このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

Fleeting lover (×in)

.







「そう言えばさ、何でLINE既読無視なわけー?」






そう言われて、ハッとする。





2年前。父親に結婚を告げられた時。




「お前がブロックしたんじゃん?」






本当はそれだけじゃないんだけど。




ただ俺が、怯えてただけ。






「あー…そうだったわ」





「パパー?この女の人だあれ?」






何だ、貴重な時間を邪魔された。

なんて口が裂けても言えるはずない。




「ふは、女の人じゃないよ。パパの友達」






ふと伊野尾を見ると、相変わらず達者な作り笑い。







「お名前、何ていうの?」




「なみっていうの!」







子供はいないと思ってたんだろうな。



お前、すっげー顔してるよ。








「なみー?あ、いたい、た……」




1番来て欲しくなかった奴、の顔は刹那サッと青褪める。




伊野尾は、怪訝そうに眉間に皺を寄せて怒ったような顔をしている。










「いの、くん……」





「あー…友達待たせてるからさ、帰るわ。薮、LINE返せよ」







修羅場です、という雰囲気が小さなコンビニの中に流れる。









俺の左手の薬指をわざと撫でたのも、







アイツに何かささやいてたのも、








嗚呼、俺が変えてしまった。










こんな分かりやすいこと、する奴じゃなかった。





LINE、すぐ返すね。







そしたら、最低だと言われてもいいからもう一度。







fin.
3/5ページ
スキ