3*高校生ホストのお仕事
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「麗先輩、ありがとうございました」
「いいえー」
運転席から出ようとした運転手さん(?)を止め、麗先輩が扉を開けてくれた
この仕草を見ると、やはりこの人もホスト部員なんだよなぁ…と感心してしまう
環先輩も、自分のことを女の子(娘)として接してくるけど、麗先輩の接し方は環先輩ほど煩くない…
本当に“女の子”として扱われている感じだ
「今日は慣れへんことばっかで、しんどかったやろ?…ゆっくり休みや」
頭をサラリと撫でられる
「はい…ありがとうございます」
「じゃ…見送りはええから、早う家に」
急にそこで麗先輩の言葉が止まる
頭に疑問符を浮かべ、麗先輩の顔を覗くと
先輩の顔より先に、先輩の腕を掴む誰かの手が目に入った
自然とその腕を辿り、その腕の持ち主を視界に入れる
「あ、お父さん」
「あ…?おとうさん?」
麗先輩も腕を掴まれびっくりしているのだろう
腕を一ミリも動かさないまま、自分の言った言葉を、繰り返すことで理解に努めているようだ
「どちら様…?」
なかなかのいい笑顔を先輩に向けている
笑顔だが目が笑っていない父に、慌てて言葉を繰り出す
「お父さん、この人は部活の先輩で」
「部活のぉ?先輩ぃ?」
「あ、いや、すんまへん…こちらから挨拶しなきゃいけへんのに…
ハルヒさんとは、同じ部活で仲良くさせてもろてます。早乙女 麗っていいます。
よろしうお願いします」
姿勢を正し、軽く一礼をする先輩
「今日は部活で遅くなったから…送ってくれたんです」
「えっ、あら…そうだったの…?」
やっぱり勘違いされてたか…
麗先輩もそう思ったのか、口から溢れる笑みは乾いていた
「はは… 夜道を1人で帰すんは、やっぱり心配で…女の子やし、大事な娘はんやろうし思て」
掴まれていた腕が解放され、手持ち無沙汰になったその手で頬を掻く
「イヤだわ、ワタシったら…ごめんなさいね!」
「ええんです…!誤解を生むようなことをした俺も悪いので…」
はは、あはは…と笑う顔は今まで見たことないような焦った顔で
貴重なものを見てしまったかもしれないと
…麗先輩には悪いが、思ってしまった
***
じゃあ、また明日…とハルヒに投げかけ、後ろのハルヒ父にも会釈する
ゆっくりと進み始める車
ハルヒたちの姿がミラーで確認できなくなったところで窓を閉める
「…お疲れ様、麗」
「あぁ…急に悪かったな、わんこ」
「ううん…麗の後輩だし…」
「… あの子、お前と髪色も髪質もそっくりなんよ…頭撫でたときびっくりしたんや」
そう語りかければ、鏡越しに目が合う
「そうなんだ、なんか…嬉しい」
「可愛い子と似てることが?」
「違う、俺と似てる子を…麗が可愛がってるってことが」
へへ、と笑いながら運転するわんこ
ハルヒを下ろしてから少し荒くなった運転は、わんこの感情が昂っているからだと分かっている
そんなところをまた可愛いと思い
ハルヒを思い出す
とりあえず、誤解が解けてよかった…と安堵の息をついた
おそらく、うちの副部長のことだ
ハルヒが入部した時点でハルヒ父に連絡はしてあるだろうけど…
イメージを悪くしてしまってはそれも台無しになってしまう
…まぁ、夕食に誘われ、娘をよろしくと言われた時点で心配も無用か
そう、思い出し…微笑んだ
高校生ホストのお仕事
今回、夕食のお誘いは断ってしまったが
「…いつか、お邪魔してみたいね」