5*女子マネージャー襲来
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*騒動後、鏡夜の家にて
「ぃってぇ…!おい!もっと丁寧にできないのか!」
「処置は適切だが?」
れんげ嬢から解放されたものの
頬には赤く、所々内出血が見られた
おまけに背中には大きい打撲…があるらしい
自分では見えないから鏡夜の言うことを信じるしかないのだが
まぁ、痛みからすれば、アザが大きいのはわかる
…これでは家に帰れない
色々と面倒なことになるのは目に見えている
俺の家に来い…その言葉に甘え
お邪魔して食事の後すぐ風呂にぶち込まれ
現在…鏡夜の部屋にて治療を受ける
が、痛い…痛すぎる…
「お前も無理をしたな…らしくもない、
…結構打撲箇所が大きいぞ」
「…ハルヒが怪我するよりマシだ」
治療をしながら刺々しく言ってくる鏡夜に
適当に言葉を返す
…それに、俺は元からこうゆうことに慣れてる
「……お前のその、ハルヒに対する執着はなんだ」
「は?執着なんてしてねぇ」
してんのは環だろ…
ハルヒの涙を見た途端にアレだもんなぁ
本当、ご熱心なことだ
「そうか?随分と優しいんだな」
「……それ、双子にも言われた
別に優しくしてるつもりはないがな」
揃いも揃ってなんだ、と思っていると
終わったぞ、と肩をポンと叩かれた
手で背中をなぞると
「…湿布」
「明日、学校に行く前に薬を塗ってやるさ」
「…いや、それはいい」
身体検査の時を思い出し、丁重にお断りさせていただく
…シャツ、借りるかな
今のまま…半裸でもいいやと思っていたが、やっぱり我が身は可愛い
なんて考えていると、後ろから髪を手で梳かれる
乾かしたはずの髪はまだ少し湿っていて
梳かれるたびに髪が揺れ、首に張り付く…
「…ん?」
擽ったい…と身を捩る
「いや、…今日のお前、綺麗だったと思ってね」
予想外の言葉に、勢いよく鏡夜の方を振り返る
視線を向けた先にいるそいつは、涼しい顔をしていた
「……どうした、急に」
「思ったことをそのまま口に出しただけだ」
「らしくねぇな」
そう言いながらベッドに腰掛け直す
仕返し…と鏡夜の髪にも触れると
俺と同じくらい髪が湿っていた
「俺が女だったら、口説いてた?」
こんなの軽い冗談だ
なのに
「あぁ…口説いていたかもな」
「………お前…酒飲んでる…?」
「未成年の飲酒は法で認められていないが…お前は飲むのか?」
「まぁ、家の付き合いでたまに…じゃなくて!」
そうじゃない、そう言うことじゃない…!
「ただ思ったことを素直に言っただけだが?」
「…女扱いはやめろ」
隣に鏡夜が並んで座る
長い足を組み、こちらを横目で見てくる様子は
目を向けなくてもわかる
「女扱いはしていないし、するつもりもない」
お前は確かに男だよ
そう言う鏡夜に、今度こそ目を見開く
「お前の言っていることが本当なら
お前は今、男を口説いていることになるぞ」
「あぁ、そうだな」
……ん?俺がおかしいのか?
と、頭を抱えたくなる
「………調子狂う」
「綺麗と言われるのは嫌いじゃないだろう」
「いやお前…それ以上のこと言ってる気がするぞ」
はぁ、と一息をつきベッドに背中を預ける
もういっそ、このまま寝てもいいくらいだ
ソファーを貸してもらって寝ようとしていたが
背中に怪我してるのに、そんなこと許すかと鏡夜ストップがかかったのだ
…まぁ、鏡夜のベッド広いし
男2人寝ても問題はないだろう
「お前は、人やものに興味がないものかと思ってた」
「失礼だな、誰だって綺麗なものには惹かれるものだろう?」
俺だってそうだ
…と、見下ろされるその視線はどこか優しい
「……その綺麗なものの中に、俺は入ってるの?」
「あぁ…そうだな」
ふっ…と軽く微笑み
俺の顔の横に肘をつく鏡夜
え、何…?ちか…
どんどん近づく整った顔
そして、耳に感じた柔らかさ
「っん…ぅ」
耳に落とされたキス
「ん…?お前、耳も弱いのか?」
「うぁ…っ!つっ…!!耳元で、…喋るな」
「…」
息がかかり擽ったい
無意識に肩がびくついてしまった
「…てかそれ、意味わかっててやってんのか?」
鏡夜を押し返しながら問う
…耳へのキスは
「さぁな、どうだと思う?」
「…今は客はいないぞ?」
「そんなのわかってる」
身体を起こしたと思ったら
ベッドについてない方の手を、俺の顔の脇につく
押し倒したかのような状態で
視界には天井と鏡夜だけが広がる…
「……なんだか、変な感じ」
素直な感想を告げる
…押し倒されてるのってこんな感じなのか
「変?」
「あぁ、押し倒されたことがないからな」
喧嘩はいつも黒星なもんでね
と軽口を叩く
「フハっ…ではこれは、今だけの楽しみということか」
「俺なんか押し倒して喜ぶのは、お前ぐらいじゃないか?」
言いながら鏡夜の首に腕を回す
鏡夜も風呂上がりの為、半裸だ
無防備な頸あたりを撫でると
「そうだといいがな」
こちらは頬を撫でられる…
「跡にならないといいが」
「大丈夫だろ、多分」
女じゃないんだから、そんなこと気にするな
それとも、何か?
「傷物の俺は愛せない?」
「…俺に愛して欲しいと言っているように聞こえるが?」
「ばーか、冗談だよ…怒った?」
顔色を伺うと
「……」
少し拗ねた様子が見て取れる
「そんな拗ねるなよ…さ、もう寝ようぜ?」
「拗ねてはいない、だが、さっきの言葉…覚えておけよ」
「忘れるまで覚えておくさ、魔王サマ」
月がもう高く登った
鏡夜の部屋の窓は大きいからよく見える
ベッドに入ろうとすると、掛け布団を軽く開け
「…早く来い」
こりゃお姫さんが見たら卒倒するな…
なんて軽く笑い、隣に入る
そんな優しくしなくても…背中は大分楽になっているというのに
「……今日は悪かったな、急に」
「俺が誘ったんだ、気にするな」
「おおきに…」
「……こんな時じゃなくても、いつでもくれば良い」
ベッドの暖かさを堪能しながら話す
…人の温もりがあると、こんなにも早くあったまるのか
「いいのか?来ても」
「お前ならな、環や双子とかは連れてくるなよ」
…環は俺が連れてこなくても、勝手にくるだろうがな
なんて思いながら、あぁ…と返事をし
随分心許されているんだな、と嬉しくなる
…ずっと電源を切っていたスマホ
きっと、着信やらメールがたくさん来ているのだろうな
と、眠気を感じる頭の隅で思う
でも今は、そんなことを考えたくなくて
目を閉じた
…次の日の朝
いつのまにか鏡夜に抱き枕のようにされていた俺は
鏡夜のボディーガードである橘さんにあらぬ誤解をされ、生暖かい目で見送られる羽目になるのだった…
解せぬ…
※付き合っていません