7*双子、ケンカする
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“常陸院兄弟に暇を与えるべからず”
この言葉は後にホスト部員の脳裏に深く刻まれる事となる…
「「”どっちが光くんでしょうか“ゲーム!」」
そんな声と共に、桜蘭ホスト部部室である第三音楽室には、花が咲いたように笑う女生徒達の声が響き渡る
「「さぁーて!どっちが光か分かるかな?」」
その花の中心にいるのは、小悪魔系を肩書きとする双子…常陸院ブラザーズである
2人は、帽子を深く被り、髪の分け目を分からなくし、どちらが光かを当てると言うゲームで場を賑わせている
「えー、むずかし〜い」
「そっくりすぎ…!」
姫達が難しいと思いながらも双子を見比べている
「なんてくだらないゲームだ」
ハルヒの口から滑り出た本音
それはしっかりと双子の耳にまで届いたようだ
2人は拗ねてすらいないものの、酷く不思議なものを見つけた時のような顔をした
「「あれ?なんか気に入らない?」」
「ていうか、2人の人気がイマイチ理解できない」
「「言ってくれるねー」」
今度こそ双子は頬を膨らませる
ゲームを一度中断し、ハルヒを取り囲むようにして立つ
「どうもハルヒは」
「ホスト部における双子のメリットを理解していないようだね」
哀れな子羊に教えてあげよう
…と言いそうな雰囲気で言葉を繋げる
「いいか?美形同士のホモというだけでも、十分ポイントは高い
そして…友情との狭間で揺れる演出も好ましいが…」
「僕らの場合…双子というこの上ないタブーを武器にしているわけ」
話している間も仲睦まじく肩を組み合ったり頬を撫であったり…
忙しいな、この2人…とハルヒは内心感じた。
「その上、そんな絆の深い2人に同時に愛されてしまうという構図…」
「乙女の究極のロマンだろ…?」
話しながら席についていた姫のうち1人を2人で挟み
両側から頬と顎に触れ、顔を近づける
「わ、私…!!もうダメですぅ〜!!!」
そんな風にされた姫はもちろん昇天し、周りにいる姫達の興奮も最高潮まで上がった
そんな中、何やらドスドスとこの場に似つかわしくない乱暴な足音が聞こえ、自然とそちらに視線を向けると
「光!!馨!!」
やってきたのは我が部の部長、バカ殿こと環
…と
「麗さんまで、どしたの?」
馨がそう声をかける
そう、なんだかご立腹な様子の環の後ろに麗が呆れ顔で立っているのだ
「…お前らなぁ」
やれやれと言う麗の様子と、環が手に持っているもので大体の予想はついた
…あぁ、やっと見つけたのか、なんて思ったものの、それは顔には出すまいとする馨
「部のHP管理は真面目にやるという条件で任せたんだったよなぁ…」
わなわなと怒りで震える環
これを止めれるのは双子達が知る中で鏡夜か麗しかいないのだが、鏡夜が動かないことは知っている
消去法で沈静係は麗に行く訳だが、どうやら今回は麗でも抑えることはできなかったらしい
「だからやってますよ真面目に」
「昨日だって明け方までかけて…」
「作ったのが、この画面かァ!!!」
バンバンと叩きながら見せられたPCの画面には
上半身裸のハルヒの姿
安心して欲しい、画面の中のハルヒはしっかりとした男性の身体になっている
つまり合成写真だ
身体の部分は身体測定時の環の身体を拝借したのだが、問題はそこではない
「ハルちゃんかっこいい〜!!」
「よくできてるでしょ〜!」
「我ながら素晴らしい技術!!」
「馬鹿者ォ!技術の無駄遣いだ!恥を知れ!!!」
ハニーだけではなく、お客さん達にも好評のそれ(合成された本人は嫌そうだが)にちょっとした満足感を感じる双子
「どうせやるなら、このアイドル写真集と合成しなさい」
「ばっかだなー!殿!」
「こんなの本人に直接着せた方が早いよ」
「そ、そうか!本人に…」
怒り顔から一変、急にアイドル写真集を持ってデレデレし出す環に呆れの視線が送られる
双子からではない、麗とハルヒからだ
「これなんか、どうかな…」
「なんで持ってんの〜?」
あまりのショックに黄昏るハルヒにワンピースを見せる環
ハニーの疑問は一切無視だ
「麗のワンピースともペアルックだよ…」
「俺にそれを着すのか?お前が?ええ度胸してんなぁ」
ペアルックのもう一つのワンピースを出してきた環を、呆れを通り越して怒りの眼差しで見る麗
もちろんそれに環が気づいていると言うことはない
知らないとは恐ろしい
「ハルヒくん素敵〜♡でも環様の言う通り、ハルヒくんの女装姿も見てみたいわね〜!」
「麗様は綺麗だけど、ハルヒくんは可愛いから、きっと似合っちゃうわ!」
お客様のそんな言葉でふと我に帰るハルヒ
これに至った経緯を思い返すと腹は立ってくるもので
「やめてよね、勝手に変な合成写真作るの、
一体人をなんだと思ってるの」
そう双子に言うが、双子は決して悪びれる素振りも見せず、言葉を返す
「「決まってんじゃん、玩具」」
常陸院兄弟の兄、光と弟の馨
部内一の快楽主義者であり
彼らにとって世の中とは「僕ら」と「僕ら以外」に分類され
言動の全ては「彼らにとって」面白いか面白くないかに基かれているのでありました…