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言葉が息をしたがっている

わたしは、
大地と、空と、海と、樹木と、草花と共存して彼らを愛でながら生きたかった。
人以外の生き物と意思を交わし大切にしたかった。
音という概念そのものになりたかった。
ピカソが描くゲルニカの中に飛び込んで泣きじゃくりたかった。
この世に存在する文字のひとつになりたかった。

わたしは、

人ならざるもの、あらゆるものに恋をし、そして、愛している。
もうずっと、長い間、そんな夢を見ている。

言葉を介し交わる事は人の常である。
言葉を未だ得ぬ赤子でさえ、人である限り何れ訪れる悲しい結末である。
わたしはその様に思う。

ならばいっそその定められた結末を極めてみれば或いはと、
わたしは日々言の葉を複雑に手折り、噛み千切る。

去れども、求めるものはわたしの前には現れない。
その何れも、わたしには決して微笑まない。
そう、最初から解っていた。
此れはただの八つ当たりであると。

言葉を愛する事は出来ても、綴り紡ぎ愛でる事は出来ても、言葉はわたしを愛さない。

本当に欲しいものは手に入らないように、
きっとこの世は、そんな風に出来ている。

まるで、そうだ。
それは、わたしの観る景色は、
喩えるならば、
満点の星空のようだ。

光が滲んで、今日もまた、わたしの目から何かがこぼれ落ちる。
其れはわたしの愛するもの達を癒すことなどないと、知っていながら。
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