7*双子、ケンカする
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「何故だ…奴らのせいで俺たちの方が憔悴しきっている気がする…」
放課後…同時に部活終了後
いつも行っている明日のミーティングの時間だ
しかし、今日は人数が少ない…2人ほど
誰かと言うのはお察しの通りである、そう双子だ
「…この状態が続くようなら兄弟愛設定も変えざるをえないが…指名率ダウンは確実だな…
麗とペアで組ませても、どこまで取り返せるか」
「…本当、とばっちりだ」
項垂れて頭を抱える
思い返すのはつい先ほどまでの接客
絶交した2人は共に接客が出来ないため、代わりにペア接客が得意な麗が光や馨とペアで接客をしていたのだが…
光と接客してる時は馨が
馨と接客してる時は光が、それぞれ邪魔しに来るのだ
そして、学食でもあったような物の投げ合いに繋がってしまう、ということだ
「ペナルティはおいおい考えるとして…あぁ、ハルヒ」
電卓を叩きながら、ふと、鏡夜がハルヒを呼ぶ
「何も責任を感じる必要はないんだよ?たとえ元凶が、心ないお前の一言だったとしても、ね…?」
紛れもない殺意が、それはもう大量に込められている
言葉が重りの様だ…
これにはハルヒも顔を引くつかせていた
「ヒカちゃんとカオちゃんが喧嘩なんて初めてだよね〜!」
そんな空気を壊したのは、ケーキに舌鼓を打っているハニー先輩
「そうなんですか?」
「僕、幼等部の時から知ってるもん、いっつも2人だけで遊んでたしねぇ」
「ああ…
俺は中等部からしか知らないけど、かえって浮いてたよな、自分達以外誰も寄せ付けないって感じで」
ハルヒの問いに、ハニー先輩と環が双子のことを話す
「そう考えりゃ喧嘩なんていい傾向なのかもな、少しは『世界』が広がってきてるって事じゃないの?」
こちらから少し離れた場所で、ギャーギャーと騒ぎ出す双子を見やる
…世界、ねぇ
口元に軽く笑みを浮かべ、珈琲を一口飲む
「この際ほっとくのが一番」
そう環が微笑んだ途端、環の両側にあった銅像から槍のトラップが作動した
「やっぱ制裁!!!」
それに我慢ができなかったのか、先程言ったこととは真逆の言葉を残し、双子と共に外に出ていく環
外の騒がしさに窓に近寄ると
やはり、外まで追いかけていったのか…
見えたのは3人が騒いでいる姿
すると、隣に誰かが並んできた
ハルヒだ
ハルヒも、外の3人をじっ…と眺めている
「…どうした?ハルヒ」
「麗先輩…自分は、初めての喧嘩ならなおさら、誰かが引き際を教えてやらないといけないんじゃないかと思うんです」
仲直りの仕方も知らないだろうし…と続けるハルヒの頭を撫でる
「…じゃあ、ハルヒが教えてやればいい」
「自分が…?」
「俺は喧嘩って言ったら殴る蹴るの世界だし、あんな可愛い喧嘩、放って置いたら?って思ってたけど…ハルヒは優しいね」
そう言って前髪に触れるだけのキスをする
ハルヒの身体を回転させ背中を押すと、ハルヒは外に出て行った
それに続いて部室を後にする先輩方を窓際から見送る
「お前は、行かないのか?」
鏡夜に声をかけられた
「うん、どうせもう結果は知ってるし…あとはハルヒに任せればいいかなって」
「…結果、か」
「悪い方向には進まないよ、絶対ね」
それに、きっと双子の狙いは”ハルヒ“だろうし?
馬鹿正直なハルヒは本当に可愛いなぁと窓の外を眺めていると
「…なら、俺もここで待とうかな
麗には聞きたいことが幾つかあるしな」
隣に並ぶ副部長サマ
「…俺には話すことはないから、」
「俺が?誰を大好きだって?」
やっぱりそれか
はぁ、と わかりやすくため息をつくと
鏡夜の目が細まる
機嫌を損ねてしまっただろうか?
「鏡夜は、俺のこと大好きだなぁって」
「…」
「あれ?違った…?」
首をわざとらしく傾げる、が
……そんな嫌そうな顔しなくても
少し切ない気持ちに襲われる
「…冗談言って悪かった、だからそんな眉間にしわ寄せるな」
交わっていた視線をこちらから外す
窓際に腰掛け、また外の様子を見ていると
「お前こそ」
「…ん?」
「お前こそ、俺のこと大好きじゃないか」
声の近さに鏡夜の方を向くと
先程よりグッと近づいた距離
鏡夜の家に泊まったあの日を思い出す
…なんだ?仕返しのつもりか?
「……どうなんだ」
なんでそんな真剣な顔をするんだ
今まで、ふざけあっていただろう?
何故距離が、顔が…こんなにも近い…?
するりと頬を撫でられる
いつものように少し低い体温…
鏡夜の冷たい手に、俺の頬の熱が移りぬるくなる
その手を外そうと目線を逸らすと、顔を上げさせられ、自然と視線を合わせられる
「……冗談言うたのは、謝るって…」
「…別に冗談を言ったことを怒ってるんじゃない」
「え…めっちゃ眉間にシワ寄ってるじゃん」
「お前が勝手に冗談だと決め付けたからな」
「……ん???」
どういうことだ?自分で話を進めておいて、訳がわからなくなってしまった
「お前が言ったんだぞ…?俺はお前が大好きだと」
「え、あ…あぁ…だから、ごめん…?」
「…はぁ」
盛大なため息
…いや、なんなんだ
「まぁいい、お前に遠回しに言うのはやめるようにするよ」
「…ぅ?」
触れられていた方の頬を軽く摘まれる
「お前が」
「「麗さーーん!!!」」
突如スパーーンッッと開かれたドア
「あ!いた!麗さん、なんで来ないのさ」
「あ、鏡夜先輩もここいたの?」
「「つまんなーい!!」」と声を荒げる双子
あとから追ってきた部活メンバーは疲れ切っている…特にハルヒと環
「…っふ、ふふ、もう喧嘩“ごっこ”は終わったん?」
鏡夜の手をどかし、そう声をかけると
「「!!…え、気付いてたの…!?」」
「まぁ、今日の昼に気づいた感じかな」
そう言うと、ハルヒや環も驚いた顔をこちらに向ける
…なんて顔をしているんだお前らは、そっくりだな
「え〜!なんでなんで〜?」
ハニー先輩達も不思議そうにこちらを見てくる
「髪の色は被んなかったのに、なんで昼食のメニューだけあんなに被るんだよ」
あ。とでも言いたげなその表情に、思わず吹き出してしまった