1*Eye Opener アイ・オープナー
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ネオン輝く夜の江戸…
カランカラ…ァン となるのはドアのベル
「あら…いらっしゃい、今日もいい夜ね」
入り口を潜ってきたお客にそう言えば「あぁ、注文いいかい?」と返してくる
「えぇ、先ずは席にお座りなさいな
…さて、ご注文は?」
「ほんと、引っ掛けんのがうまいでさぁ」
お客さんにカクテルを渡すと同時に聞こえた声
その声は呆れを含んでいるが、捉え方によっては褒められている様に聞こえなくもない…
「ふふっ、それはいい意味でかな?総悟くん」
栗色の髪と赤い目の少年に笑顔で返すと
その隣の仏頂面が声を出す
「いや、どう考えても悪い意味だろ」
「十四郎さんはノリが悪いなぁ、…で?お酒の注文が全く無いお二人さんは、何しに来たんです?」
眉間に寄ったしわを見、クスリと笑う
お堅い男性は嫌いじゃないけど、堅すぎる人は些か苦手…なんてことは口には出さない
とりあえず用件を伺おうと、グラスを拭きながら問いかける
「当然…夏目さんを落としに」
「ちげぇだろぉお!!!?あー…お前もどうせわかってんだろ?夏目」
巫山戯ている総悟くんを怒鳴り
再度こちらに向ける視線からは呆れ、疲れ…色んな物が見える
…副長さんは今日も大変な様子
「さて?なんのことかしら」
「……‥コイツについて教えてほしい」
勿論、分かっている
だけど言って欲しい…そう言う様に目線をわざとらしく逸らすと、ヒラリと隊服の懐から出した紙切れ
それは写真で、写っているのは若い男
……あぁ、なるほどね
「知ってやすかぃ?」
「なめてもらっちゃ困るわね、知ってるわよ?」
「コイツの情報を教えろ、依頼料は好きなだ…け」
他の客もいるからか、こそこそとボリュームを下げて話す十四郎さんの唇に人差し指をあて
静止をかける
その行動に目を見開く2人
残念ね…今日は私、お金よりほしい物があるの
フフッ…と微笑み、形のいい十四郎さんの唇をゆるりと撫でると
僅かに十四郎さんの身体が強張った
…そんなに怖がらなくったって、変なこと言わないのに
二人は驚いたまま固まっている
そんな二人に声をかける
「お金は結構、その代わり…
.
山崎さん、連れてきて?」
それを聞くなり二人がガクッと肩を落とす
「…またですかぃ、アンタも もの好きですねぃ」
「えー、だって可愛いじゃない、山崎さん♡」
項垂れたまま、総悟くんが溜息と共に言葉を吐き出す
「どこをどう見たらあれが可愛いってなんだよ!!?」
「んー?全部、かしら?」
十四郎さんも声を荒げてくるが、2人に言葉を返せば返すほど、二人の顔はしかめっ面に
「あんなのただの地味ですぜぃ…」
ぼそっと聞こえたその言葉
…ムッ、その地味さ加減がいいんじゃない
あの魅力が分からないなんて、と2人から顔を背ける
「悪いけど私、今回の注文は山崎さんに会うまでやらないからね」
「おい総悟今すぐ山崎呼べ」
「あいよ」
私が協力しないと分かると
ころりと態度を変える二人に思わず笑みを浮かべた
…チョロいな
***
「いらっしゃぁ~い♡山崎さ〜ん!」
カラン…と音がし、扉が開く
あぁ、この時をどれほど待ちわびたことか…!顔を覗かせるのはお待ちかねの愛しいあの人
自覚こそないものの、お水の人…もっと言えば遊女さながらの様な声でお出迎えをする
しょうが無いじゃない、好きなんだもの
「え"!?あ、あぁ…伊澄さん、こんばんは…ハハ」
ふふ、引きつった笑みと乾き切った笑いはこの際無視しよう
…あぁ、うろたえる姿がまた愛らしい…
「ヤだなぁ、夏目って呼んでくれって言ってるじゃない」
さりげなくボディタッチをする
いきなり腕を組むことなんてしないわ?
まずは両手で服の裾を掴むの
まずは控えめに、その方が山崎さんは目をあわせてくれる
…一回胸を当てすぎて真っ赤になって倒れてしまったもの
そんなところも可愛いけど、それじゃあ時間が勿体ない
「イヤ…流石にそれは」
「恥ずかしい?」
「ま、まぁ…」
少し頬を染め、視線を流しに流す山崎さん
これだからやめられない涎が出そうだ
そんなやり取りをしているからか、後ろからの視線が痛い…いや、痒い
「…ほんと、どこがいいんだか」
ボソッと聞こえた総悟くんの声
え?語ってもいいの?語るよ?余裕で一日いけるわ
山崎さんの手を軽く握りながら、そんなことを考える
「んで、約束だ」
その言葉に振り向けば、煙草の煙をふぅ…と吹きかけられた
…副流煙って知ってる??
「せっかちね、十四郎さんは…‥わかってるわよ」
握っていた山崎さんの手を引っ張りカウンター席に誘導する
座ったのを見て私はカウンターの中に
十四郎さんと総悟くんは、山崎さんを挟む様にして席に座った
「で…そいつは白か、黒か」
「はっきり言っちゃえば黒ね、見た目は温厚そうだけど、やってる事は真っ黒よ。
…どこまで教えればいいかしら?」
話を進めながらグラスを磨き、山崎さんに出すカクテルの用意を始めた