穢れを知らぬ人
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流石に無かった。ガタイの良い男性も多かったし、まぁ当然の事ではあるが。
「お、シンシアさん。彼には会えたか?」
テーブルの上にある、空の皿を眺める私にルカさんが話しかけてきた。
「……まぁ、一応は」
一応、会えはした。あの時のエマさんの会話を聞くに、恐らくあそこまで嫌われているのは私だけ。当たり前ではあるけれど。
「そうか……やはり……」
「何か知ってるんですか?」
「……知ってはいるが、君とアンドルーがどういう関係なのかが分からない以上、私からは言えない」
何処か敵意を含むような、疑いの目を向けられて理解した。アンドルーとルカさんは、恐らく……まぁまぁ仲が良い。どれくらいかは分からないが、少なくとも彼の人嫌いの理由は知っているだろう。それなら、知り合いであって避けられている私をそういう目で見るのも、無理はない。
「そうですか。ならそれでいいです。私はそれを自分で聞く為に此処に来たんですから」
それに、そういう目で見られるのは慣れている。金貸しである以上、上流階級である以上、下から疑われることには慣れている。彼と一緒に居たせいで、疑われることにも。
「聞ける、と確信できているのか?」
「確信はできません。絶対なんてもの、約束をしたって有り得ないですから。だから、彼と私の間にある認識の相違を正すことにも期待していません。しかし、不可能だとは感じていませんし、私はそれをしたいから全てを放り出して此処に来たんです」
疑われるのに慣れているからこそ、毅然とした態度を取るのにも慣れている。これでどうにかならない事も多いが、堂々とするのは大事だ。気弱な人を信頼できる人は、そう多くはないだろうから。
「なるほど。やはり私は君のことを今は信用できない。だが、君の熱意は本物なんだろう。……応援はする」
「えぇ、是非とも応援して……応援席から何もせずに見ていてくださいね。見て見ぬフリをするいじめっ子のように」
「……」
そして、敵意には敵意を。これに関してはバッドコミュニケーションならぬバッドコミュニケートな気もするが、そうして生きてきたのだからそうする他ない。……し、相手がこちらを信用できないように、こちらも相手が信用に足る人物かは分からない。である以上、敵意を向けられたら同じように返すのが一番リカバリーも効きやすいだろう。
「……君は」
「はい」
「アンドルーと私の仲が良いことを察しているのだろう」
「まぁ」
「であれば何故敵意を向ける。いやこちらが先にそうしたからと言われればぐうの音も出ないが、アンドルーのことを信用していないのか?」
「そうですね、その通りです。先にあなたが敵意を向けてきたからです。……信用の話ですが。しているとも言えますししていないとも言えます」
「おっと、それはすまなかったな。で、何故信用していない?」
「過去に深い交友があれど、久々に出会った友人を信用できますか」
「出会う経緯にもよるな。久々になってしまった理由も気になるところだ」
「……では。明確な理由があって疎遠になり、どうしてもという意思があってこちら側から会いに来た場合は」
「……その明確な理由は、どちらが悪い」
「私の視点で良いのなら、どちらも悪くてどちらも悪くないでしょう」
「と、いうと」
「ミスコミュニケーション、ということです。だから私は誤解を正しに来たのです」
質問をされれば、返す。これは私と彼について聞かれている。だから隠すことなく、告げる。ミスコミュニケーションの内容までは告げないが、それは事実のみを話せるということだ。相手はこう捉えたのだろう、という推測が入らないから。ミスコミュニケーションを行って、彼と私は疎遠になって、でも私はずっと誤解を正したく思っていて、此処に来た。それが伝われば十分。実際、ルカは納得がいったという表情で頷いている。
「なるほどな。やはりそのミスコミュニケーションの内容が何なのか分からないからまだ信用はしきれんが。訂正しよう、ある程度までは協力する」
笑顔で、協力するといってくれた。どうやら、物分かりは良い人らしい。見るからに犯罪者なのに。
「ありがとうございます。では一つ教えてください」
「なんだ?」
「どうやったらアンドルーとちゃんと話せるんでしょうか」
「いやぁ、後ろから見てたがアレは当分無理だろ」
「えっ見てたんですか」
「あっやべ」
「えっ」
「お、シンシアさん。彼には会えたか?」
テーブルの上にある、空の皿を眺める私にルカさんが話しかけてきた。
「……まぁ、一応は」
一応、会えはした。あの時のエマさんの会話を聞くに、恐らくあそこまで嫌われているのは私だけ。当たり前ではあるけれど。
「そうか……やはり……」
「何か知ってるんですか?」
「……知ってはいるが、君とアンドルーがどういう関係なのかが分からない以上、私からは言えない」
何処か敵意を含むような、疑いの目を向けられて理解した。アンドルーとルカさんは、恐らく……まぁまぁ仲が良い。どれくらいかは分からないが、少なくとも彼の人嫌いの理由は知っているだろう。それなら、知り合いであって避けられている私をそういう目で見るのも、無理はない。
「そうですか。ならそれでいいです。私はそれを自分で聞く為に此処に来たんですから」
それに、そういう目で見られるのは慣れている。金貸しである以上、上流階級である以上、下から疑われることには慣れている。彼と一緒に居たせいで、疑われることにも。
「聞ける、と確信できているのか?」
「確信はできません。絶対なんてもの、約束をしたって有り得ないですから。だから、彼と私の間にある認識の相違を正すことにも期待していません。しかし、不可能だとは感じていませんし、私はそれをしたいから全てを放り出して此処に来たんです」
疑われるのに慣れているからこそ、毅然とした態度を取るのにも慣れている。これでどうにかならない事も多いが、堂々とするのは大事だ。気弱な人を信頼できる人は、そう多くはないだろうから。
「なるほど。やはり私は君のことを今は信用できない。だが、君の熱意は本物なんだろう。……応援はする」
「えぇ、是非とも応援して……応援席から何もせずに見ていてくださいね。見て見ぬフリをするいじめっ子のように」
「……」
そして、敵意には敵意を。これに関してはバッドコミュニケーションならぬバッドコミュニケートな気もするが、そうして生きてきたのだからそうする他ない。……し、相手がこちらを信用できないように、こちらも相手が信用に足る人物かは分からない。である以上、敵意を向けられたら同じように返すのが一番リカバリーも効きやすいだろう。
「……君は」
「はい」
「アンドルーと私の仲が良いことを察しているのだろう」
「まぁ」
「であれば何故敵意を向ける。いやこちらが先にそうしたからと言われればぐうの音も出ないが、アンドルーのことを信用していないのか?」
「そうですね、その通りです。先にあなたが敵意を向けてきたからです。……信用の話ですが。しているとも言えますししていないとも言えます」
「おっと、それはすまなかったな。で、何故信用していない?」
「過去に深い交友があれど、久々に出会った友人を信用できますか」
「出会う経緯にもよるな。久々になってしまった理由も気になるところだ」
「……では。明確な理由があって疎遠になり、どうしてもという意思があってこちら側から会いに来た場合は」
「……その明確な理由は、どちらが悪い」
「私の視点で良いのなら、どちらも悪くてどちらも悪くないでしょう」
「と、いうと」
「ミスコミュニケーション、ということです。だから私は誤解を正しに来たのです」
質問をされれば、返す。これは私と彼について聞かれている。だから隠すことなく、告げる。ミスコミュニケーションの内容までは告げないが、それは事実のみを話せるということだ。相手はこう捉えたのだろう、という推測が入らないから。ミスコミュニケーションを行って、彼と私は疎遠になって、でも私はずっと誤解を正したく思っていて、此処に来た。それが伝われば十分。実際、ルカは納得がいったという表情で頷いている。
「なるほどな。やはりそのミスコミュニケーションの内容が何なのか分からないからまだ信用はしきれんが。訂正しよう、ある程度までは協力する」
笑顔で、協力するといってくれた。どうやら、物分かりは良い人らしい。見るからに犯罪者なのに。
「ありがとうございます。では一つ教えてください」
「なんだ?」
「どうやったらアンドルーとちゃんと話せるんでしょうか」
「いやぁ、後ろから見てたがアレは当分無理だろ」
「えっ見てたんですか」
「あっやべ」
「えっ」