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Fleeting lover (×in)

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弁当を買って、お菓子コーナーへ去っていった2人。





確かに、妻は美人で、娘は可愛い。




けど、彼奴を超える奴はいない。
そう気付いた時から、彼以外愛せなくなった。






最近、否、結婚してから毎日思い悩んでいる。





(ビールでも買お………)





そう言えば今月ボーナスだったな。

ちょっとのご褒美。お高めのビール。





そう思って手を伸ばした。







カシャン…





茶色くなった頭。ゆらゆら揺れる瞳。相変わらず真っ白な肌。血色のいい唇。







「いの、お………」





一瞬で彼奴伊野尾だと判断した。







伊野尾は目を見開いて、困ったように笑った。




変わってない。あの頃のように美しいまま。







「まだこの辺に住んでたんだ。その割には見つけなかったなぁ」





「あんまりコンビニ行かねぇからさ」






「察し。いい奥さんじゃん」






お前の次にな、そう言いそうになったけど、誰が何聞いてるか分からない。





今すぐにでも抱き締めてキスしてやりたい。でも、世間の『普通』が邪魔をする。







「伊野尾…さ、」




「?なに?」





「飲むの、1人?」




「いや、友達と…」




「それ度数高いやつだろ。アウト」






かなり酔ってる伊野尾は、俺以外見せないでほしい。
そんなの恋人泣かして他の女と結婚した奴が言えることじゃないけど。






「へへ…言ってくれるかなーって。わざと。嬉しいかも」






そう言って、甘めの酎ハイに取り替える伊野尾。




近づく声。迫るタイムリミット。








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