5*女子マネージャー襲来
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「なんだかなぁ…」
「俺らの方はうまく焼けたけどな…」
騒がしいれんげ嬢の方を見、自分が焼いたクッキーに視線を落とす
「お菓子なんて久々に作りました…」
「 俺もや…何年ぶりだよってくらいにはな
…やて、割と美味しくでけたよな」
「はい…あ、麗先輩のも、もらっていいですか?」
「ん?いいぞー、交換しよか…こっちゃもチョコ使こうてるけどビターやから、甘さ控えめな」
不味かったらごめんな、と何個か交換をすると
交換するなり、こっちのクッキーを口に運ぶハルヒ
…おぉ、なんかドキドキするなぁ
「ん…美味しいです、チョコクッキー」
よかった、お口にあったようだ
少し安心して、こちらもハルヒ作のジンジャークッキーをかじる
「ふふ…おおきに、ハルヒのやつも美味しいよ」
そう言って2人微笑んでいると…
「ハールヒ!…口直し♡」
ハルヒが食べていたクッキーを、反対側から齧る光と
「あれ、ハルヒ…クッキーの粉がついてる」
ハルヒの頬についた粉を舐めとる馨…
「っ〜〜…!!!!」
「とりあえずクラスメイトの男子とはかなり仲良しだな」
いきなりどうしたんだ…とも思ったが、なるほど…
環をからかっていたのかと理解…
「馨…言ってくれれば自分で取るし、光も欲しけりゃこっちにあるんだから…」
だがハルヒは強し…全く動じない
「お お お…お前のリアクションは間違っています!!!そこは拒絶すべきところであって軽く流す所では」
「セクハラはやめてください先輩」
顔を両手で包まれ、捲し立てられるハルヒ…
鬱陶しそうな様子がありありとわかる…
ま、あれは確かにうざいな…
セクハラ!?俺がセクハラならあいつらは凶悪犯か!!ギャー!おまわりさーん!!!
ハイハイ殿、ごめんってば…
そんな風に騒ぐそちらから少し距離を取る
もう十分お菓子作りで面倒ごとに巻き込まれたのに
また別件の面倒ごとに巻き込まれるのはごめんだ
「…また騒がしくなったな…元気なのはいいことだけど」
遠巻きで騒がしい方を見守っていると、ぐずったような声が聞こえた
「ふえぇ…レーちゃん…」
「…」
「あ、ハニー先輩、モリ先輩…」
声の方を見ると、先輩のお二方
ハニー先輩はモリ先輩に抱えられてる
「それ、クッキー…?」
ぐすっ…と鼻を鳴らす先輩
…先ほどのれんげ嬢のクッキーはそんなに泣くほど不味かったのか
それともそれほど、追いかけられて怖かったのだろうか…
きっと両者だろうけど…
「はい、そうおすけど…ハニー先輩にはちびっと苦いかも…あ、待ってておくれやす」
れんげ嬢のクッキーの備え付け用に作ったクリームをつけ、渡す
「これならどうどすやろ?」
「…!!おいし〜♡」
パク!と俺の手からクッキーを口に入れる先輩は、モリ先輩の背中で頬を幸せそうに緩めた
「麗…」
「モリ先輩も食べます?」
冗談半分で聞いたつもりだったが、軽く頷くモリ先輩…
ハニー先輩を抱えているため、手が塞がれているのだが…
ハニー先輩へのように、食べさせてもいいと言うことだろうか…?
クリームをつけるか聞くと、付けなくても良いとのこと…
なのでそのまま口元に持っていく
すると、ハニー先輩とは違った、大きな一口
手にあったクッキーはあっという間に無くなってしまった
「…うまい」
咀嚼して少しした後に出てきた感想
「ふふ、よかったどす…」
こちらが軽く微笑むと、モリ先輩もまた柔らかく微笑んだ
珍しいその笑顔に、少しばかりときめいたのは内緒だ…
ミルクを飲みたいと言うハニー先輩の言葉に、その場を離れる2人
…まるで巨大ロボを操縦するパイロットだな、なんて、少年時代を思い出す光景を前に懐かしんでいると
手持ちのカゴからクッキーが一枚とられる
その相手は
「鏡夜」
「…甘さ控えめだな」
「甘い方がよかった?」
「いや、これくらいがちょうどいい」
クッキーの焼き具合や形を見ながらそう言う副部長さま
「そうやろうと思った」
鏡夜が甘いもの食べているイメージなんて、浮かばないもの
「お前…料理できたんだな」
「ん…胃袋掴めた?」
「…これだけで掴まれるほど安い胃を持ってはいない…掴みたいなら、また作れ」
ふざけて言ってみたはいいものの、返答は想像していたものと少し違った
いや…その言い方だとさ
「それ、つかんで欲しいって言ってるように聞こえるけど?」
「次はハニー先輩用のケーキなんてどうだ?」
「あ、違うわこれ、部費からの出費を減らしたいだけや」
ハニー先輩用のお菓子の出費量は
それほど多いと言うことなのだが…
金もかかるその量を、俺が作れるわけないだろうに…
はぁ…ため息をついたその時だった
「…ぬるいですわ…」
小さく聞こえたその言葉
…何が?
「鏡夜様以外!総じてキャラがぬるい!!」
いきなりなにを言い出すんだこの子は
そう思わずにはいられない
れんげ嬢はホスト部…いや乙女について語り出す
「ここのホストは、あまりにも影が欠如していますわ!」
…かげ?
「乙女は美少年のトラウマに弱いもの…!こんなバカみたいなノリでは、飽きられるのも時間の問題…!!」
いや、こんなバカみたいなノリでも喜ぶ女子は大勢いるぞ…この学院にはな
「あなた方は、鏡夜様の素敵なお店を潰す気ですの!?」
「お店じゃないんやけどなぁ」
「マネージャーとして、今日からキャラ設定を一新します!」
やっぱり聞いていない
鏡夜をチラリと横目でみるが、こちらもやはり、止める気はないようである
「まず貴方!!」
「うぅ!」
れんげ嬢の指の餌食となったのはハニー先輩
…まずは、って言った?
「外見も中身も可愛いだけなら幼児と同じ…!
よって…!可愛い顔して実は鬼畜…!!」
ハニー先輩がいやぁ!と叫ぶ
いや、それは俺も叫ぶわ…
「銛ノ塚先輩は、幼馴染の子分!!」
れんげ嬢はそんな反応にもお構いなし
どんどんキャラ設定を告げていく
「双子は2人っきりの世界に閉じこもるバスケット選手!」
もはやホスト部ですらなくなったのだが…?
「ハルヒくんは!優等生だけど激しいいじめにあっている…!」
影つけすぎでは…
なんだか心配になる
「麗さんは、異性からも同性からも同時に愛されてしまうため…どちらの性別で生きるべきか悩み迷う…女装男子…!!」
「じょっ…!?」
人の心配をしている場合ではなかった
流石に一言だけ言わせていただきたい
ふざけるな
「そして環さん…?貴方は外見ばかりを評価され、実はコンプレックスを抱える、学院のアイドル…孤独な王子…!!」
またも雷に打たれたようなショックを受ける環
「あ♡鏡夜様は完璧ですわ♡いつも慈愛に満ちた優しい貴方でいてね?」
「多分、一番まちがってる…」
ハルヒに全くの同意見である
「鏡夜先輩さぁ…」「どうにかしてよ…」
勘弁してくれ、とでも言いたげな双子
同感だが、言わせてもらおう
「いや…お前達はまだ良くないか…?俺、性別を偽らせられるんだけど…」
「ハルヒとお揃いだね」
「お揃いじゃない…逆なんだ逆、女子がズボン履くのと同じにするな…こっちはスカートだぞ…」
手で顔を覆い項垂れる
無理無理無理…いやだいやだいやだ…
「「…いや、絶対似合う」」
「似合うだけでは補えない何かがすり減る…」
「だが、部長が乗り気だよ?」
そう言う、鏡夜の指差す方向を見る
「れんげくんれんげくん…孤独なポーズとは、こんなものだろうか…」
「まぁ!なかなかですわ!環さん!雨が降ってると、より効果的ですわ!きっと!」
くっそ…あの馬鹿が……
すっかり新しいキャラの自分に酔いしれてやがる
「ま、様子を見ようじゃないか…面白いことになるよ…きっとね」