8*小学生ホストの弟子入り
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「どうしてこういうことになるんだろう」
そう呟いたのはハルヒ…そのたった一言からも哀愁が漂っている
「うまく潜入できたね」
そんなハルヒに声をかけるのは初等部仕様に変装したハニー先輩
「これなら初等部の生徒に見えるから、大丈夫だよね?ハルちゃん」
「確かに、初等部の校舎に潜入するのに初等部の制服を着るのは理解できますし、ハニー先輩 似合ってると思いますが」
ハニー先輩と同様、ハルヒも中等部仕様に変装している…いや、させられているのである
「どうして自分が中等部の制服姿にならなきゃいけないんでしょう…」
こそこそと、動くのはいいものの
やはりバレバレの潜入だと言うことは誰の目から見ても明らかである
「十分目立ってるこの変装に、何か意味はあるんでしょうか…」
ふぅ…とため息をつくハルヒ
しかし、その背後でハルヒの声に反応する影が…
「意味はある…!めちゃくちゃ意味はあるぞ!」
「「なんて可愛いんだぁ〜!!」」
「あぁ…!ミニスカート姿が、まるでお人形さんだぁ…!」
…多分この話は潜入組に聞かれていないとは思うが、この理由を聞かれたらきっと怒られるぞ
「要するに、お前が見たかっただけなんだな…?」
「ハニー先輩とハルヒ…不憫やなぁ」
「うぅ…」
頑張れよ…あと少しの辛抱だ
と背中にエールを送る
「…麗さんも着れそうじゃない?」
「中等部女子の制服」
「寝言は寝ていえ、なんなら今ここで気絶させてやろうか?」
「「ごめんなさい」」
「素直でよろしい」
***
「…初等部の校舎は、なんか可愛らしな」
作りやデザインは高等部校舎に似ているものの、何となく雰囲気が柔らかい気がしてボソリ…と呟く
「あれ、麗さんって」
「初等部から桜蘭じゃないの?」
「俺は中等部からだよ」
そういい前に視線を戻すと教室に変装した2人が入っていった
その扉の上の方を見ると”5-A“の文字
教室を恐る恐る覗き込むと、初等部の生徒や先生は見当たらない
…もちろん嗣郎の姿もだ
「なーんだ、誰もいないのかぁ」
「「懐かしいなぁ」」
それがわかるとゾロゾロと、遠慮もなしに入っていく部活メンバー
…まぁ、過ごしたことのある教室だから遠慮も何もないか…
「俺の落書き残っているかな」
「うちの学校の机は毎年総入れ替えだ」
「うわ…ちっちゃい机やなぁ」
「後で食堂行ってみようよ」
「あと体育館もね!」
「あぁ!良いねぇ良いねぇ!」
さらに盛り上がっていく話と、声のボリューム
「そんな大勢で来たら、変装して潜入した意味が無いじゃないですか」
コソ…とハルヒは小声で話してくるが、そんなものお構いなしである
「いいじゃーん」「誰もいないし」
「くぅ…!」
すると廊下から聞こえる一つの足音
靴音からして、これは革靴…先生か、と誰もが予測する
咄嗟に全員しゃがみ込み、机の影に隠れる
「先生に見つかると」
「流石に忍び込んだ言い訳が面倒だな」
確かに、しかもこんな大勢で見つかると叱られるかもしれない
そして何より変装している彼らが可哀想である
そう思っていると
「しーっ静かに!」
ハルヒが注意を促してくる
「お口にチャック…!ん!」
子どもたちに向けるような可愛らしい注意の仕方に、顔を真っ赤にしてお口にチャックをする環と双子
馬鹿丸出しだな、そう呆れる
「…ん?…誰かまだ教室に残っているのか…?」
廊下から かけられた声
足音が一度止まり、こちらに近づいてくる気配
部員メンバーが顔を見合わせる
ヤバイ…!!そんな空気が漂う
しかし、これは使えると笑ったのが麗
正直いうと、飽きてきてたのだ
スッと立ち上がる姿に
「麗…?」と環が声をあげる
「用事がないなら早く帰宅し…」
扉から顔だけを覗かせる麗
扉に添える手は控えめに、いじらしく
「あぁ、よかった…先生、ですよね?」
「そうだが、なんで高等部の生徒がここにいるんだ…?」
ドキっ…と心臓を跳ねさせる部活メンバー
「あの、お恥ずかしい話…綺麗な音楽に誘われて歩いてたら迷ってしまって…」
僕、中等部からこの桜蘭に来たので、ここが初等部の校舎だと知らなくて…
そう付け加えれば「なかなか褒められた行為ではないな」と言われる
…意外と面倒くさいぞこの教師
「ふふ…でもよかったぁ、出会ったのが先生みたいな優しそうな人で
…僕のこと高等部校舎まで案内してくれませんか?」
わざとらしく教師の腕にしがみつく
垂れた髪の毛を耳にかけ
チラリと上目遣いで見上げれば完璧
「…し、仕方ないな」
少し頬を染めて目を泳がせる
…チョロい
「ふふ…ありがとうございます」
しっかりお礼も忘れず言うと
こっちだよ、と先ほどより優しい声をかけられる
「はぁい」なんて、いつもは出さない声で返事をし、チラリと後ろ…部員メンバーの方を見ると
感動している眼差しと、驚いている眼差し、そして呆れている眼差しと目が合う
そんな顔している暇があるなら、さっさと嗣郎のとこ行けよ
という意味を込めて中指を立てた