5月16日
─母さんと父さんの声が聞こえる。
知らない人の顔が、次々に浮かんでは消える。
たくさんの人の声が、頭に鳴り響く。
「よくのうのうと生きていられるな」「見ていて恥ずかしい」「恥晒し」「産んだのが間違い」「堕ろせば良かった」「今からでも死ねばいいのに」「産まれてこないで欲しかった」「お前さえ居なければ」「誰もお前を望んでいないのに」「お前のせいで全て狂った」「お前が」「お前のせいで」「お前のせい」「お前のせい」「お前のせい」「お前のせい」
…俺のせい、俺のせい、俺のせい、俺のせい…俺のせいで、俺のせいで、俺のせいで……
俺なんか、生まれて来なければ…………
─目が覚める。
─今のは夢、ただの夢…
今日も浅い眠りから飛び起きた。全身がじっとりと汗ばんでいる。息が上がっていて、血の気が引くのが分かる。体が震えている。これが現実だと気づくと、少しずつ呼吸を整え、溜息をつく。
最後にぐっすりと眠れたのは何時だろうか。
─いや、今までの人生で満足に眠れたことなんて無かったかもしれない。
毎晩被害妄想で目が冴えて眠れず、やっと眠りについたと思ったら悪夢に魘され、跳ね起きる。二度寝をする体力すらない為、そのまま日が昇るのを待つ。
産まれてから、ずっとこうだった。
今更しんどいだとか、もっと眠りたいだなんて思うことは無い。これが僕にとっての当たり前だからだ。いつか安息できる日が来るなんて淡い期待は、とうの昔に消え失せた。
でも、今日のは特に生々しかった。
今もあの声が頭に反響して鳴り止まない。
─もう、過去は捨てたと言うのに。
彼らは未だに僕を束縛して、赦してはくれない。
─いや、赦して欲しいだなんて思う事もおこがましい。
僕は、赦されなくて当然だ…。
きっと、これが死ぬまで続くのだろう。
僕は、"産まれてきたこと"自体が大罪なのだから。
でも、もしかしたら、いつかはきっと何にも邪魔されることなく、心置きなく過ごせる日が来ると、どうしても期待してしまうのだ。
期待することは苦しいだけだ。頭ではわかっているつもりだが、現に今、僕はその期待から国を出て旅をしている。
そして、ここは先進国、カウンフェイト。
僕はこの国を訪れてから、随分変わった。
1番大きいのは、なんと言っても彼の存在だろう。
to be continued…
知らない人の顔が、次々に浮かんでは消える。
たくさんの人の声が、頭に鳴り響く。
「よくのうのうと生きていられるな」「見ていて恥ずかしい」「恥晒し」「産んだのが間違い」「堕ろせば良かった」「今からでも死ねばいいのに」「産まれてこないで欲しかった」「お前さえ居なければ」「誰もお前を望んでいないのに」「お前のせいで全て狂った」「お前が」「お前のせいで」「お前のせい」「お前のせい」「お前のせい」「お前のせい」
…俺のせい、俺のせい、俺のせい、俺のせい…俺のせいで、俺のせいで、俺のせいで……
俺なんか、生まれて来なければ…………
─目が覚める。
─今のは夢、ただの夢…
今日も浅い眠りから飛び起きた。全身がじっとりと汗ばんでいる。息が上がっていて、血の気が引くのが分かる。体が震えている。これが現実だと気づくと、少しずつ呼吸を整え、溜息をつく。
最後にぐっすりと眠れたのは何時だろうか。
─いや、今までの人生で満足に眠れたことなんて無かったかもしれない。
毎晩被害妄想で目が冴えて眠れず、やっと眠りについたと思ったら悪夢に魘され、跳ね起きる。二度寝をする体力すらない為、そのまま日が昇るのを待つ。
産まれてから、ずっとこうだった。
今更しんどいだとか、もっと眠りたいだなんて思うことは無い。これが僕にとっての当たり前だからだ。いつか安息できる日が来るなんて淡い期待は、とうの昔に消え失せた。
でも、今日のは特に生々しかった。
今もあの声が頭に反響して鳴り止まない。
─もう、過去は捨てたと言うのに。
彼らは未だに僕を束縛して、赦してはくれない。
─いや、赦して欲しいだなんて思う事もおこがましい。
僕は、赦されなくて当然だ…。
きっと、これが死ぬまで続くのだろう。
僕は、"産まれてきたこと"自体が大罪なのだから。
でも、もしかしたら、いつかはきっと何にも邪魔されることなく、心置きなく過ごせる日が来ると、どうしても期待してしまうのだ。
期待することは苦しいだけだ。頭ではわかっているつもりだが、現に今、僕はその期待から国を出て旅をしている。
そして、ここは先進国、カウンフェイト。
僕はこの国を訪れてから、随分変わった。
1番大きいのは、なんと言っても彼の存在だろう。
to be continued…
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