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言葉が息をしたがっている

思い描くのは蛇。それを柔和な面持ちで撫ぜる人。
蛇は紡ぐ。歩む脚もなく只々往く。其処には光も影も在る。安らぎも恐怖も同時に呼吸をする。それをこんなにも愛おしげに撫ぜるのだから、きっと彼は宇宙の果てで孤独に首を絞められて死ぬのだ。

ある日彼女は刃を突き立てた。言葉を失った声が強く木霊する。すると蛇は、彼女の傍らで息も絶え絶えに鮮血を吐いた。彼は、今まで目にした事の無い繊細で眩い其れに酷く目が眩み、奥歯で幾滴もの涙を噛んだのだった。
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