Tの誘惑





これは、決して俺の趣味ではない。

そう衣装の関係上、仕方なく。仕方なくだ。

今回のステージ衣装は、まぁまぁ露出度が高くて普通のボクサーパンツとかだと下着の線が見えてしまう。
それは、さすがに恥ずかしいので…衣装デザインの方に薦められたのが…このTバック。

「…………」

女性でも、パンツスタイルの時は下着の線が見えないようにTバックを履くとか聞いた事はある。
そう。俺の趣味ではない。必要に迫られたからだ。

今日は、撮影でその露出度の高い衣装を着たんだけど…どうにも着替えにくい。そして、落ち着かない。やっぱり、こう…布面積が小さいし食い込む感じがする。
でも、そのおかげで衣装には響いてない。
相変わらず、腹やら太腿やら出てるけど…まあ、出せる限りは出していきますよ。頑張ってね。
普段なら、特に気にしないで着替えるんだけどさTバック履いてるとか見られたらゾジーさんとかに絶対弄られるじゃん?
さすがに恥ずかしいから…みんながいなくなってから着替える事にするか。
トイレで着替えてもいいんだけど、誰かしら来るし…ドア越しに話しかけられてもやだしね。

そう思ってたんだけど


新弥がいる。そして、ずっと俺のことを眺めてる。まるで〝着替えねぇの?俺、待ってんだけど”とでも言いたそうに。
いや、まあ…そりゃ、付き合っている相手だからわかるんだけど…今はちょっと空気読んでくれないかなぁ…
さすがに、新弥に見られるのも恥ずかしいし…何言われるかわかったもんじゃないし…

「…あの…あんまり見られてたら、着替えにくいんだけど……」

どこかジトーッとした視線をどうにか、受け流しながらも上着はどうにか着替えることが出来た。問題は下の方だ…

「着替えりゃいいじゃん。むしろ、何で最後まで残って着替えてねぇのか謎なんだけど?」

ーーそれを言えたら苦労はしないんだよ。

「…ッ着替えるから、ちょっと後ろ向いててよ」

「はぁー?何で、女みてぇなこと言うの?…は!
まさか、マジで俺の知らないうちに咲人が女体化…??!」

「違う!バカ!ちょっと事情があるから、後ろ向いててって言ってるだけ!」

「…わーったから。早くしろって。」


ぶつぶつ言いながらも、なんやかんやで俺の言うことを聞いて俺に背中を向けてくれる新弥に俺もさっさと着替えてしまおうと衣装のボトムに手を掛ける。
ついでに、このTバックも履き替えてしまおうかなと思い細い紐の部分に手を掛けたところで

「…え、お前、それ……ケツ見えてんじゃん…」

「…?!ちょっ…後ろ向いててって言っただろ?!」

「咲人が遅ぇからじゃん!ってか、今日ソレ履いてたんだ…やっべぇな。」

「はぁ?いや、コレは…普通の下着だと衣装に響くから……って…何?…」

気づけば目の前に、新弥の姿がやってきていて。何でこういう時にだけ、動きが速いんだ。

「ちょっ…?!新弥ッ……?」

「ケツ丸出しにしてる咲人が悪い」

「あっ…ちょっ、揉むなぁ…!」新弥の手が俺の着替え掛けていた臀部に回ってグニグニとまるで感触を楽しむように揉んでくる。
そして、それに対して僅かに反応してしまった俺の下腹部にも手を這わせてきて…浅ましいとはわかっているけど先端からじわりと雫が垂れてくるのがわかる。

「…いいな。コレ、わかりやすくて。」そう言いながら、俺のTバックをずらして俺自身に触れてくる。わざと、音を立てて扱くのズルいと思う。だって、すぐに俺は陥落しちゃうんだから。

「あ、あ、あっんぅ…やだ、ぁ…ッ…にぃ…」

あっという間に呼吸は乱れ、真っ直ぐ立っていられなくなる。俺は目の前の新弥にしがみつくしか出来なくなって。
後孔に、指先の感触を感じてもそれに抗う術も無くて。
……恥ずかしいけど、俺は1人でスる時も後ろを弄らないとイケなくなった。新弥に抱かれるようになってからだ。
だから、潜り込んでくる指先にも抵抗なく受け入れてしまう。

「んぅッ…あ”ぁ…ぁ…はっ…あ”…」

「…咲、すげぇな。俺の指、もう2本も咥え込んでんよ?」

「…い、ちいち…言わなくて…あぁッ…」

前立腺を探り当てられて、身体が震える。
自分でスるときは、いつもそこまで届かないから。…俺の一番気持ちいいトコロ、知ってるのは新弥だけで。

そのうち、また内側を犯す指が増やされて濡れた音が響き始める。

「あ”…ッ…ひぁっ…ぁ…に、やぁ…んんッ…」

「んー?あ、コッチの方が良いか?」

「んぁあッ…や、や、…らめぇ…奥、ったらぁ…俺……すぐ、イ、…」

奥を弄られても気持ちいい。その証拠に、俺はそれだけで軽く達してしまっていた。
…後ろだけの刺激でイケるって、男としてもうどうなんだろうって思うけど。それでも、気持ちいいものは気持ちいいんだから、仕方ない。

「…はぁっ……は、……ん…」

相変わらず、新弥の指が埋められたままの俺のソコはそれ以上の刺激を求めて恥ずかしいくらいヒクついている。

「さぁき。どうして欲しい?」

見えなくてもわかる。絶対に、新弥はニヤついた顔。

でも……


「…にぃ、の…おっきいの、欲しい、よ…いれてぇ……?」

勘違いすんなよ。俺のこと欲しいのは、お前の方だろ?こうやって、俺が乱れる姿を見て興奮してるくせに。
…だから、誰のところにも行くな…
こういう言葉は、素直に言えない…いつも、頭ん中でぐるぐる巡ってるだけ。

「…ッあーー…ちょっ…いきな、り…」

腰を掴まれたかと思うと、一気に押し入ってきた。そして、そのまま乾いた肉のぶつかる音を立てて俺のことを責め立て始める新弥。

「あ、あ、…あ”ぁ…ひゃっ…一緒に、しちゃ、やらぁ…」

既に蕩けている俺自身にも、手を這わせてぐちゅぐちゅと音を立てて扱かれてしまえば俺はもうなす術が無くて。

「……ッ…咲………!」

「あっ…あ、…ッ…や、も、…イってる、イってるからぁ……も、変、なる……ぅ…にぃ…新弥の、俺の…奥、いっぱい…きて、る…ッ…ぁぁあッ……!……」



ほんの少し、意識を飛ばしてたみたいで。
気づけば、汚れてドロドロになっていたはずの(主に下半身)綺麗にされていて。
何か、下着も交換されてた。新弥がやってくれたのか……

「…にぃ…」

「……ごめん。ちょっと、興奮して後先考えずヤっちまった。」

「…ん。いいよ。…俺も、気持ち良かったし……」

「……そっか。…その、落ち着いたら一緒に帰ろうぜ?」

「…うん…もう少し、待っててね…?」

「…おう。」

Tバックのせいで、うっかり楽屋の中で致してしまったけど…
外に聞こえてないかだけ、心配…。
それ以外は、どうでもいいや。…新弥が一緒にいてくれるなら、それで……
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