5*女子マネージャー襲来
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「やぁ、いらっしゃい」
宝積寺れんげの一件から数日後
今日も今日とて、暇を持て余したお客を歓迎するホスト部
「買いましたわ!例のビデオ!!」
「私も…!!」
「私も!!」
だが、ホストを指名する前に
姫たち皆がこの第一声である
ホスト部一同が首を傾げる…
いや、1人だけは予想通りといった反応だろうか
「あの雨のシーンが最高でしたわ…!」
「孤独の王子さま…♡」
「光様と馨様の深い関係がたまらなかったわ…!」
次々と感想のようなものを口にする姫たち
その内容って…まさか…
と、ホスト部員が頬をひくつかせる中
ハニーくんの鬼畜設定…また見たぁい…♡などと、姫たちは楽しそうに話している
「そして何より…!」
次に姫たちに視線を向けられたのは
「……え“…」
「「「麗様の女装姿…♡♡♡」」」
麗を取り囲むように姫たちが囲み
興奮を伝えていく
その中心にいる麗の顔は微妙なものだ
「あの切ない表情…!!」
「男の姿でも女の姿でも、麗しかったわぁ…!」
「確かに…どちらでも愛せてしまうわね…!」
「女装した麗さまとお話してみたぁい…♡♡」
「……鏡夜」
頬を赤らめ夢中で話す姫たちには聞こえないトーンで環が鏡夜に声をかける
「レンズを壊したって、既に撮影した映像は当然残ってるさ…もちろん、例の暴力シーンはカットしてある」
それも想定内であるというような物言いで
淡々と事実を告げる鏡夜
「売り上げはまぁまぁだな…さすがハリウッドの一流スタッフ、いい仕事を残してくれた」
「………俺、聞いてないんだけど」
「当たり前だ、売ることを言ったらお前全力で止めるだろう」
「それこそ当たり前だ」
「「面白いことってこれ?」」
「部費は多いに越したことはないだろう」
相変わらず、ノートにメモを取りながら
黙々と部内の管理をしていく副部長
「この人…一体どの辺から計算を…」
ハルヒのため息は誰の耳に届くこともなく
静かに溶けていった
「…ご機嫌よう」
すると、扉の方から聞こえた声
「あれ、フランスに帰ったんじゃなかったのか?」
環が声をかける
なんだか様子がおとなしい
この部に初めて顔を出したときとはえらい違いだ
「私…気づいたんです、あの時身を挺して庇ってくれた優しさ…時に厳しく諭してくれた深い愛…」
頬が桃色で、恥じらうその姿に少し目を見開くメンバー
「これが、人をみて好きになるってことですのね…ハルヒくん…」
「はい…?」
唐突にハルヒの手を握りしめ
思いを告げるれんげ
「そして……
麗さま…!」
「………は?」
急にそんなことを言い出すれんげに
流石の麗も理解が追いつかない
他にも客がいるというのに、声のトーンは低いままだ
「優しく仲間思い…それでいて芯の通った生き様…!!ときめきましたわ…♡」
「……え?何…?ゲームの話??」
動揺しているハルヒと麗の腕を掴み
さ!3人で私の家でゲームをいたしましょう?まず、私のことも知っていただかなくては!!
と、意気込みながら扉の方に踵を返すれんげ
連れて行かれそうになっている2人は
顔を見合わせ疑問符を浮かべるばかりである
「鏡夜先輩…」「いいのあれ」
「…ハルヒに至っては、言ってることは間違ってないし、いいんじゃないか?」
「よくない!!」
「お前のご希望通り、女の子同士の友達だぞ?」
「あれは女の子同士じゃないだろ!」
「「麗さんも違うけどねー」」
なんて、そんな会話を誰が聞いていることだろう
ビデオの内容に夢中になる客たち
ハルヒを心配する環
2人に恋心を抱き、はしゃぐれんげ
ケーキを食べるハニー
否、誰もそれぞれの話を聞いていないのである
女子マネージャー襲来
このビデオ発売後…
Dクラス間で、『男子制服のお姉さま』と言う
意味のわからない噂が飛び交ったのは
言うまでもないだろう
そして麗の機嫌がすこぶる悪くなったことも想像にたやすい…