7*双子、ケンカする
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「「はーい♡久々の“どっちが光くんでしょうか”ゲーーーム♡」」
拍手と共に楽しそうな声が聞こえる
この前の険悪な雰囲気とは大違いだ
やっと、前と同じ様な接客風景が…
いや一点、前とは違う光景がある
「はいっ!ピンクの方が光くん♡」
「「大当たり〜〜!!」」
「仲直りしてもしばらく色はそのままなのね♡」
「わかりやすくなって嬉しい…!」
そう、双子の髪色がピンクとブルーのままなのだ
それにより『どっちが光くんでしょうかゲーム』もさらに盛り上がりを見せている
双子を見極められたと嬉しそうにする姫たちの顔には、とても嬉しそうな笑顔が浮かんでいる
そして、双子の顔もまた笑顔だ
「あれ、交換したの?」
そんな中、双子にかけられる声
それはハルヒのもので
一体何を問いかけられたのか、双子は一瞬理解ができなかった
「だから、今日はピンクが馨なの?」
その答えを言う前に、ハルヒは呼ばれて行ってしまう
「……光」
「…なに?馨…ぅわっ!!」
ハルヒの言葉に驚いたままの光の手を掴み走る
向かうはあの人の所
あの人も…?
その考えで頭がいっぱいだった
「麗さん…!」
今日はペアではなく、フリーで接客をしている目的の相手
十分聞こえる距離まで来ているのに、気持ちが焦って大きな声を出してしまう
「ん?どうしたん?馨」
「「!!」」
先頭で走ってきた僕の目をしっかりと捉え
この人は…麗さんは僕の名を呼んだ
僕と同様、光も驚いたのが、繋いだ掌から伝わってくる
「光も連れて…もしかして指名?」
「い、や…違うんだけど、さ」
「うん?」
わざわざ聞くまでもなかった
そうわかっているのに
『本当に?』と言う気持ちがどんどん湧いてくる
「ね!麗さん!!どっちが光くんでしょうか!」
それは光も同じだったらしい
…やっぱり双子だね、僕ら
僕の前にずいっと出てきて、ゲームを始める
「え、そやし…こっち、ブルーが光で、ピンクが馨、でしょ」
何を当たり前のことを…とでも言いたげな表情
モヤモヤとした気持ちがすとん…と、落ちた気がした
すると、次の瞬間には麗さんは ふふ…と笑い
「仲直りしてから染め直すなんて、本当に仲良しやね?でも髪が痛むから程々にな?」
そう言って僕らの頭を軽く撫でてくれた
「…麗さんは、俺たちのことどうやって見極めてるの?」
頭を撫でられながら、光が問いかける
「…前に馨にも言ったけど、目、だよ」
「「…」」
「馨はね、目が優しいんだ」
…知ってる、前にも聞いた言葉だ
チラと光の方を見ると、目があった
互いの目を見て…まるで確認でもしているみたいだ
僕らにはわからない
「光は、目が輝いてる…喧嘩の時も言ってたけど、包み隠さず素直な証拠やね」
新しいゲームとか、おもちゃ見つけて遊びたがるんは、いつも光が一足早いんじゃない?
コソっ…と付け加えられたその言葉にさらに目を見開く
そんな僕らを見つめる麗さん
…僕の目が優しい?そんなの、麗さんも一緒だよ
「あ、呼ばれたからちょい行くわ」
鏡夜先輩に呼ばれて、こちらに背を向けて歩き出す麗さん
「僕ら」と「僕ら以外」だった彼らの世界に思わぬ侵入者が到来した…それも二人も
双子がそれに気がつくのはもう少し先のお話
双子、ケンカする
「ふふっ…そういや、ハルヒ宅訪問の件はお許しもらったん?」
その為の喧嘩ごっこだったんでしょう?
と和かに問う麗さんに
この人はどこまでお見通しだったのだろう…
と少し怖くなる1年ズだった…