7*双子、ケンカする
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「いいか…?最低点数のやつが、今日の昼飯奢りだからな…!!」
そう声が響くのは、2年Dクラスの教室
そして、その声の持ち主のトレードマークは派手な赤髪…
「おう!ま…和久には負けるわけねぇけどな」
それに同乗するのは傷んだ茶髪…某マネージャー騒動で悪役のレッテルを貼られた男子である
「…どうせ最下位は和久だろ?わかってんそやさかい、はよ点数見せろよ」
そしてもう1人、桜蘭ホスト部内で清楚系の受け持つ男子…麗である。
部活内の表情とは一変、鋭い目つきと怠そうな態度だが、正真正銘本人だ
「なっ…!!麗!そんなこと言ってていいのか!?」
「おっ、何?自信あんの?今回の小テスト」
和久と呼ばれた男子が喚くと、茶髪の髪を揺らし、宇佐が茶化す
「あったりまえだ!じゃなかったら最下位のやつは奢りだなんて持ちださねぇよ」
「そりゃそうだな」
「ま、まぁ?麗には多少敵わなかったとしても?宇佐!お前にだけは勝てる自信があるんだ!」
早く見せろと目で訴える麗に尻込みつつも、和久は宇佐の方を指差し強気を見せる
「言ってくれんね、よし!じゃあいっせーので開けろよ?」
「あぁ!」「おう」
宇佐の言葉に、和久、麗が続き
配られたばかりの小テストの答案を開くスタンバイをする
「「「いっせーのーっせっ…!!!」」」
教室いっぱいに響くその声に
寂しげな担任兼数学教師の声が後を追った
「お前ら…まだ授業中、だぞ…」
***
「笑“う”な“っ…!!」
アッハッハ…と豪快な笑い声が廊下にこだまする
「いや、自分で言っといて最下位とか出来過ぎだろ…!!ぷ…フハッ!!ハハッ!!」
「あ”〜〜!!!宇佐には勝てると思ってたのに〜!!!」
「残念だったな!」
目尻に涙を溜め、腹を抱えて笑う宇佐の足を
和久が恨めしそうに蹴るが、効き目は薄いようだ
「でも、あと少しで宇佐抜かされそうやったけどな」
和久にしては頑張った方やね
そう褒めると、和久が嬉しそうに肩を組んでくる
「そう…!そうなんだよ!!麗はわかってるな!!」
「でも約束は約束そやし、昼飯は奢ってもらうで?」
「ぐぅっ…!!わかってるよ…!!」
約束を口に出すと、やはり自分で言い出したと言うプライドもあるためか、顔を顰める
その顔に、気づかれない程度にフッと笑う
「学食のランチボックスにして教室で食う?屋上とか!」
と和久が聞いてくる
確かに、和久に奢ってもらうにしても
あの学食内で食べるのは些か…いやかなり
抵抗がある
Dクラスを別に隠しておるわけではないし、コイツらと並んで食べるところを見られたくないわけでもない
嫌なのはホスト部のお姫さん達に会うのは絶対に阻止したい。特にコイツらの前では
「屋上言ったら午後の授業に絶対出なくなるぞ、麗が」
「あ、そっか」
「俺は屋上でも全然いいけどな」
話の流れからして、ランチボックスが今日の昼飯っていうことで進むらしい
安堵の息を漏らす
「本当…なんで授業でないくせに点数とれんだよお前は…」
宇佐が憎たらしいという目でこちらを見てくる
「俺、理系やし」「理系で済ますな」
なんて、そんなことを話していると
「うっわ…なんだあの頭の色」
和久のその言葉に、周りを見渡すと
視界に飛び込んできたピンクとブルー
…と、それに挟まれる自然な茶色
「…何やってん、あいつら…」
「え、麗…あいつらと知り合い…?」
和久が驚いた表情を見せてくる
そうだろうな、俺だってびっくりしたからな
…いや、そんなことを言ってる場合ではない
今あいつらに絡まれたらめんどくさいのは分かっている
何よりの証拠が、あのハルヒの状況だ
「ん…あー…あぁ、和久、やっぱ今日は」
「あ、麗さんじゃん!」
見つかった。
見つけられないように背中を向けていたはずが
名前を呼ばれてしまった。
しょうがなく振り返ると、もう近くまで来ているカラフル双子と可哀想なハルヒ
「あぁ…てか、どうしたんお前ら…青って、随分かいらしい色選んだなぁ馨…光はピンク何か」
「そう!1人で染めたんだ!もう光なんかと間違えられたくないからね!」
また始まった…と、ハルヒがため息をついたのを視界にとらえる
「なっ…!それはこっちのセリフだって」
「待て…俺の前ではケンカしなくてええから」
また口論が始まりそうな2人にストップをかける
こんなところで騒がれてお姫さん達が集まってきたらどうしてくれるんだ
「「だって光/馨が…!」」
「あーうるせぇうるせぇ…ハルヒも大変だな、じゃっ、俺はこれで」
何を言っても埒が明かない
そういう時は、よし撤退だ
そう思い、半強制的に会話を断ち切り
早々にその場を離れようとした…のだが
「麗先輩も今からお昼ですか?」
「あぁ…そうだけ」
ガシリとつかまれる両腕
掴んでいるのはハルヒ
一緒にいてくださいと顔に書いてある
助けてください…ともだ
「………学食の所までだからな」
結局折れてしまうのだ、この瞳に…