた景光くんが立っていた。いつの間にか取っていてくれたらしい。
180センチをゆうに超える高身長の男性が、ちまっとした可愛らしい人形を抱きしめている図があまりにも可愛くて、彼がよそ見をしている隙にスマホを取り出した。慣れた手つきでカメラアプリを起動し、ぱしゃり。
「あ、撮ったでしょ。」
「撮ってないでーす!」
スマホをぱっと隠して、彼からぬいぐるみを貰う。もちろんお礼もして。
写真のこと、多分気付いてるんだろうな、とは思うけれど。
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「取れないよー!」
どうして取れないんだろう。景光くんは簡単に取れるよって言っていたのに。きっと私の操作の仕方が悪いのだろう。そこまでは分かるのだ。どうして取れないのかが分からない。
バウンドしてくるりとそっぽを向いてしまったぬいぐるみを眺めて考える。
「む…頭を掴んで持ち上げてるのにどうして取れないんだろう……」
「ねぇ、ちょっと貸してくれないかな?」
「えっ」と思った。なぜなら、私の長財布の中にはもう何も入っていない。この台だけで3000円も消費してしまったのだから。
千円札でも入っていてほしいと祈りながら財布を開くと、ゲームセンターでは役に立たないであろう十円玉と一円玉だけが寂しく転がっていた。
いつまで絶望していたのだろう。固まってしまった私の横から自分の百円玉をサッと入れた景光くん。しびれを切れさせてしまった。
「え!私が出さなきゃだめだよ!だって、私が欲しいぬいぐるみだもん。」
「“オレが取りたいから”って言ったら?」
ぐうの音も出ない。
でも、そんなことをさらっと言ってしまう景光くんはどこまでも狡くて。
「前回教えたのは……」
真剣にクレーンゲームに向かう景光くんの横顔は誰よりもかっこよくて。
「……って、聞いてる?」
「あ、あぁ。うん!」
「聞いてないでしょ」って笑ってくれる景光くんに照れ笑いを返して、また彼の横顔に夢中になってしまった。
「……はい、どうぞ。」
気付いたら、うさぎのぬいぐるみを抱えた景光くんが立っていた。いつの間にか取っていてくれたらしい。
180センチをゆうに超える高身長の男性が、ちまっとした可愛らしい人形を抱きしめている図があまりにも可愛くて、彼がよそ見をしている隙にスマホを取り出した。慣れた手つきでカメラアプリを起動し、ぱしゃり。
「あ、撮ったでしょ。」
「撮ってないでーす!」
スマホをぱっと隠して、彼からぬいぐるみを貰う。もちろんお礼もして。
写真のこと、多分気付いてるんだろうな、とは思うけれど。
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