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Fleeting lover (×in)

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あなたはいつも一番に気付いてくれたけど、




それはただの『特別なともだち』だったからでしょ?






「修学旅行!!!!イェーーーイ!!!!!!」




「も、大ちゃん煩い」






大学受験を控え、青春を一時停止するための修学旅行。

ケチケチしているこの学校は、海外旅行なんかじゃなく2回目の夢の国で。





まあ5人だったら楽しいよねとか言って、頗る楽しみにしてたのに。


まさかの今日という今日に頭痛を伴った俺。








「伊野尾、頭痛い?」





頭上から降ってくる、中学生の頃から想いを寄せていた彼の声。


なんてうっとりしてる場合じゃなくて、大事な修学旅行なんだから隠し通すべき。






「いや、別に……。何で?」




「顳顬押さえてたから…。辛かったら言えよ」



「はは、あいよ~」






やっぱり薮には隠し通せない、と思えば思うほど胸が痛む。


風邪も熱中症も貧血も嫌がらせも全部薮が気づいてくれたけど、この無謀な恋だけは気づいてもらえない。







「伊野尾くん、頭プリンじゃん」



「あーそうそう。タイミングが最悪だよな~」





「いのちゃん気にするとこ女子かよ」






別に今日じゃなくてもプリンはやだ。


俺より幾分か背の高い薮にはバレバレだし、癖で薮に頭撫でられる時気分的にやだし。





でも昨日は頭痛で寝込んでたからなぁ……。







「ねえ、あれ乗ろー!!」




元気でちょっと響く大ちゃんの声に振り向くと、俺の嫌いな絶叫マシーン。





「「うげ………」」



誰かと声が重なって、周りを見渡すと目に入ったのは口を塞ぐ高木。






「ウソっ高木って無理なの?!」




「もう…俺、乗らない。ごめん」






高木が口々に言われる一方、俺はどうしたらいいんだろう…。







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