dive deep



ーーねえ。もっと、俺の名前を呼んで。

その低くて甘い声で、俺の名前を呼んでよ。

抱き合った腕の中は、暖かくて落ち着く。
でも、それだけじゃ足りないから。

だから、早く…ねえ。俺の奥深くまで、入ってきて。

ねだる声と、重なる唇はほとんど同時。

気づいてるかな?俺にしては、珍しくほんの少し甘い香りを纏っていることに。
そして、いもしない誰かの影を感じてお前は嫉妬しながら俺を抱くの。

でも、いい。激しいくらいで、構わない。
俺は、お前を求めてるんだから。
決して、何かの形には実ることは無いけれど。
俺は、お前がいればいいから。
愛なんて、見えないものは信じない主義だったけど俺とお前の間にあるものが、愛じゃないなら、一体何が愛なんだろうね。

深く、深く沈んでいく。

ここは、何て暗い愛しい夜の底。

お前は、油断したら何処かに飛んで行ってしまうんだから。

だから、今繋いでいるその手は離さないから。

だから、ねぇ。お前の声で、俺の名前を呼んで。
愛を聞かせて。

誰も知らない、見えないこの深い海の底に潜って解けてしまいたい程。

俺は、お前無しじゃいられないよ。

ねえ。新弥ーー。お前の愛は、俺だけに伝えていてよ。
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