キミにKiss
ーー最近、新弥と会えていない。
お互い忙しいって言うのもあるけど、それ以上に触れ合いが少ない。会えていないから、それはイコールになってくるわけなんだけどさ。
仕事ででも、新弥は俺に対して触れてくることが少なくなった。
ーー前は、自然に肩とか叩いたり頭とか撫でてくれてたのにな。
長年付き合ってると、こういったマンネリも起こってくるものなんだろうか?
新弥は、俺に触れたいと思わなくなってしまったのだろうか? そう思うと、ジワっと目頭が熱くなった。
ーーやっぱり俺は、新弥が触れてこないことに寂しく思っていたらしい。
だからこうして仕事ででも、久しぶりに会えたのに、触れてくれないからつまらないと思ってしまうのだ。
ーーああ……本当に、俺はいつからこんなにも寂しがりになってしまったんだろうか? 違うんだ! 寂しくて触れてほしいんじゃなくて……! ただ……ただ単純にもっと触れてほしくて……! そんなことを考えていると急に恥ずかしくなった。…こんなに、自分が女々しいなんて思っても無かった。
新弥と付き合うようになって、愛されることに慣れてきて、俺は臆病になってしまったような気がする。
多分、これって彼女側が抱くような感情なんだろうな。そう思うと、なんか少し恥ずかしい情けないような気分にもなって。俺も男なのに。
ホテルの部屋、不意に来客を示すベルが鳴った。誰だろ?マネージャーかな?
「はーい…」鍵を開けて扉を開ければ、そこには新弥が立っていた。新弥は、なぜか泣きそうな顔で俺を見ている。
どうしたのかと、思わず息をのんだ。
そしてそのままぎゅっと抱き締められる。それはまるで存在を確認するかのようだった。
その行動と顔にビックリして、でも久しぶりに抱きしめられたことに嬉しくなって思わず泣きそうになった。
そんな自分が恥ずかしくて、慌てて取り繕って声を掛ける。
すると新弥は俺を離して、少しバツが悪そうに笑った。
……なんか、そんな新弥が可愛く見えてしまった。
そして新弥に視線を向ければ「咲人…その、ごめんな?最近…あんまり、時間取れてなかったし。…それに、触ったら我慢できなくなりそうでさ…でも、今夜は咲人部屋にいるって聞いて。だから来ちまった。」
ーーそれなら、言ってくれても良かったのに。俺、不安になってたんだよ?
自然に潤む目元を誤魔化すように、俺は新弥に抱きついた。そして、俺から新弥にキスをする。すると新弥は、少し驚いて。そしてすぐに、俺を抱き上げた。そのままベッドまで連れて行かれて……優しく下ろされる。
俺はそれに抵抗せずにいると、新弥はそのまま俺に覆い被さってきた。
久しぶりに見る彼の余裕の無い表情に、嬉しくなる。
その首筋に手を当てて撫でてやれば、くすぐったいのか俺の首筋に顔を埋めてきた。
そしてそのまま今度は俺の方から彼にキスをする。何度も触れるだけのキスを繰り返して、そして深くなっていった。
ーーああ……本当に久しぶりだから、なんだかすごく、ドキドキしてる。少しエラが張っている頬に触れて、そこに愛しい気持ちを込めて口付ける。俺、新弥の全部が好きだって改めて思った。新弥の手が俺の背中に回って、シャツを捲り素肌に触れる。ーーあぁ。このまま、抱かれるんだ。そう思うと、なぜかすごくドキドキした。そして、それを誤魔化すように新弥に擦り寄った。
……ずっとこうしていたいな。こうして触れ合って……なんかさ、幸せだなって思ったんだ。
ーー本当、俺っていつからこんなに寂しがり屋になってしまったんだろう……? 新弥は、俺の首筋に舌を這わせた。その感覚に俺は思わず体を震わせる。
そしてそのまま強く吸われて……俺は思わず声を上げた。
それに気を良くしたのか、今度はそこに軽く歯を立ててくる。
「あっ…もぅ。跡付けないでよ…」
付けられるのは、嬉しいけど見える場所は困る、、そう言えば新弥はイジワルな笑みを見せて俺の着ているシャツを上に捲り上げると胸元に口付けてきた。そして、いきなり乳首に吸い付いてくる。舌先で舐め上げて、歯を立てて、吸い上げてはそこにも跡を残す。その度に、俺の口からは声が漏れた。そんな俺を新弥は嬉しそうに見下ろしている。そして今度はズボンに手を掛けてそのまま下着ごと脱がされた。
それに俺は思わず赤面してしまう。だってさ、こんなふうに明るい中で裸にされたの久しぶりで……なんか恥ずかしい……
俺は新弥の視線から逃れたくて顔を背けるが、彼はそれを許してくれなくて再び口付けてきた。舌を絡め合い、何度も角度を変えて貪るようにキスをする。それに夢中になっていると下肢に触れられて腰が跳ね上がった。
そのまま新弥は、俺の既に反応している性器に触れて先端をゆるゆると扱く。すると、あっという間にそれは昂って雫を垂らす。
「あっぁ…はっ…に、やぁ…にぃやも脱いで…」
明るい部屋で、俺だけが裸になって攻められている。さすがに、少し恥ずかしいからそう新弥にねだった。すると新弥は、着ていた服を脱ぎ捨てる。その肉体美に見惚れていると、新弥は俺の体を抱き上げて膝の上に乗せた。
向かい合う形で彼の上に座らされて……俺はなんだか恥ずかしくて身を捩った。そんな俺を逃がさないとばかりに新弥は強く抱き締めてくる。そしてそのまま再び深く口付けてきた。
ーーあぁ……気持ちいいな……
俺は、彼の首に腕を回して自分からも舌を絡める。そしてそのまま腰を揺らして擦り付けた。すると彼は俺の尻を掴んで揉みしだきながらお互いに勃ち上がっている性器同士を擦り付けるように動かし始める。その感覚が何とも言えずに気持ちいいーー
「ふっ…あっ…にいやぁ…好き…」
何度か、その行為を繰り返しているうちに俺はあっというまに上り詰めていく。
背中を反らせて、白濁を吐き出しては呼吸を荒くして新弥を見つめる。すると、新弥も限界だったのか、俺の腹の上に熱い飛沫を放った。
その熱さに俺はまた体を震わせる。
そしてそのまま新弥は俺をベッドに押し倒した……
ーーあぁ……もう、本当に久しぶりだからかな?すごく気持ちいい……
俺の後孔に指が這わせられると、ゆっくりそのまま抜き差しをされる。久しぶりの感覚に、少し不安を覚えながらも新弥は丁寧に傷つけないように俺の内側を広げていく。そのうち、指が増えて俺は耐えきれない声を出しながら新弥の指を締め付けていた。
しばらくして指を引き抜くと、新弥は俺の足を抱え上げた。そして、そのまま彼のモノが押し当てられる。それは既に硬くなっていて……俺は思わず息を飲んだ。そしてそのままゆっくりと挿入されていく感覚を味わうように目を閉じる。
やがて、奥まで行き着いてしまえばゆっくり新弥が腰を動かし始める。久しぶりだから、圧迫感が凄いけど…でも、それ以上に気持ちいい…新弥とひとつになっているのがわかって、内側が勝手に締め付けてしまうのがわかった。それに気づいた新弥は、くすりと笑うと徐々に激しく突き上げ始めた。それに俺は思わず声を上げる。
でも、それもすぐに新弥にキスをされて塞がれてしまう。そうして俺はどんどん追い詰められていく……
ーーあぁ……もうダメ……俺、またすぐイッちゃいそうだ……! そんな俺の様子に気づいたのか、新弥が更に強く打ち付けてくる。その刺激に俺は呆気なく達してしまった。それと同時に中が収縮して新弥のモノを締め付けると、彼もまた俺の腹の上に熱い白濁を散らした。息を上げている彼の様子が見えた。そこに触れると、何とも言えない愛しさを感じて。俺は、また新弥にしがみついてキスをした。
そして、その夜は新弥と寄り添って一晩眠った。目覚めると、隣には新弥がいて。
久しぶりに、新弥と過ごして充実した時間を過ごせたなって思った。
やっぱり、俺は新弥が隣にいないとダメなんだって気づく。
大好きだよ。新弥。
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