Fleeting lover (×in)
.
「そう言えばさ、何でLINE既読無視なわけー?」
そう言われて、ハッとする。
2年前。父親に結婚を告げられた時。
「お前がブロックしたんじゃん?」
本当はそれだけじゃないんだけど。
ただ俺が、怯えてただけ。
「あー…そうだったわ」
「パパー?この女の人だあれ?」
何だ、貴重な時間を邪魔された。
なんて口が裂けても言えるはずない。
「ふは、女の人じゃないよ。パパの友達」
ふと伊野尾を見ると、相変わらず達者な作り笑い。
「お名前、何ていうの?」
「なみっていうの!」
子供はいないと思ってたんだろうな。
お前、すっげー顔してるよ。
「なみー?あ、いたい、た……」
1番来て欲しくなかった奴、の顔は刹那サッと青褪める。
伊野尾は、怪訝そうに眉間に皺を寄せて怒ったような顔をしている。
「いの、くん……」
「あー…友達待たせてるからさ、帰るわ。薮、LINE返せよ」
修羅場です、という雰囲気が小さなコンビニの中に流れる。
俺の左手の薬指をわざと撫でたのも、
アイツ に何かささやいてたのも、
嗚呼、俺が変えてしまった。
こんな分かりやすいこと、する奴じゃなかった。
LINE、すぐ返すね。
そしたら、最低だと言われてもいいからもう一度。
fin.
「そう言えばさ、何でLINE既読無視なわけー?」
そう言われて、ハッとする。
2年前。父親に結婚を告げられた時。
「お前がブロックしたんじゃん?」
本当はそれだけじゃないんだけど。
ただ俺が、怯えてただけ。
「あー…そうだったわ」
「パパー?この女の人だあれ?」
何だ、貴重な時間を邪魔された。
なんて口が裂けても言えるはずない。
「ふは、女の人じゃないよ。パパの友達」
ふと伊野尾を見ると、相変わらず達者な作り笑い。
「お名前、何ていうの?」
「なみっていうの!」
子供はいないと思ってたんだろうな。
お前、すっげー顔してるよ。
「なみー?あ、いたい、た……」
1番来て欲しくなかった奴、の顔は刹那サッと青褪める。
伊野尾は、怪訝そうに眉間に皺を寄せて怒ったような顔をしている。
「いの、くん……」
「あー…友達待たせてるからさ、帰るわ。薮、LINE返せよ」
修羅場です、という雰囲気が小さなコンビニの中に流れる。
俺の左手の薬指をわざと撫でたのも、
嗚呼、俺が変えてしまった。
こんな分かりやすいこと、する奴じゃなかった。
LINE、すぐ返すね。
そしたら、最低だと言われてもいいからもう一度。
fin.