黒をも飲み込む白
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私はあなたのことを、幼い時から知っていた。最も、あなたは私のことなんて知らないだろうけど。だって当然だ。あなたはいつだって庶民の手の届かない場所に居た。
いずれ皇帝になる少年。
私はそんな人に、身の程知らずな恋をした。
*
ある夏の日、王都の外れで、あなたに出会ったの。
「……あの」
ついつい、話しかけちゃった。本を読んでいるのは知っていたけど、それでもどうしてもちょっと、話したかった。
「……なんだい?」
あなたは本を読んでいたのに、わざわざ本から視線を上げ、こちらを見た。それで確信を得た。この人は優しいな、と。
「あなた……は……エルウィン殿下……?」
「そうだよ」
そう聞けば、あなたは隠すことなく私に身分を明かした。人違いでなくて良かったという気持ちと、凄い人に話しかけてしまったという畏れで、もじもじしてしまう。
「……え、えっとね、その」
「うん」
何とか捻り出した意味の無い言葉にも、あなたは優しく相槌を打ってくれて。見た目通り優しい人だな、と改めて思った。
「エルウィン殿下のことね、私ね、ずっと格好良いと思ってて」
「うん」
「皆ね、エルウィン殿下のことね、ダメだってなんでか言うんだけどね」
「……うん」
「私はそうは思わないから、頑張ってほしいなって!」
「……ありがとう」
何処か寂しそうな、あなたの顔が晴れて、私はとても嬉しかった!
……そう。ふわりと笑った、あなたの顔が。
今も焼き付いて離れないのだ。
いずれ皇帝になる少年。
私はそんな人に、身の程知らずな恋をした。
*
ある夏の日、王都の外れで、あなたに出会ったの。
「……あの」
ついつい、話しかけちゃった。本を読んでいるのは知っていたけど、それでもどうしてもちょっと、話したかった。
「……なんだい?」
あなたは本を読んでいたのに、わざわざ本から視線を上げ、こちらを見た。それで確信を得た。この人は優しいな、と。
「あなた……は……エルウィン殿下……?」
「そうだよ」
そう聞けば、あなたは隠すことなく私に身分を明かした。人違いでなくて良かったという気持ちと、凄い人に話しかけてしまったという畏れで、もじもじしてしまう。
「……え、えっとね、その」
「うん」
何とか捻り出した意味の無い言葉にも、あなたは優しく相槌を打ってくれて。見た目通り優しい人だな、と改めて思った。
「エルウィン殿下のことね、私ね、ずっと格好良いと思ってて」
「うん」
「皆ね、エルウィン殿下のことね、ダメだってなんでか言うんだけどね」
「……うん」
「私はそうは思わないから、頑張ってほしいなって!」
「……ありがとう」
何処か寂しそうな、あなたの顔が晴れて、私はとても嬉しかった!
……そう。ふわりと笑った、あなたの顔が。
今も焼き付いて離れないのだ。
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