10*海と太陽とホスト部
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「うみ?」
「「イエーーースっ!海!」」
「…海」
眼前に広がるのは同じ顔…いや、双子なのだが
「この前言ってたじゃん」
「本物の海なら行ってもいいって」
「言ったっけ?」
「「言いましたーー!!」」
えー?と過去の自分の発言を掘り返してみる
言ったっけ?
しかし思い出そうともしていない頭はうまく作動しないようだ
「ん…ハルヒ、ここ間違ってへんか?」
「え……あ、本当だ…」
「ここの代入、間違うとったみたいやな」
「こっちは合ってるのに…完全なケアレスミス…」
「最後の見直しも気ぃ抜かんと、ってとこやな」
何より今は学期末試験の答え合わせ中なのだ
「言われるまで気がつきませんでした」
「数学は最後のコマやったし、気ぃ抜けるのもわかるけどな」
話しながら間違えた問題を再度解き直すと「お、正解」と赤ペンで花丸をくれる麗先輩
「……麗先輩、計算早いんですね」
「ん?いやそんなことあらへんよ。普通普通」
本人はそういうが、自分は知っている
この人がとても頭がいいということを
…まぁ、お客さんたちから聞いたのだが
テストの成績は毎回上位に立ち、教え方も上手。しかし普段の授業をサボりがちのため内申点とのギャップが凄いのだそうだ。
今回はそんなお客さんの言葉を信じ、テストの答え合わせに付き合ってもらっているのだが、これが本当に凄いのなんの…
「今度テスト前の勉強に付き合ってもらいたいぐらいです…」
「ん、そらハルヒが望むならいつでも付き合うで」
「優しい……」
「「もーーー!!!!答え合わせなんていーからいーから!」」
めんどくさい、とバッサリ切られる覚悟で申し出たが、予想を裏切る麗先輩の優しさに感動していると教科書と問題用紙を両脇から奪われる
……こいつらは…
「「と、いうわけで!」」
「水着を用意してみましたーー!」
「可愛いだろ?」
そういって並べられるのは水着
この間も見た光景だ
「ボクはー、こういうのがハルちゃんには似合うと思うなー!」
一時中断か…と諦めて手を止め筆記用具をしまう
「答え合わせは今度やな」そういう麗先輩に苦笑いで返した
「「わかってないねーハニー先輩は!」」
「うん?」
「この、制服を着ただけで誤魔化せてしまう まな板具合!」
「ワンピースタイプじゃお粗末極まりない体型丸わかりで涙をさそうね」
すると急に掴まれ舞台の上に立たせられたかのようにハニー先輩の前に連れて行かされる
何かとても失礼なことを言われている気がする
「ははは、女子になんて失礼な言い草だお前らはほんまにホストか」
「「その点!僕らが厳選したこのセパレートタイプはフリルで胸の無さを見事にカバーするのであります!」」
「おい聴け」
そろそろ騒がしさがピークになってきた
麗先輩が口を出しても双子は止まるところを知らないようだ
すると、麗先輩の後ろから「何を…」と、ゆるりと出てきたのは
「うちの娘にセクハラしまくっとるか貴様らはーーー!!!!!」
環先輩だ。
夏休み前でハイになっている双子をバットでかっ飛ばすようにお説教が始まる
「おかーさん!!光と馨が妹にいやらしい事を言いましたァ!!」
晩ご飯抜きにして下さいッッ!と騒ぐ父こと環先輩
というか誰が妹だ、誰が。
「17にして3人もの子持ち設定か俺は」
俺の青春はどうなる…とため息と一緒に吐き出された言葉
自分の後ろを見ると環先輩を冷たい目で見ている鏡夜先輩が立っていた
「「じゃあ行かないの?海」」
「誰が行かんと言った」
「「なーんだ、やっぱ行きたいんじゃーん」」
そんな会話が聞こえハッとする
「うさちゃんも一緒〜?」とぬいぐるみを抱きしめるハニー先輩に頷くモリ先輩
「異論はないな」と手帳を開き予定を確認する鏡夜先輩
「おかーさんの青春に付き合ってやるか」鏡夜先輩の肩に寄りかかり茶々を入れる麗先輩
「えぇ、本当に行くの?」
満場一致の雰囲気に思わず本音がこぼれる
そしていつもの通り、環先輩の一声で物事は進んでしまうのだ
「いざ!海へ行こう!」