4*身体検査にご用心
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『いらっしゃいませ』
桜舞い散る雅な楽園
そんな中、今日も元気にホスト部は営業中です…
「お姫様、どのカップにお茶を?
フォリー?ウースター?それともスージーのガーディニアで?」
「素敵…!英国アンティークね…♡環くんのお好みは?」
「もちろん、こちらの姫をテイクアウトで…」
「やだ…環くんったら…♡」
春めかしい雰囲気と共に、お姫様の花のような笑い声と
ホスト部の甘い言葉が飛び交う…
「行った事ない?コヴェント・ガーデン」
「うーん…アンティークはポートベローしか…」
「結構面白いよ?この辺のヴィクトリアン物も大体そこで…」
ガシャンッ…
「つ…っ」
接客中にカップを倒してしまう馨
食器の音と共に光の慌てた声が響く
「馨!!」
指を抑える馨の手を握り、熱で赤くなった指にキスを落とし…
「まったく…よそ見してるからだ
お前は僕だけを見てればいいんだよ…」
「光…」
「はぁっ…もうダメ…♡素敵すぎるわ…!!」
「もったいなくてよ…!!しっかり見なきゃ!
これは貴重なシーンよ!!」
手を握り合い、もはや火傷したのかと思えるほど見つめ合う双子を目に焼き付けようとするお客様…
「おっしゃる通りです、お客様」
そこに声をかけるのは洋装に身を包んだ
我が部の副部長…鳳鏡夜と
「こん桜の様に…美とは儚いものどすからね、
1日として同じ姿は見られへん…」
その補佐を務める早乙女麗…
鏡夜とは逆に、和装を纏うその姿はとても雅だ
「そこで…
そんな日々移りゆく美しさを収めた写真集など作ってみました
…ちなみに各個人のものが用意してございますが…全員のをまとめて購入される場合は、セット価格もございます」
「まとめて購入してくれた際には、心ばかりそやけども…特典もつきますえ」
「買います…!!」
「全員分…!!」
お財布を持って立ち上がる姫たちに笑みを浮かべるそれは、もはや高校生とは思えない
「「こうやって稼いでたんだ〜うちの部」」
「まぁね、部費だけやとええサービスもでけへんからな」
「ていうか」「いつ撮られてたの?僕たち」
「それは企業秘密」
口先に人差し指を当てふふ…と微笑む麗
桜色の薄い唇が弧を描くその様子に、視線が集まる
「麗くん…特典って、なんですの?」
「それも企業秘密かしら…?」
引き寄せられるかの様に麗に群がるお姫様たちは、花に寄り添う蝶のようである
「特典は、おひいさんの好きな衣装時の写真やったり、好きなペアの写真やったり…
ご希望に合わせて5枚セットで付ける予定どす」
そう言うとキャーー!!と興奮する女生徒達
きっとお目当てのものがあるのだろうと思う
「なるほどね〜」
「よく考えたね?鏡夜先輩の案?」
「ん?俺の案」
光、馨が両肩にそれぞれ頭を乗せて話す
…こらこら、くすぐったいからやめなさい
2人の頭をどかそうと身をよじる
「あ、ペアってことはさ…?」
「こう言う写真がもらえるってこと…?」
それを逃すまいと腰と肩を掴み、より体を密着させてくる双子
「鏡夜先輩とならわかるけど、ハルヒとまでペアで指名されてるのに」
「俺らとの指名は全然入らないんだもんなぁ、麗さん」
腰に回った光の手が脇腹を撫で、引き寄せる
肩を掴んでいた馨はさらに距離を縮め、喋る際の息が首筋にかかるほど近い
…確かに、光、馨と一緒に接客をしたことはなかったな…
「そら、…ふたりの中に入ってしもたら悪いかなって…思っとったん…
俺が入る隙すれへんくせに…随分いけずなんやね…?」
「僕らだって麗さんとお喋りしたかったんだよ…?な?馨」
「うん、でも…お喋りだけじゃ足りないけど…ね?光」
和服の重なりの間に、するりと馨の手が入ってくると、周りからは大きな歓声が
「ひ、光くんと馨くんに挟まれる麗さま…!!」
「「「素敵ですわ〜〜♡♡♡」」」
「これは特典でゲットしなければいけませんわね!」
特典の価値が上がったな…
姫たちには分からない様にニヤリと笑う
「ふふ…光と馨との接客も増えるやろうな」
「「…麗さんがペアで売るの上手いわけがわかったよ」」
「まぁ、ペアやと俺としても楽やしなぁ」
「「それが本音か」」
そんなことを話していると、向こうで騒いでいる環と、ハルヒの姿が目に留まった
「あ!ハルヒー!今学期の選択教科決めたかー?」
2人に掴まれたままハルヒの方に連れて行かれる
その話題に俺はいらなくないか…??
「どうせなら一緒のとろーぜ!だってホラ」
「「僕たち、同じクラスだし♡」」
…絶対に環を意識して言っているだろう
そうありありとわかるほど、双子の顔は嫌味に満ちていた