5*女子マネージャー襲来
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翌日…
「ハルヒくんハルヒくん♡」
第一調理室にて…
「クリームにお砂糖はもう入れて良くて?」
「あ…ハイ、チョコレートの方はどうなってますか?」
何故だかわからないが、繰り広げられる調理実習…
しかし、今日は…調理を教えるのは先生でもなければ講師でもない
「それならホラ!ちゃんと溶かして…」
「わぁ!直火はダメ!!」
そう、今日の“先生”はハルヒなのである…
「何て初歩的な…」
れんげ嬢のミスに、呆れ顔を見せる先生…もとい、ハルヒ
「ハルヒぃ?元々彼女は、料理は運んできたものしか食べんお嬢様や…チョコレート調理の仕方なんて知ってると思うか?」
「…はぁ、金持ちが…というか、麗先輩も見てたんだったら止めてください…」
じろりとした視線を向けられる
確かに、れんげ嬢がチョコを直火にかけるところは見た、見たのだが…
「いや、人間は失敗をして学んでいくモンやぞ?いっぺんやらなきゃ、分かれへんもんだってあるさ」
「でもこれじゃあ、いつまで経っても何もできないままですよ…」
「ま、そない大変そなハルヒんために…
チョコレートは俺が溶かして置いたから、これ使こうて?」
そう言いハルヒの前に、溶かして置いたチョコレートを差し出す
某短時間料理番組秘伝
『出来上がったものがこちらになります』
というやつだ
…自分の好みでビターにしてしまったけど
生クリームもあるのだから、それぐらい許されるであろうと思う
「え…ありがとう、ございます」
「あとはクッキー焼くんやっけ?手伝うよ」
形のいいクッキーが並べられた鉄板を見、そう言うと
「…麗先輩って、料理できたんですね」
「はは、意外やった?俺の母は庶民ん出でね…ちっさい頃は、よく一緒に料理したんよ?」
今は婆さんと、よう おはぎとか作るわ
カラカラと笑いながら話す
すると、ハルヒは興味を持ってくれたようで
「へぇ…麗先輩のお母さん…ですか
もしかして、麗先輩ってお母さん似ですか?」
「あぁ、そうやな…やから、女顔って言われても、あんま嫌な気せんのや」
父さんからもよく「お前は母親似だ」と言われてきた
俺はそう言われることが嬉しく、また誇りに思っている
「そういえば…和菓子もろた時、仏さんにって言うとったけど…ハルヒも父子家庭か?」
「そうですよ…って、麗先輩もです?」
俺の聞き方に疑問を持ったのか、ハルヒも疑問を素直に投げかけてくる
「はは、俺ん家もそないや、父子家庭…って言うたて、じいさんも婆さんも一緒やけど」
「へぇ…」
…こんな話をしても、気まずい空気が流れないのはとてもありがたい
同じ境遇だからか、またハルヒと仲良く慣れた気がした
「あ、そういえば、うちの父が今度しっかりお礼したいって…」
「あー?ええのにそんな気にせんでも…というか、いくらでも乗ってってええんよ?」
1人の夜道は危ないんだから、そう続けると
ハルヒは小さく頭を下げてお礼を言う
「…ありがとうございます」
「ん、ええって…やて、今度ハルヒのお父さんに挨拶は行こうかいな、アレが挨拶になるんも嫌やし…」
ボソリと呟くのは本心…
部内で預かっているのは大切な一人娘なのだから、しっかり挨拶は面と向かってしたいものだ
「来る日教えていただければ、いつでもいいですよ」
「あー、ほんま?」
麗先輩だけなら、と言うその言葉の中に
他の人は連れてくるなと言う強い意志が感じられた
…まぁ、急に大勢で押し掛けるのも失礼だしな
そう思ったことは口には出さず、自分の中で確認し心の中に収納した
「あ、こらこら…そっちゃ予熱もしてへんオーブンやから、こっちゃで焼きな」
れんげ嬢が冷たいままのオーブンにクッキーを入れようとしていたので、軽く止める
わかるぞ、絶対それ、予熱の設定で焼いてしまうやつだろ?
「予熱…?ですの?」
「こんオーブンやと、オーブン全体に熱が行き渡っとるから…クッキー生地がサクッと仕上がるよ」
「よくわかりませんわ」
やろうな
料理は化学やぞ
口元まででかかった言葉は、グッと喉奥に流し込んだ
「こん クッキーはどうする?形とか取るん?」
一応型抜き見つけたけど…と
種類を見せるように広げる
「これはなんですの?」
「猫かな…あ、犬もある」
「骨型もあるな…かいらしいわ」
広げてきて分かったが、思ったより種類が豊富で可愛いものがたくさんある
れんげ嬢は迷わずハートを選んだようだった
「…そういえば、麗先輩って犬飼ってるんです?」
「ん?あぁ…そうやね、道で拾った子なんやけど、素直な子でなぁ?待ても取ってこいもむちゃ上手なん」
家にいるだろう癖っ毛を思い出し、ふふと笑う
わんこにも、何枚か焼いて行こうか…と考え
骨の形の型を手に取る
「へぇ…自分は犬の種類って詳しくないんですけど、どんな感じの子ですか?」
「んー毛が癖っ毛でな…梅雨の時期はすごいの何の…朝起きた時の寝癖がえらいかいらしくてな…、あと前髪が長くて困ってんのや、切っても切っても…どこの髪だかわからんけど、全然減らないん」
「へぇ…あってみたいです」
ポツリと言うハルヒの言葉を耳が拾う
「ん…?何言うとん」
「きゃーーー!!!!あつーーーい!!!」
***
「美しい光景だ…」
第一調理室を覗きながら、目を輝かせる殿
「ちなみに何の作業だアレは」
「きょーちゃんにお菓子作ってくれてるってー♡」
他の部員も中を覗くが、瞳を輝かせるものは殿以外いない
「きゃーー!あつーい!!!」
「ちょっ!!なんで素手!?」
「お、前ら!!大丈夫!?火傷してない!?」
騒ぎ出すマネージャー(仮)にペースを乱されまくるハルヒと麗さん
「やっぱパン屋とかと勘違いしとる…」
「ハルヒも麗さんもかわいそうに」
めちゃくちゃになりながらも、いい香りが漂うのは、きっとサポート役の2人が優秀だからなのだろう
「馬鹿者!!お前らの目は節穴か!?」
…調理室内に聞こえるよ
そうは思うが、殿も一度興奮すると止められないタイプなのは、もう把握済みである
「甘い香りの満ちた室内…焼きたての可愛らしいお菓子達…」
いや、殿の目こそ節穴デスか?
と、言いたいほど、マネージャーの持つ鉄板には黒こげの物体Xが…
「そして仲むつまじい(?)クラスメイトの女子3人!!」
「「いや麗さんはたくましい男子だろ」」
殿だってこの前、麗さんの綺麗な腹筋を見てるでしょうに…
身体検査の時を思い出しながら、言葉を投げかける
「まぁ、タマちゃんが言いたいこともわかるけどね〜♡」
「女顔ですしね…麗は」
珍しく鏡夜先輩が話に乗ってきた
今日は何か一波乱起こるかもしれな…いやもう十分起こってるのか
「すべて計算通り!これはハルヒを乙女に目覚めさせる一大プロジェクトなのだ!!」
***
大体のクッキーが出来上がると
何やら外から騒がしい声
…環のやつ、また騒いでるのか
「女の子特有の柔らかな雰囲気が、ハルヒに女としての自覚を促し…」
「うるさいわよニセ王 」
おぉっと…一刀両断…
鮮やかな切れ味を示すその効果に、思わず感心してしまう
「鏡夜様♡ハルヒくんと麗さんにクッキーを教わりましたの♡れんげ、お料理なんて初めてだからちょっとコワかったー♡」
「そうだな…かなりいい色に焼けているね」
「そうなの!ヘタクソなの!!」
ヘタクソとは言っていないが、鏡夜の目はクッキーを捉えていない
見なくても匂いでわかると言うことだろう
それほどまでに、彼女のクッキーは“こんがり”焼けたのだ
「でもわかってますわ…鏡夜様ならきっと、『君の作った物ならごちそうだよ』って…」
それを言うのは鏡夜じゃなく、『ミヤビくん』では…?
そう言おうとした時、素直な感想が彼女を襲う
「まずい」「なんじゃこれ岩か」
「美味しくないねぇ〜」
「光邦、よせ…身体に悪い」
…お前ら、散々言うじゃないか
シャー!!と髪を靡かせ威嚇する彼女はまるでメデューサのようだった
「ハルヒくんハルヒくん♡」
第一調理室にて…
「クリームにお砂糖はもう入れて良くて?」
「あ…ハイ、チョコレートの方はどうなってますか?」
何故だかわからないが、繰り広げられる調理実習…
しかし、今日は…調理を教えるのは先生でもなければ講師でもない
「それならホラ!ちゃんと溶かして…」
「わぁ!直火はダメ!!」
そう、今日の“先生”はハルヒなのである…
「何て初歩的な…」
れんげ嬢のミスに、呆れ顔を見せる先生…もとい、ハルヒ
「ハルヒぃ?元々彼女は、料理は運んできたものしか食べんお嬢様や…チョコレート調理の仕方なんて知ってると思うか?」
「…はぁ、金持ちが…というか、麗先輩も見てたんだったら止めてください…」
じろりとした視線を向けられる
確かに、れんげ嬢がチョコを直火にかけるところは見た、見たのだが…
「いや、人間は失敗をして学んでいくモンやぞ?いっぺんやらなきゃ、分かれへんもんだってあるさ」
「でもこれじゃあ、いつまで経っても何もできないままですよ…」
「ま、そない大変そなハルヒんために…
チョコレートは俺が溶かして置いたから、これ使こうて?」
そう言いハルヒの前に、溶かして置いたチョコレートを差し出す
某短時間料理番組秘伝
『出来上がったものがこちらになります』
というやつだ
…自分の好みでビターにしてしまったけど
生クリームもあるのだから、それぐらい許されるであろうと思う
「え…ありがとう、ございます」
「あとはクッキー焼くんやっけ?手伝うよ」
形のいいクッキーが並べられた鉄板を見、そう言うと
「…麗先輩って、料理できたんですね」
「はは、意外やった?俺の母は庶民ん出でね…ちっさい頃は、よく一緒に料理したんよ?」
今は婆さんと、よう おはぎとか作るわ
カラカラと笑いながら話す
すると、ハルヒは興味を持ってくれたようで
「へぇ…麗先輩のお母さん…ですか
もしかして、麗先輩ってお母さん似ですか?」
「あぁ、そうやな…やから、女顔って言われても、あんま嫌な気せんのや」
父さんからもよく「お前は母親似だ」と言われてきた
俺はそう言われることが嬉しく、また誇りに思っている
「そういえば…和菓子もろた時、仏さんにって言うとったけど…ハルヒも父子家庭か?」
「そうですよ…って、麗先輩もです?」
俺の聞き方に疑問を持ったのか、ハルヒも疑問を素直に投げかけてくる
「はは、俺ん家もそないや、父子家庭…って言うたて、じいさんも婆さんも一緒やけど」
「へぇ…」
…こんな話をしても、気まずい空気が流れないのはとてもありがたい
同じ境遇だからか、またハルヒと仲良く慣れた気がした
「あ、そういえば、うちの父が今度しっかりお礼したいって…」
「あー?ええのにそんな気にせんでも…というか、いくらでも乗ってってええんよ?」
1人の夜道は危ないんだから、そう続けると
ハルヒは小さく頭を下げてお礼を言う
「…ありがとうございます」
「ん、ええって…やて、今度ハルヒのお父さんに挨拶は行こうかいな、アレが挨拶になるんも嫌やし…」
ボソリと呟くのは本心…
部内で預かっているのは大切な一人娘なのだから、しっかり挨拶は面と向かってしたいものだ
「来る日教えていただければ、いつでもいいですよ」
「あー、ほんま?」
麗先輩だけなら、と言うその言葉の中に
他の人は連れてくるなと言う強い意志が感じられた
…まぁ、急に大勢で押し掛けるのも失礼だしな
そう思ったことは口には出さず、自分の中で確認し心の中に収納した
「あ、こらこら…そっちゃ予熱もしてへんオーブンやから、こっちゃで焼きな」
れんげ嬢が冷たいままのオーブンにクッキーを入れようとしていたので、軽く止める
わかるぞ、絶対それ、予熱の設定で焼いてしまうやつだろ?
「予熱…?ですの?」
「こんオーブンやと、オーブン全体に熱が行き渡っとるから…クッキー生地がサクッと仕上がるよ」
「よくわかりませんわ」
やろうな
料理は化学やぞ
口元まででかかった言葉は、グッと喉奥に流し込んだ
「こん クッキーはどうする?形とか取るん?」
一応型抜き見つけたけど…と
種類を見せるように広げる
「これはなんですの?」
「猫かな…あ、犬もある」
「骨型もあるな…かいらしいわ」
広げてきて分かったが、思ったより種類が豊富で可愛いものがたくさんある
れんげ嬢は迷わずハートを選んだようだった
「…そういえば、麗先輩って犬飼ってるんです?」
「ん?あぁ…そうやね、道で拾った子なんやけど、素直な子でなぁ?待ても取ってこいもむちゃ上手なん」
家にいるだろう癖っ毛を思い出し、ふふと笑う
わんこにも、何枚か焼いて行こうか…と考え
骨の形の型を手に取る
「へぇ…自分は犬の種類って詳しくないんですけど、どんな感じの子ですか?」
「んー毛が癖っ毛でな…梅雨の時期はすごいの何の…朝起きた時の寝癖がえらいかいらしくてな…、あと前髪が長くて困ってんのや、切っても切っても…どこの髪だかわからんけど、全然減らないん」
「へぇ…あってみたいです」
ポツリと言うハルヒの言葉を耳が拾う
「ん…?何言うとん」
「きゃーーー!!!!あつーーーい!!!」
***
「美しい光景だ…」
第一調理室を覗きながら、目を輝かせる殿
「ちなみに何の作業だアレは」
「きょーちゃんにお菓子作ってくれてるってー♡」
他の部員も中を覗くが、瞳を輝かせるものは殿以外いない
「きゃーー!あつーい!!!」
「ちょっ!!なんで素手!?」
「お、前ら!!大丈夫!?火傷してない!?」
騒ぎ出すマネージャー(仮)にペースを乱されまくるハルヒと麗さん
「やっぱパン屋とかと勘違いしとる…」
「ハルヒも麗さんもかわいそうに」
めちゃくちゃになりながらも、いい香りが漂うのは、きっとサポート役の2人が優秀だからなのだろう
「馬鹿者!!お前らの目は節穴か!?」
…調理室内に聞こえるよ
そうは思うが、殿も一度興奮すると止められないタイプなのは、もう把握済みである
「甘い香りの満ちた室内…焼きたての可愛らしいお菓子達…」
いや、殿の目こそ節穴デスか?
と、言いたいほど、マネージャーの持つ鉄板には黒こげの物体Xが…
「そして仲むつまじい(?)クラスメイトの女子3人!!」
「「いや麗さんはたくましい男子だろ」」
殿だってこの前、麗さんの綺麗な腹筋を見てるでしょうに…
身体検査の時を思い出しながら、言葉を投げかける
「まぁ、タマちゃんが言いたいこともわかるけどね〜♡」
「女顔ですしね…麗は」
珍しく鏡夜先輩が話に乗ってきた
今日は何か一波乱起こるかもしれな…いやもう十分起こってるのか
「すべて計算通り!これはハルヒを乙女に目覚めさせる一大プロジェクトなのだ!!」
***
大体のクッキーが出来上がると
何やら外から騒がしい声
…環のやつ、また騒いでるのか
「女の子特有の柔らかな雰囲気が、ハルヒに女としての自覚を促し…」
「うるさいわよニセ
おぉっと…一刀両断…
鮮やかな切れ味を示すその効果に、思わず感心してしまう
「鏡夜様♡ハルヒくんと麗さんにクッキーを教わりましたの♡れんげ、お料理なんて初めてだからちょっとコワかったー♡」
「そうだな…かなりいい色に焼けているね」
「そうなの!ヘタクソなの!!」
ヘタクソとは言っていないが、鏡夜の目はクッキーを捉えていない
見なくても匂いでわかると言うことだろう
それほどまでに、彼女のクッキーは“こんがり”焼けたのだ
「でもわかってますわ…鏡夜様ならきっと、『君の作った物ならごちそうだよ』って…」
それを言うのは鏡夜じゃなく、『ミヤビくん』では…?
そう言おうとした時、素直な感想が彼女を襲う
「まずい」「なんじゃこれ岩か」
「美味しくないねぇ〜」
「光邦、よせ…身体に悪い」
…お前ら、散々言うじゃないか
シャー!!と髪を靡かせ威嚇する彼女はまるでメデューサのようだった