1*後輩ホスト
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「早乙女!もう授業終わったぞ…?
いつまで寝てんだよ、部活は?」
そう肩を揺さぶられる、いい夢を見ていた気がするっていうのに、全く余計なことを…
そう思っても口には出さない
「んぁ…あぁ…ぶかつ……ふぁ」
目を開けると朝よりはマシな、でもまだ眩しい光が目に入り、手で目を覆う
そのため抑えることができなかった欠伸が、一つ溢れた
「こえーんじゃねーの?お前んとこの部活の…眼鏡?」
顔を覗き込んでくるクラスメイト
…このクラスにいる奴らから“怖い”なんて言葉が出てきたことに笑ってしまう
「っはは…!んー、そうなんよな…眼鏡の副部長がなぁ…でも今日はいい天気だし…遅刻ってことで」
「なんだよ、サボんなら遊びにでも行くか?」
「そらやめとくわ、また今度な」
再度からりと笑う
教室を出ていく友人に手を振り、また窓から見える空を眺める
「っはー………………だる、」
私立桜蘭学院は、一に家柄二にお金、財ある者は暇を持ち
かくしてホスト部とは、暇を持て余す高等部美麗男子7人が、同じく暇な女子をもてなし潤わす…
超金もち学校独自の華麗なる遊戯なのでありました…
そんなホスト部が活動する第三音楽室から
楽器とは思えないほど鋭利な音が奏でられた
ガシャァン…
全てはこの割れる音から始まった。
この音にどれほど自分は絶望したことか、と後に当事者(割った本人)の藤岡ハルヒは語る…
(あんまりだ…)
頼まれたものを詰め込んだ買い物袋を抱え、一人ため息をつく
「子豚ちゃん、買い出しご苦労!ちゃんと買えたかにゃ?」
(ぶ…ぶた…?)
「ん?これは何かな?」
ハルヒの持つ袋から出されたものを掴み、興味深そうに見つめる環に、ハルヒは首を傾げる
「コーヒーですが?」
「みたことないメーカーだな…既に挽いてあるやつか?」
「じゃなくて、インスタントです」
インスタント…??という疑問符がありありとわかる。
おぉ!お湯を注ぐだけでできるという庶民のアレか!?
これが噂の…などと(ハルヒにとっては)嫌味とも取れるそんな反応を見せる周りに
(くそぅ…金持ちどもめ…)
「環様ったら…お戯れがすぎますわね。…下賤なものの買う嗜好品が、お口に合うはずありませんのに…」
「は…?」
「ごめんなさい、独り言よ」
「ハルヒ!こっちに来て庶民コーヒーを入れてみよ!」
耳に届いた言葉を確かめようとすると
環先輩に呼ばれ、ため息をつきながら先を急ぐ
コーヒーを入れ終え、口に合わなくても知らないぞと心の中で毒ついていると、
「はぁ……」
ふと聞こえたそんなため息…
誰だろう…?
そう視線をずらすと携帯を耳に当て苛立ったようにファイルを爪で叩く鏡夜先輩
どうしたのか、などと聞ける雰囲気はないし
もはやそんな勇気もない
***
RRR…RRRR…
「ん…む…ぅ………ふぁ…」
着信音で目を覚ます
携帯をポケットから探し出し、表示を見ると“きょうや“の文字
「あれ…今、何…じ…」
時計を見れば、部活が始まって1時間以上が経過したあたりだった
ついでに着歴とメッセージも確認すると
数十件の着信と「出ろ」と、一言だけのメッセージが届いていた。
「着歴の数よりも…何で一言のメッセージの方が迫力あるんかね」
こんなことなら…
「和久の言った通り、サボりの提案にのって、さっさと帰った方が良かったか…」
そう呟き、電話もメッセージも送らないまま携帯をポケットに押し込んだ。