New year




「あっ、う…はぁ…ゆー…じッ…」

俺の目の前にあるのは、愛しい男の素肌。
俺を見る少し余裕の無い目が好き。



深夜近くになって、俺の家にやってきたこの男は勝手知ったる部屋の中、冷蔵庫になにやらゴソゴソと入れ込んでいた。
ーーあー…釣りしてきたんだな。釣果がどうだったのかはわからないけど、この男は時間があれば、一日中釣りをしていることが多い。釣れた時、時々こうやって俺の家に持ち込んで料理してくれることもあったり無かったり。
今回は、当たりだったみたいだ。

「明日なったら、捌いてやんな?」そう言って笑うその男に、俺は惚れている。

「泊まってく?」「おー。いい?」
「そのつもりで来たんでしょ?」
「…バレてた?たかに会いたかったからさ。」

そう言えば冷えた俺の手を取って、自分の方に抱き寄せた。
…多分、さっきまで外にいたからだろう新弥の手も冷たくて。
何となく、新弥の手を取って俺の頬に伸ばしてみる。
ーーん。やっぱり、冷たい。

「…ゆーじも、冷たい。」「ん?あー…たかんち来る前まで、ずっと外で釣りしてたから…」

ーーあったまる事、しようか?ーー

どうしても恥ずかしいから、そう耳元で囁くように告げた。
一瞬、目を丸くした後で嬉しそうに笑って
また強く俺のことを抱きしめた。

そして、今はベッドの上。俺は、ゆーじに抱かれている。少し荒くなっている互いの吐息と、抱き合って高くなっている体温。
重なる唇と、指先と、素肌が心地良くて。
…何より、俺を見るゆーじの視線が気持ちいい。俺のこと好きだって、大事にしてるって気持ちが伝わってくるから。俺も、ゆーじに精一杯の好き、を返す。

こんな風に互いの気持ちが伝わるセックスって、一番幸せになれると思うんだよね。

「はぁッ…あ、…ゆーじ…ゆーじ…ッ…」

「…たかッ…愛してんよ……」

抱き合っているうちに、日付が変わってた。
新年の始まりが、ゆーじの腕の中なんてさ。
俺を抱きしめながら今は寝息を立てている、ゆーじの頬に軽く口付けて。

「…今年もよろしくね。ゆーじ。愛してるよ。」

A HAPPY NEW YEAR
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