6*閑話 [ご機嫌/ハニー先輩のうさちゃん]
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「「ってかさー?麗さんって、本当にD組な訳?」」
マネージャー事件も解決し
また、いつものような時間が流れる今日この頃
ずっと気になっていた一件を鏡夜先輩に問う
ちなみにハルヒと殿も一緒だ
「…どうした急に」
「「だってさー?」」
そう目を向ける先には…
「お姫さん、香水変えたん?」
「あ…はい、昨日新しいものを見つけまして…どうでしょうか」
「ふふ…心配せんで?すごく、君に似合ってる」
お客の手を握り、視線を合わせる麗さん
「……麗さま…♡♡」
ありゃ…いつもより落ちるペースが早いね
「「全然D組勢に見えないんだけど」」
「……まぁ、見えませんね」
俺たちの意見にハルヒまでも同意する
Aクラスから移動したとか?
…なんて、近くで俺たちと同じく麗さんの様子を見守ってる殿に聞くと
「麗は…D組というのは聞いていたが、ただの冗談かと…」
殿もやっぱり信じてなかったんだ…
まぁ、そりゃそうだよなぁ
D組って言ったら柄の悪い奴らが多いのに
麗さんがあの教室で勉強してる姿なんて全然イメージ湧かないもん
「麗さま…頬、まだ治りませんのね…大丈夫ですの…?」
すると、そんな会話が聞こえ、視線を戻す
確かに麗さんの頬にはまだ薄いガーゼが貼られている
本人が言うには「どうってことない」みたいなのだが
なにせ麗さんは元が色白だ
赤みがまだ治まらないのだそうだ
「う“っ……」
「…殿、もしかして」
「まだ仲直りできてないの?」
「いや、まず喧嘩ではないんだが、喧嘩ではないんだ、喧嘩ではないと…思うんだけどどう思う…?」
「「知らなーい」」
「まぁ、目に見えそうなほど壁を感じるのは確かだな」
「うぅう……」
お客の言葉に加え、鏡夜先輩のトドメで言葉を詰まらせる殿
んー…確かに最近は全然麗さんと殿のペア、指名入ってないよなぁ
「でも麗先輩って、そんなまわりくどいことするような人ではないような気がするんですが…」
ハルヒのその言葉に、確かにと納得する自分がいた
麗さんは、いい意味でも悪い意味でもさっぱりしている人だ
…壁なんて、やっぱり気のせいじゃ?
って思うけど、それを感じているのが鏡夜先輩なんだもんなぁ
説得力がありすぎる…
「……お姫さんに心配させてしもて…なんや心痛いわ、でもなんやろ、嬉しい自分もいるん…俺、変どすなぁ」
「そ…そんなこと…!」
「…あ、そや、お姫さん…君がキスしてくれたら、きっと治るのが早くなると思うんやけど…」
「…え」
「ダメ…かな…」
「わ、わわ…私…っっ…♡♡♡」
顔が真っ赤になるお客
あーあ、茹で蛸みたいだ
そんなお客に「冗談、ごめんね」と言い
前髪にキスをする麗さん
その行為に、お客は限界突破したのか
もう声も出ていない
…傷までも商品にしてしまうとは、流石としか言いようがない
「ま、環のことは置いといて…あいつは正真正銘、D組だぞ」
そう言う鏡夜先輩はなぜか笑顔を浮かべているが
それが何を意味するのか、僕らにはわからない
そして、次にはこう言うのだ
「そんなに気になるなら昼休みあたりに確かめてくればいいだろう」
***
「…と、言われたから」
「来てしまったけど…」
「本当にいるのか…?」
「…なんで自分まで」
光、僕、殿、ハルヒの四人でいざD組へ!
…と向かったはいいものの
やはり信じられない…と
2-Dの教室を覗きこむ
「「ハルヒだって気になってるだろ〜?」」
「………まぁ…」
渋々と言った雰囲気のハルヒ
でもやっぱり気になってるんじゃん?
…まぁ、ハルヒは麗さんに意外と懐いてるし、ハルヒ自身も、麗さんに可愛がってもらってるからなぁ
なんて考えていると
「あ?……んだよ、お前ら…」
「なんかこのクラスに用か?」
僕たちに気がついた、ザ・不良というような人たちが声をかけてきた
「え“!あ…あの、自分たちは」
「あれ、お前…この前の一年?特待生じゃん」
ハルヒがその人たちに説明しようと口を開くと
聞いたことのあるような声が聞こえてきた
「「あー!!悪者キャラ!!」」
「は?まだんなこと言ってんのか」
この前の「うき☆ドキ(略)」撮影で巻き込まれた悪役(仮)の一人がそこにいた
名前も知らないから、自分たちの中にある情報でそう呼ぶと、少し不機嫌になるその先輩
ばっかじゃねぇの?
あの女にまた言われてきたのか?
そうすごい形相で睨んでくる
うっわ…こわー…
なんて呑気に思う自分がいる
だけど逃げるほど怖くないのは、この人が麗さんの友達だからだろうか
「ち、ちがう!」
「げ…須王もいんのかよ…」
勢よく発言する殿…
勘違いされたくなかったのだろう
「この前は、…本当にすまなかった…」
「いや、別に?もういいし、早乙女から十分ってほど礼を受けたし」
「「礼…?」」
「あぁ、俺とあんときの一年にって、でっけぇ菓子折寄越してきてよ」
「…!!麗先輩」
その事実にハルヒが感動している
それは俺らだって同じ
色々嫌な思いもしただろうに、フォローはしっかりする
副部長補佐の座はやっぱりあの人しかいないのだと感じた
「ってか、何?早乙女に用事?」
「…あ、えと…」
「待ってな、そろそろ帰ってくると思うぜ?」
「「帰ってくる?」」
僕らが危害を加えないと確信したのか
口調が少し柔らかくなった気がした
「あぁ、あいつさっき担任から呼び出し食らってな」
「おい!宇佐ぁ!!麗帰ってきた!?」
「まだだって、んだよ急に」
「何って、アイツさぁ!!って、あーーーー!!!!」
話していると、突然乱入してくる赤髪の人
ピアスすご…声でか…
あまりにも違う雰囲気の教室内に、少し苦笑いが溢れた
その赤髪の人は、宇佐と呼ばれた悪役先輩の間と俺たちの間をすり抜け、廊下に出る
駆けて行ったその先には
「麗ーーー!!!!」
御目当ての相手…
麗さんがこちらに歩いてきている姿が見えた
「…んぁ…?何」
「何ってお前なーー!!なんだよこれ!!」
「手前ェの目で見てみろよ、わかるやろ」
「ちっげーーよっっっ!!!なんで割れてんだよ!!俺のDVD!!!」
「割りたかったから」
うるさい赤髪の先輩が手にしているそれは
学校に似つかわしくない代物
殿はそれを見、理解した途端ハルヒの目を塞いでいた
…グッジョブ、殿
麗さんがこの前言ってたやつ…あれかぁ
確かにタイトルからもわかるね…
「旦那の留守を狙って妻を寝とる宅配男子」設定が…
「せっかく俺の優しさで貸してやったのに!せめて一回は見たんだろうなぁ…?」
「いや?開けてもねぇ、それに俺は別に貸せと言うてへん」
「うぅ…俺の優しさ返せ」
「行きすぎた優しさはなんて言うか知っとるか?余計なお世話だ、一つ勉強にならはったな
早くそれしまえ、ウゼェ…と更に言い放ち
和久と呼ばれた先輩の肩にわざとぶつかり
歩き出す
「え、麗…先輩」
「麗…」
ハルヒが殿の手を退け、麗さんの名を呼ぶ
その声には驚きが含まれている
それは殿も同様
きっと、ハルヒに手を退かされたことにも気がついていないだろう
そして、この人も
「……なんでここにいんの?お前ら」
二人の声に気づいた麗さんは
僕らをやっと視界に捉えた
その目は驚きで見開かれたが、それも一瞬
すぐに先程の視線に戻った
いつもの視線とも違う、どこか冷たい視線だ
「いや…部活のことで」
「そんなの部活の時にしろ、それかメールにしろ」
さっさと帰れと手で追い払う仕草をする麗さん
そしてさっさと教室に入ろうとする
だが、俺たちの脇を通り過ぎた数歩先で
「お前たちは自分が目立つことを理解しておけ
特に環…2度とこのクラスに近づくんじゃねぇ」
こちらを振り返りもしないまま、先程の視線のように冷たい言葉を投げかけられた
体が固まる…
本当に麗さん?と聞きたくなるほどだ
「お、怒ってる…」