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日記

生まれてきた意味など存在しない。そもそもこんな境遇でそんなものが存在している方が不自然だ。毎日少しずつ生暖かくなってゆく空気に翻弄され、自分にはあまりにも重いこの力に抗えず、ため息を漏らし、寝ぼける余裕すらない。
浅い眠りを繰り返し、気の休まる間もないまま、淡々と時は残酷に針を進める。行き遅れた僕は周りに突き放され、必死にもがいてもたどり着くことの出来ないところまで落ちてしまった。
36.5℃より少し冷たい僕と、それよりも冷えて青白くなってしまった君を重ねては、無力感に苛まれる。いずれ心も体も完全に冷えきってしまって、人間ではないかのように扱われてきた僕らは、本当の意味で人でなくなってゆくのだろう。
僅かな希望にしがみつき、塵のような勇気をかき集め、歪な愛をカバンにありったけ詰めて飛び出した、いや突き飛ばされたと言うべきか、飛び立った僕は、初めこそ僅かに希望を持っていたものの、今では粉々に砕けて風に吹き飛ばされてしまった。見つかるはずのないそれを生涯探し彷徨い続け、いずれはこの無限の砂の一部となるのだろう。誰にも見つからず、ただ化け物として生きて塵となって死んでゆく。何者にもなれなかったなり損ないの僕は、果たしてこの旅に意味を見出せるのだろうか。
何方にせよ、彼女との誓は守るつもりではいるが、カピカピに乾いた身体に奇跡的に芽生えた小さな蕾は、僕らに一時的に生きる意味を与え、そして咲かずに枯れていった。元から具合の悪い土にどれだけ頑張ったところで美しい花は咲かない。彼女は慈悲に溢れ、暖かく、まろやかで、残酷な人だった。僕にとって最初で最後かもしれないかけがえのない人は、いとも容易く途絶えてしまった。ああ、これが条理というものなのか、運命とはこうも無慈悲なものなのかと嘆いたところで彼女が戻ることは無い。この世は実に上手く作られている。
さて、この果てまで続く無限の砂の海から、僕はそれを見つけ出せるだろうか。ひょっとしたらすぐ側にあるのかもしれないな、と限りなく低い仮説を嗜みながら歩みを進める。この足が止まる時は朽ちる時か、それを見つけることが出来た時なのだろう。
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