たからもの




「にぃー。あそぼーー?」

そう言って小さな身体をとてとてと、動かしながら俺の背中に抱きついてくる咲人は歳の離れた俺の弟だ。

「んー。ちょっと待ってな?にいは、宿題やんねぇといけないからな。」

「しゅくだいー??いつおわるの?」

「…頑張って早く終わらせっから!」

咲人が、そう言って俺をうるうるした目で見上げてくっから柄にも無く俺はやる気を出して目の前の宿題を速攻で片付けた。この際答えが合ってるかどうかは気にしねぇ。

「よしっ!咲人ー。にぃ、宿題終わったぞー…って、アレ…?」

そこには、待ち疲れたのか身体を丸めてすやすやと寝息を立てている咲人の姿が。
…寝ちまってんのか。しかし、寝顔も可愛いな。咲人は…。
…コラ。誰だ。変態だとか言ったのは。
俺が可愛いって思うのは、歳が離れてるってせいもあるけど…いや、何つーか…うん…
弟に対して、こんな気持ちになんのはおかしいってわかってるけど、俺は咲人の事を…

「んー…にぃ……」 咲人が、まだ眠たげな瞼を擦りながらのそのそと起き上がりかけたから俺はその頭を撫でてやりながら微笑んだ。

「…にぃは、ここにいるから。安心して寝てな」

「ん……」すると、こくんと頷いてまた小さく寝息を立て始める咲人。…俺はその小さな身体を軽く抱きしめながら一緒に横になった。

咲人が、もっと大きくなるまでこの気持ちはとっとくよ。それまで、誰にも触らせたりしねぇからな。
大事な俺の弟ーー。
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