メロウに沈んで




たまには、こんな触れ合いも良くない?

最近、新弥も俺もお互いサポートやら何やらで
ちょっと忙しい日々が続いてて。
2人で一日中過ごす、なんて事はどうしても難しくて。
お互い、時間を割いては互いの部屋で過ごす…くらいな感じで充電をするって言うふうにしてた。
何となく、ネットサーフィンをしていたら目に留まったのは…いや、決して意図的に探してたわけじゃないんだけどね?
恋人同士での触れ合いに、ついてのページで。
俗に言う、スローセックスと言うか…ポリネシアンセックスとか言うらしいもの。
身体じゃなくて、精神的な繋がりを重視する触れ合い。
あ、コレ…良くない?って思っちゃったんだ。
だって、俺は身体も気持ちの深いところでも新弥と繋がりたいもの。
こういう所が、女性的って言われるのかもしれないんだけどさ。

思い立ったら行動しなきゃね。

仕事の合間、新弥と2人になる時間を作っては軽く触れるだけのキスをする。

「新弥。今度、オフまで時間空いちゃうけど…我慢出来る?ごめんね?」

背中に腕を回しながら、そう言えば苦笑いをして頷く新弥。

「あー。大丈夫だって。ガキじゃねぇんだしさ。それに、俺も釣り行ったりしてんし。それで気も紛れるだろ。…咲人の方が、我慢できなくなってんじゃねぇの?」

そう言って俺の耳朶に、軽く舌を這わせてくるコイツにストップをかける。

「…今度のオフまでは、お預け!…キスだけは、良いけどさ。」

そう。約束の当日までは、決して深い触れ合いはしない。でも、俺が新弥とするキスが好きだからキスはしたい。なんて、欲張りかな?
そう言えば仕方ない…と言ったふうに新弥は笑ってまた俺のことを抱きしめてくれた。
なんだかんだ言って新弥は優しいんだよね。
だから、一つになりたいって思ったの。

そして、何とか忙しい日々をこなしてオフの当日…

部屋の灯りは消して、互いにシャワーも浴びて俺は下準備も済ませてベッドの中。
邪魔されたく無いから、スマホの電源も落としてる。
今は、俺と新弥2人だけの空間。

俺は新弥を見上げながら目を閉じた。唇がそっと重なる。その感触が好き。そっと啄むように繰り返される口付けに、溺れそうになる。
…俺、新弥とのキスがホントに好きなんだって改めて思った。

「…ッん…ぅ…ふ…ん、ぁ…」

軽く重なるだけの唇から、段々と深く舌を絡ませるものに変わっていく口付けに俺は小さく息をあげる。俺よりも少し広い背中に腕を回して、メンソールの匂いがするその口付けに夢中になった。

そうやって、素肌を触れ合わせていけば、自然に鼓動が高鳴っていくのを感じる。
新弥の心臓の音もしっかり聞こえてきて、新弥もドキドキしてるんだって思ったらなんかおかしくなった。

「…にぃや。好き。」そう呟いて、新弥の腰に足を絡ませるように動けば自然と新弥の熱が俺の下腹部に当たる。

「…もう、良いのか?」

「うん…。」そう言って頷けば、そのまま新弥の熱がゆっくりと俺の内側に入り込んできた。
久しぶりの感覚に少し呼吸が上手く出来ない…
何とか、深呼吸を繰り返してゆっくり落ち着かせていく。

「…ッ大丈夫、か?咲人…」

「う、ん…。でも、しばらく動かないで……」

繋がったままで、動かないでって言うのは新弥に取っては辛いってわかるけど俺はその先の快感を求めてる。
「あー…でも、ちょっと萎えてきそうなんだけど俺の…」
繋がって少し経った頃、苦笑いしながらそう言われたから少しだけ動く事を許した。
ゆっくり動き始めて、最奥に刺激を感じると自然と声が上がる。
「…っんあ…はっ…にぃ…」

背中にしがみついて、爪を立てる。少しのピストンのあとで、新弥の動きが止まって俺は身体を震わせる。

「…咲人…。なんか、すげぇんだけど…何つーか…今までと違う感じがする。イきそうなのが、ずっと続く感じ。」

そう言った新弥の顔は、余裕を無くしてて呼吸も荒かった。…俺に欲情してくれてるその表情が好きだ。
「…ん。俺ね、新弥ともっと深い所で繋がりたかったの。…だから、もっと……

ーー奥までキテよ

そう伝えると、新弥は優しく笑って俺の身体を強く抱きしめるとまた最奥をゆっくり突き上げてきた。
そして、また引いていく。その次は、また奥へと。最奥に届いたら、また動きを止めて抱きしめてくれる。

ーーあ、なんか…コレ…

「あっ…にぃ…んぁ…ぁん…ッ…は…ぁ…」

激しく動かれているわけじゃないのに、めちゃくちゃ感じてしまう。新弥の形もはっきりわかるくらいに。俺の奥で新弥が溶けてしまいそうな…そんな感覚。二つなのに一つで、一つなのに二つで。不思議な感じがする。
「咲人…ッ…気持ち、い?…俺も、…やべ…!」
 

「あぁッ…に、…ひゃっ…ぅ、く…ぁ、ダメ…かも、…もっ…」

目の前が、スパークしそうだ。

男の絶頂なんて、吐き出してしまえばそれで終わりだけど今回のはなんか違う…
まるで女性のオーガズムみたいに、断続的に絶頂がやってきている感じ。

「あ、ぁッ…に、…にぃ…ッ、や、も…イっく…ーーッ」

背中を反らせて、俺は精を吐き出した。
新弥も同じように俺の中に、白濁を散らして。

「はぁっ…はぁ…ぁ、ぁ…に、…」

身体が痙攣してる。目の前が真っ白。後から後から波がやってくる感じで…俺は新弥にしがみついたままでそのまま意識を飛ばしてしまった。気づかなかったけど、新弥の身体も少し震えてたみたいで。

次の日の朝、新弥と一緒にまたシャワーを浴びて身体を綺麗にしてから聞いてみたんだ。

「ねぇ。新弥。どうだった?」

「え…?あー………最高でした。」

そう言って照れたように顔を赤くして、俺を抱きしめてきた新弥に俺もまた笑った。
うん。やっぱり、俺は新弥が好きだ。



「また、シようね。」俺の方が、気に入っちゃったみたい。
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