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序章

惑星 PT-550223。通称『イマチュア』。
それがこの星の名前である。
この星には、約500年もの長きにわたり語り継がれてきた伝承がある。
「─神はラロクルといった。
神と人は実に密接に時を過した。
神は人を愛し、知を与えた。
人は神を慕い、崇拝した。
人々はやがて文明を構築し、領域を拡大していった。
─だが、人々の愚行が、神の怒りを呼び起こすこととなった。
神は人類に鉄槌を下した。
地は荒れ、突風が巻き起こり、山々は崩れ、海は枯れ果て、全てが崩壊し、世界は無へと帰した。
実に世の生態系の過半数を破滅へ導いたとされる。
これを人々は『ラロクルの天罰』と呼んだ。」

この世に存在するものには、必ず始まりがあり、やがて終わりを迎える。しかし終わりは、新たな始まりをも孕んでいる。
"崩壊"と"再生"は、この世に存在する以上避けては通れない。
但し、これを忘れないで欲しい。"崩壊"は、ただ終わりへと進むだけでは無いと言うことを。

崩壊はこの先全てを破滅へ導くか、それとも新たな道への切り札となるか。どう転ぶかは、誰にも分からない。
だが、その崩壊の先に何を見出すのかは、我々自身の選択にかかっている。
選択には自己責任が伴う。その先には、未知への恐れと、取り返しのつかない失態を犯す可能性に対する不安が立ちはだかる。
しかし、そこで恐れに屈して現状に甘んじるか、意志を貫いて新たな道を切り開くか。それは我々自身が決めることだ。

この神話は、そんな"崩壊"のほんの一例に過ぎない。
環境のみならず、世界そのものが繰り返す"崩壊"と"再生"は、無慈悲ながらも希望への道筋を指し示す。
それは、時に人の心の中でも起こり得るのだ。
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