9*鳳プールSOS
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これは…夢かな…
ここは日本で、熱帯には属さないはずなんだけど…
「ごらんハルヒ…南国の鳥さんがいるよ」
そっと、肩に手がかけられた
見なくともわかる。環先輩だ
「綺麗だね…なんていう鳥だろう」
「………出口はどっちでしたっけ?」
先輩の言葉を軽くスルーし、出口の場所を問う。
「こう言う他愛無い時間を過ごすのも…美しさを磨く我々には、大切なことなのだよ…」
「無意味かつ果てしなくどうでもいいので帰ってもいいですか…?」
だが、そんな思いが相手に届くことすらない。
あれ、前にもこんなことがあったな…なんてデジャブを覚えることにももう慣れてしまった。
「勉強したいし、それに今日は洗濯しなくちゃならないんで…大体…此処はどこなんですか?」
それに麗先輩は…と周りを見渡す
そう…一緒に連行されたのだ
麗先輩も自分と一緒に
振り返ること数十分前…確か時計は15時半過ぎを指していた
***
授業を終え、向かう先は図書館ではなく昇降口。
今日は珍しく部活が無い
早々に家に帰って…洗濯をしても勉強の時間は充分にとれるな、なんて考えながら昇降口で靴を履き替え、外に出ると見知った背中を見つけた。
「…!麗先輩…?」
「ん…?あ、ハルヒか、お疲れやす」
ちょうど麗先輩に出会した
周りがコソコソと話に花を咲かせているにも関わらずこの人はそれに気づいていない…
「麗様よ…!!今日はホスト部もお休みですものね…」
「今からお帰りになられるのかしら…??」
…いや、もしくは気づいていても勝手にさせているのかもしれない。
ホスト部以外での過度なサービスはしないと見た
「どうしたんですか?誰かと待ち合わせでも?」
他の生徒が車に向かう中、1人で立っていることに疑問に思う。
迎え待ち…と言うわけでもなさそうだ。
「いや、今日部活あらへんこと言うの忘れとって…今から迎え呼ぼか思たんやけど…待つ時間もアレやし、このまま徒歩で帰ろかなって」
「あぁ、なるほどです」
「ハルヒも?今から帰るところなん?」
いつも図書室で勉強してへんかった?と首を傾げる麗先輩
純粋なその動作ですら周りが喜ぶ材料になっているらしい。後ろのコソコソ話の声が少し大きくなった気がした。
「はい、でも今日は洗濯もあるので早く帰ろうかと」
自分のその答えに、今度は麗先輩が「あぁ、なるほどな」と返してきたので、少し笑ってしまった。
「あ、ハルヒがもし良ければ、一緒に帰ってええ?」
家の方向も一緒やし、と続けられる。
良ければも何も…うるさい双子や環先輩ならキッパリと断るが、麗先輩に断る理由もないと言う物。
この前のお菓子作りの時も結構話は弾んだし…
何より麗先輩のことを知るまたと無いチャンスだ
「えぇ、一緒に帰りましょうか」と当然のように返した。
誰かと肩を並べて歩く帰り道は久しぶりだ…とソワソワしてしまう。
「なんか、こないなふうに誰かと一緒に歩いて帰るんは偉い久しぶりやな…」
たまにはいいもんだと笑う麗先輩に
「自分も、今同じこと考えてました」なんて言えば、驚いたような顔を向けられる。
…しかしそれも束の間
次の瞬間には、ひまわりのような笑顔になる麗先輩
…こんな帰り道もいいかもしれない。
そう思った途端だ
唐突に腕をガッシリと固定された
……は?意味がわからない。
ふと、麗先輩の方を見ると、先輩も自分と同じく腕をしっかり固定されている。
麗先輩も自分の身に何が起きているのか理解ができていないらしく、目をパチクリさせている
考えられるだけの頭で考えるに…
捕まえられた、と言う表現が1番自分たちの状況に似合うだろう。
「捕獲」「完了」
「「え、なに…?」」
麗先輩と声がハモる
すると目の前に黒いリムジンがスゥ…と止まり、開いた窓からは見知った人物が
「…よし、連行しろ」
「「了解っ!」」
窓の向こうの人は勿論環先輩で
窓に反射したものと、背後で聞こえる声でようやく理解した。
自分を拘束しているのは双子であり
麗先輩を拘束しているのは3年ズの先輩方だ。
「え“!?ちょ…ぉ…先輩方…??」
「うふふ〜!レーちゃん〜僕たちといいことしよ〜!」
「行こう」
…きっと、モリ先輩とハニー先輩がいるとなれば、麗先輩は抵抗しないとわかってのことだろう。
一つひとつ理解していくごとに
これから先のことが嫌に想像できてしまい顔がヒクつく
「ちょっと…嫌だぁあーーーー!!!!」
そんなハルヒの切ない声が、桜蘭学院南校舎前に残った…